サツマイモ栽培で悩むのが植え方と方角です。特に畝の向きや苗の植え付け方向によって、収穫量が大きく変わってくるんです。せっかく時間をかけて育てるなら、最初の一手を間違えたくないですよね。
今回は、サツマイモ栽培の基本となる畝作りのコツから、苗の植え付け方向まで詳しく解説していきます。南北の畝が日当たり良好で、畝の高さは25~30cmが理想的。苗は3~4節を土に埋めることがポイントです。
この記事のポイント!
- 畝の向きは南北が基本で、日当たりを均等に確保できる
- 畝の高さは25~30cm、幅は40~50cmが栽培の目安
- 苗は畝と平行に植えることで収穫作業が楽になる
- 水はけを重視した土作りでpH5.5~6.0を目指す
サツマイモの植え方で重要な畝の向きと方角の基本
- 畝の向きは南北がベスト!日当たりが均等に
- 畝の高さは25-30cm確保して水はけ良好に
- 畝幅は40-50cmが一般的な栽培向き
- 株間は30-40cmで余裕を持って配置
- マルチ栽培なら苗は畝と平行に植える
- 苗の植え付け向きで収穫量が変わる!
畝の向きは南北がベスト!日当たりが均等に
サツマイモを栽培する際の畝の向きは、南北方向が最適です。これは日当たりが平均的に良好になるためです。
ただし、傾斜地の場合は状況が変わってきます。雨水による土の流出を防ぐため、傾斜を横切る形で畝を作ることが重要になります。
道路からの進入方向や水口との配置によっても、畝の向きを考慮する必要が出てくることがあります。
土地が平らな場合は、日照を優先して南北方向に畝を立てるのがおすすめです。これにより作物の表裏両面に日光が当たり、生育条件が良くなります。
日当たりの良い環境は、サツマイモの生育に重要な要素となります。生育適温は25~30度と高めで、暑さに強い特徴があります。
畝の高さは25-30cm確保して水はけ良好に
畝の高さは25~30cm程度が目安となります。この高さを確保することで、通気性と排水性が良好になります。
排水性を確保することは、サツマイモ栽培において最も重要な要素の一つです。水はけが悪いと、基腐病などの病気の原因になってしまいます。
イモは畝の底よりも下まで伸びていくため、畝を作る前には土を深く耕しておくことが大切です。
また、マルチャーを使用する場合は25cm以下になりがちですが、その場合は排水路をしっかり整備して、畝の水が排水路へ流れ込みやすい対策を行うことが重要です。
高い畝を作ることで、イモの肥大や食味の向上も期待できます。
畝幅は40-50cmが一般的な栽培向き
畝幅は40~50cm程度が一般的です。この幅があることで、サツマイモの根が十分に広がれる空間を確保できます。
過度に広い畝幅は、雑草が生えやすくなる原因になります。管理機が1台通れる程度の間隔にすることで、雑草の抑制にもつながります。
畝幅を広げすぎると、収穫時の作業効率も悪くなってしまいます。作業のしやすさを考慮した適切な幅を保つことが重要です。
狭すぎる畝幅は、イモの成長を阻害する可能性があります。根が十分に広がれる空間を確保することが、良質なイモの収穫につながります。
専業農家の中には、もっと狭い畝幅で栽培している例もありますが、家庭菜園では40~50cmが扱いやすい幅となっています。
株間は30-40cmで余裕を持って配置
株間は30~40cm程度空けることが推奨されています。この間隔があることで、各株のイモが十分に成長できる空間が確保できます。
株間を詰めすぎると、イモ同士が干渉して形が悪くなったり、小さくなったりする可能性があります。余裕を持った間隔で植えることが、良質なイモを収穫するポイントです。
特に水平植えの場合は、苗を寝かせて植えるため、より広めの株間が必要になってきます。植え付け方法に応じて、適切な間隔を選択することが大切です。
植え付けの際は、あらかじめ30~40cm間隔で印をつけておくと、均一な間隔で植えることができます。
マルチ栽培の場合は、マルチに穴を開ける位置の目安としても株間が重要になってきます。
マルチ栽培なら苗は畝と平行に植える
サツマイモの根は挿した方向に長く伸びる特徴があります。そのため、畝と直角に植えてしまうと、収穫作業が大変になってしまいます。
マルチ栽培を行う場合は、苗を畝と平行になるように植えることで、効率的な収穫が可能になります。苗の向きを統一することで、イモの成長方向も揃います。
特に水平植えの場合は、苗全体を畝と平行に寝かせて植えることが重要です。これにより、イモが畝の中でまとまって成長するため、収穫がしやすくなります。
苗を植える際は、切り口から3~4節が土に埋まるようにします。これらの節からイモが成長するため、適切な深さでの植え付けが重要です。
葉は必ず地上に出すようにしましょう。成長点となる先端部分は、土に埋めないように注意が必要です。
苗の植え付け向きで収穫量が変わる!
