植物の発根を促進させる方法として、メネデールとルートンの併用がよく話題に上がります。この2つの商品はどちらも発根促進効果があるとされていますが、実際の使用方法や効果には大きな違いがあることをご存知でしょうか。
メネデールは二価鉄イオンを含む活力剤で、ルートンは植物ホルモン剤という全く異なる特徴を持っています。特にルートンは使用量を誤ると逆効果になってしまう可能性があり、その使い方には十分な注意が必要です。
記事のポイント!
- メネデールとルートンの成分と効果の違い
- ルートンの正しい使用量と失敗しないコツ
- メネデールの適切な希釈方法と使用タイミング
- 食用作物での使用可否と注意点
ルートンとメネデールの併用で発根率が上がる?失敗しないポイントを解説
- それぞれの特徴と効果の違いを理解しよう
- メネデールは活力剤、ルートンは植物ホルモン剤
- メネデール単体でも十分な効果が期待できる
- ルートンのつけすぎは致命的な失敗に
- メネデールの正しい希釈方法と使用量
- 食用作物にはメネデールのみ使用可能
それぞれの特徴と効果の違いを理解しよう
メネデールとルートンは、どちらも植物の発根を促進する目的で使用されますが、その特徴や効果は大きく異なります。メネデールは植物の生長に必要な鉄分を、植物が吸収しやすい二価鉄イオンの形で含んでいる活力剤です。
一方のルートンは、植物が自然に分泌する発根ホルモン「オーキシン」の合成物質であるα-ナフチルアセトアミドを含む植物ホルモン剤です。このホルモンは植物の細胞分裂を促進し、強制的に発根を促す効果があります。
メネデールは週1回程度の定期的な使用が推奨されており、植物の状態に関わらず安全に使用できます。水で薄めて使用し、通常は100倍に希釈して使用します。
多肉植物での実験では、メネデールとルートンはそれぞれ異なる反応を示しました。特にルートンは過剰に使用すると、根は出るものの短く不十分な根張りになってしまう傾向が見られました。
このように、2つの商品は全く異なる作用機序を持っているため、使用目的や植物の状態に応じて適切な選択が必要になります。
メネデールは活力剤、ルートンは植物ホルモン剤
活力剤であるメネデールは、植物に含まれる必須元素の一つである鉄分を補給する役割があります。この鉄分は植物の葉緑体の形成に不可欠で、不足すると光合成ができなくなる恐れがあります。
メネデールに含まれる二価鉄イオンは、植物が直接吸収できる形態であるため、エネルギーを消費せずに利用することができます。そのため、弱った植物にも安心して与えることができます。
一般的な土壌にも鉄分は含まれていますが、それは植物が吸収できない三価鉄イオンの形態です。植物は通常、根から酵素を出して三価鉄を二価鉄に変換してから吸収しています。
メネデールは肥料とは異なり、植物が消耗している時期でも使用できます。植物にとっては、体調が悪い時のお粥のような存在と言えるでしょう。
さらに、メネデールは他の肥料と併用することも可能で、年間を通して使用できる利点があります。
メネデール単体でも十分な効果が期待できる
多肉植物での実験結果によると、メネデール単体での使用でも良好な発根効果が確認されています。特に、何も使用しない場合と比較しても遜色のない、場合によってはより良好な結果が得られています。
メネデールは100倍に希釈して使用するのが標準的で、キャップ1杯(約10ml)を1リットルの水で薄めて使用します。この希釈液は保存できないため、使用する分だけを作ることが重要です。
メネデールの効果を最大限に引き出すためには、冷暗所での保管が推奨されています。また、農薬との混用は避ける必要があります。
水やりの際にメネデールを使用する場合、毎回使用しても問題ありません。ただし、鉢の大きさによって必要な水量が異なるため、最後の一杯だけメネデール希釈液にするなど、工夫して使用することもできます。
使用頻度は週1回程度を目安にしますが、植物の状態に応じて毎日使用することも可能です。
ルートンのつけすぎは致命的な失敗に
ルートンを使用する際の最大の注意点は、使用量の調整です。過剰に使用すると、切り口が塞がれて植物が酸欠状態になってしまう危険があります。これは致命的な問題となる可能性があります。