苗の植え付け方には、垂直植え、斜め植え、水平植えの3種類があります。それぞれ特徴があり、状況に応じて使い分けることが大切です。
垂直植えは、活着は良好ですがイモの数は少なめになります。小さい苗向きの植え付け方法で、深く植えることができます。
斜め植えは、垂直植えと水平植えの中間的な特徴を持ちます。一般的な家庭菜園では、この方法が人気です。
水平植えは、イモの数は多くなりますが、乾燥に弱い特徴があります。しっかりした大きい苗の場合に適しています。
苗が小さい場合は垂直または斜めに植え、大きい苗の場合は水平に植えるのが基本となります。
サツマイモ栽培で失敗しない畝作りと苗の植え方
- 土作りは排水性重視でpH5.5-6.0を目指す
- 植え付けは気温18度以上が目安
- 苗の植え方3パターン!垂直・斜め・水平
- つるは畝に沿って這わせるのがコツ
- 水はけ重視で傾斜地は等高線に沿って
- まとめ:サツマイモ栽培成功の鍵は畝の向きと苗の植え方
土作りは排水性重視でpH5.5-6.0を目指す
サツマイモの生育に適した土壌は、pH5.5~6.0の酸性土です。この範囲の土壌でよく育つことが分かっています。
土作りで最も重要なのは水はけと通気性です。マルチを利用することで、イモの肥大や食味の向上が期待でき、雑草の防除にも効果があります。
肥料は最小限に抑えることがポイントです。窒素分が多すぎるとつるばかり伸びて、イモの生育が悪くなる「つるボケ」の原因となります。
未熟な有機物を入れると、コガネムシの産卵やセンチュウ類が増えてイモの肌が汚くなる原因となります。土作りの際は、完熟堆肥を使用することが重要です。
前作で野菜を栽培していた畑であれば、ほぼ無肥料でも栽培が可能です。イモの肥大には、カリ成分が重要な役割を果たします。
植え付けは気温18度以上が目安
サツマイモの植え付けは、平均気温が18度以上になり、地温が15度以上になってから行います。また、晩霜の危険がなくなってからの植え付けが安全です。
条件が良ければ3~5日程度で活着します。土が乾燥している場合は、植え付け後にたっぷりと水やりをすることが大切です。
植え付け前の苗は、浅く水を張ったバケツに浸けて日陰に置いておくと1週間程度保存が可能です。葉がしおれている場合は、植え付け前に水に挿して戻しておきましょう。
良い苗の選び方は、茎が太くて節間が間延びしておらず、葉色が良くて厚みのあるものです。葉が7~8枚ついていて、節の数が多いものを選びます。
土壌水分は活着に重要な要素となります。うねが乾いている場合は、必ず植え付け後に潅水を行う必要があります。
苗の植え方3パターン!垂直・斜め・水平
垂直植えは、活着が良好ですがイモの数は少なめになる特徴があります。特に小さい苗向きの植え付け方法です。
斜め植えは45度の角度で植え付けを行います。垂直植えと水平植えの中間的な特徴を持ち、マルチ栽培に適しています。
水平植えは、イモの数が多くなりますが、乾燥や寒さに弱い特徴があります。大きい苗の場合はこの方法がおすすめです。
いずれの方法でも、苗の切り口から3~4節を土中に埋めることが重要です。これらの節からイモが成長するため、適切な深さでの植え付けがポイントとなります。
植え付けの深さが浅すぎると、イモの成長に影響が出る可能性があります。一方で、深すぎると生育不良の原因となることがあります。
つるは畝に沿って這わせるのがコツ
サツマイモのつるは、生育が進むと隣の畝を覆うほど伸びてきます。放置しておくと、葉のつけ根から根を出して、養分が分散してしまいます。
つるが土に接触して根を出した場合は、「つる返し」を行います。これは、つるを引き上げて土から根を剥がし、反転する作業です。
つる返しは、根を出したつるを見つけたら適宜実施します。地面に根を張ったつるの先を持ってたぐり上げ、根こそぎ剥がしてつるをひっくり返します。
つるは畝の上や菜園の空いている方向へ返すように動かします。この時点で葉色が薄い場合は、1平方メートルあたり20gほどの化成肥料を施すことがあります。
夏から秋にかけて、つるを上に持ち上げてひっくり返し、つるの節から出た根を切る作業を行います。現在の品種は、節の根がイモになることは少ないため、必ずしも必要ではありません。
水はけ重視で傾斜地は等高線に沿って
傾斜地で畝を作る場合は、傾斜を横切る形で作ることが重要です。これにより、大雨の際に畝が流されるのを防ぐことができます。
実際の例として、南北に畝を立てていた畑では、豪雨で畝ごと流されて真っ平らになり、植えたばかりのニンニクが姿を消したという事例があります。
土地が真っ平らな場合は方角を気にする必要は少なく、むしろ管理のしやすさを優先して考えることができます。しかし、わずかでも傾斜がある場合は、等高線に沿った畝立てを行うことで被害を最小限に抑えられます。
排水対策として、排水路を整備し、畝の水が排水路へ流れ込みやすい工夫を行うことも重要です。水はけが悪いと、基腐病などの病気の原因となります。
マルチを使用する場合は、雨水の排水にも注意が必要です。適切な水はけがあることで、イモの肥大や食味の向上も期待できます。
まとめ:サツマイモ栽培成功の鍵は畝の向きと苗の植え方
最後に記事のポイントをまとめます。
- 畝は南北方向が基本で、日照が均等になる
- 土壌pHは5.5~6.0の酸性土が適している
- 畝の高さは25~30cmが水はけ確保の目安
- 畝幅は40~50cmを確保する
- 株間は30~40cm空ける
- 苗は3~4節を土中に埋める
- 植え付けは平均気温18度以上が目安
- 苗の植え方は垂直・斜め・水平の3種類がある
- マルチ使用でイモの肥大と食味向上が期待できる
- つるは畝と平行に伸ばし、必要に応じてつる返しを行う
- 傾斜地では等高線に沿って畝を作る
- 排水対策が収穫の成否を左右する重要ポイント