ルートンは水分を含むとペースト状になって切り口に張り付き、1週間経っても流れ落ちないことが確認されています。このため、切り口の呼吸が妨げられ、植物の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
実験では、ルートンを多く使用した場合、茎の至る所から根が出るものの、それぞれの根が短く、根張りとしては不十分な結果となりました。これは効果が強すぎることによる悪影響と考えられます。
ルートンの使用量は、本当にわずかで十分です。切り口に薄く付着する程度が適量となります。説明書にも「付けすぎに注意」との記載がありますが、具体的な量の記載がないため、初心者は戸惑いやすい点です。
多くの場合、ルートンの使用量を減らすことで、より良い結果が得られることが確認されています。
メネデールの正しい希釈方法と使用量
メネデールの基本的な希釈率は100倍です。希釈の目安として、メネデールのキャップ1杯(約10ml)を1リットルの水で薄めて使用します。状況に応じて50倍から200倍の範囲で調整が可能です。
メネデールの希釈液は保存ができないため、使用する分だけを作ることが重要です。また、冷暗所での保管が推奨されています。製造年月から5年ほどは使用可能ですが、早めに使い切ることで十分な効果を得ることができます。
メネデールは様々な容量が販売されており、100ml、200ml、500ml、2L、5L、20Lのラインナップがあります。一般的な家庭での使用であれば、2L以下の容量で十分です。
霧吹きでの使用も可能で、葉水が必要な植物には積極的に活用できます。また、植物が弱っているときは、鉢ごとメネデール希釈液に数時間浸けることで効果が期待できます。
水やりの量が多い場合は、最後の一杯だけをメネデール希釈液にするなど、使用方法を工夫することもできます。
食用作物にはメネデールのみ使用可能
メネデールは安全な成分で作られており、食用作物にも使用できます。野菜や果樹の栽培に安心して活用することができます。一方、ルートンは食用作物には使用できないため、注意が必要です。
メネデールは人体に有害な成分を含んでいないため、室内での霧吹き使用も可能です。ただし、飲用はできませんので、子供の手の届かない場所での保管が必要です。
食用作物の栽培では、発根促進剤との併用を考える場合、メネデールのみの使用を検討することが賢明です。野菜苗や果樹の植え付けにも、メネデール単体で十分な効果が期待できます。
果樹など大きな植物の場合、週に1回を目安に1ヶ月ほど継続してメネデールを与えることで効果が期待できます。雨で流されないよう、晴れの日を選んで使用すると良いでしょう。
食用作物の育成において、安全性を重視する場合は、メネデールの単独使用が推奨されます。
ルートンとメネデールの併用方法と注意点
- 併用する場合はメネデールで水揚げ後にルートンを使用
- ルートンは極少量で効果を発揮
- メネデールは継続使用で効果を実感
- 多肉植物の発根では無処理が最も効果的な場合も
- 季節や植物の状態で効果に差が出る
- まとめ:ルートンとメネデールの併用は状況に応じて判断を
併用する場合はメネデールで水揚げ後にルートンを使用
挿し木をする際の最適な手順として、まずメネデールで水揚げをしてから、その後ルートンを使用する方法が効果的です。メネデールは100倍に希釈した溶液を使用します。
ラベンダーでの実験では、メネデールとルートンを併用した場合の効果が確認されています。草本性の場合は30分以上、木本性の場合は2~3時間のメネデール希釈液での水揚げが推奨されています。
挿し木用の土はしっかりと湿らせておく必要があります。これは、根がない状態では自力で水を吸い上げることができないためです。
その後、ルートンを極少量付けて植え付けを行います。植え付け後は、再度メネデール希釈液で水やりを行うことで、より高い効果が期待できます。
なお、発根するまでの間は、2~3日おきにメネデールを与えることも効果的です。また、霧吹きで水分補給する際にもメネデール希釈液を使用することができます。
ルートンは極少量で効果を発揮
ルートンは極めて少量でも十分な効果を発揮します。実験では、多量に使用すると根は出るものの、一本一本が短く、根張りが不十分になる結果が出ています。
使用方法としては、挿し穂の切り口を一度水で濡らしてから、ルートンを軽くまぶす程度が適量です。団子状にならないよう、指で弾いて余分な粉を落とすことが重要です。
ルートンは水分を含むとペースト状になって切り口に張り付き、1週間経っても流れ落ちないという特徴があります。そのため、多く付けすぎると切り口を塞いでしまい、植物が酸欠状態になってしまう危険があります。
使用量の目安が説明書に具体的に記載されていないため、初心者は戸惑いやすい点です。しかし、実験結果から、付けすぎは逆効果になることが明確になっています。
ホルモン剤であるルートンは、過剰使用により植物の成長が乱れたり、奇形が生じたりする可能性もあります。
メネデールは継続使用で効果を実感
メネデールは週1回程度の定期的な使用が基本です。植物の状態によっては毎日使用することも可能で、濃度を高くして時々使うよりも、標準的な濃度で継続的に使用する方が効果的です。
メネデールは植物が必要とする鉄分を、吸収しやすい二価鉄イオンの形で供給します。この形態では植物は余分なエネルギーを使うことなく吸収できるため、弱った株にも安心して使用できます。
通常の土に含まれる鉄分は三価鉄イオンの形態で、植物はこれを二価鉄イオンに変換してから吸収しています。メネデールを使用することで、この変換のプロセスを省くことができます。
メネデールは肥料ではなく活力剤のため、植物が消耗している時期でも使用可能です。また、多くの肥料と併用することもできます。ただし、農薬との混用は避ける必要があります。
希釈液は保存できないため、使用する分だけを作ることが重要です。また、効果を最大限に引き出すために、冷暗所での保管が推奨されています。
多肉植物の発根では無処理が最も効果的な場合も
多肉植物での実験結果によると、メネデールやルートンを使用しない場合でも良好な発根が確認されています。むしろ、何も処理をしない株の方が元気に生育する事例も報告されています。
特にアエオニウムを用いた実験では、メネデールを使用した場合、カットしてすぐに挿した方が弱々しい結果となりました。これは、カットした断面からメネデールを吸収しすぎたことが原因と考えられています。
発根促進剤を使用すると、場合によっては効果が阻害される可能性があることがわかっています。最もシンプルな方法が、最も効果が高かったという実験結果も得られています。
季節や気温によっても発根の状態は大きく変わってきます。実験では、10度から25度程度が発根に適した温度とされています。
直射日光は避け、明るい日陰での管理が推奨されています。また、風通しの良い場所での管理も重要です。
季節や植物の状態で効果に差が出る
植物の種類や季節、状態によって発根の様子は大きく異なります。夏の終わりなど、多くの植物が休眠状態に入る時期では、発根促進剤を使用しても効果が見られないことがあります。
実験では、10月上旬の涼しくなってきた時期に行った場合と、7月下旬の暑い時期に行った場合で、大きく結果が異なりました。特に夏場は、ほとんどの多肉植物が休眠状態となるため、発根が困難になります。
また、花や蕾がついている枝は発根しにくい傾向があります。挿し木用の枝を選ぶ際は、花や蕾のついていない部分を使用することが推奨されています。
天気も発根に影響を与える要因の一つです。晴れの日は葉の水分が蒸発しやすいため、曇りの日に作業を行うことが推奨されています。
植物の状態や環境によって最適な方法は異なるため、画一的な方法にこだわらず、状況に応じた対応が必要となります。
まとめ:ルートンとメネデールの併用は状況に応じて判断を
最後に記事のポイントをまとめます。
- メネデールは二価鉄イオンを含む活力剤で、植物が直接吸収可能
- ルートンは植物ホルモン剤で、過剰使用は逆効果となる
- ルートンの使用量は極少量が適切で、団子状になってはいけない
- メネデールの標準的な希釈倍率は100倍
- メネデールは週1回の継続使用が効果的
- 食用作物にはメネデールのみ使用可能
- メネデール希釈液は保存できないため、使用分だけを作る
- 発根適温は10度から25度
- 曇りの日の作業が推奨される
- 花や蕾のついていない枝の方が発根しやすい
- 直射日光は避け、明るい日陰での管理が効果的
- 季節や植物の状態によって、無処理が最適な場合もある