パキラの葉っぱだけで挿し木ができると聞いて、試してみたいと思った方も多いのではないでしょうか。実は、パキラの葉だけでも根は出てくるものの、その後の成長が見込めないという重要な事実があります。
正しい挿し木の方法を知ることで、パキラを確実に増やすことができます。この記事では、葉っぱだけの挿し木の限界と、確実に成功する枝での挿し木方法について、具体的な手順とポイントを解説していきます。
記事のポイント!
- パキラの葉っぱだけの挿し木で根は出るが、その後成長しない理由
- 水挿しでの根の出し方と適切な管理方法
- 成功率の高い枝での挿し木の具体的な手順
- 挿し木苗の特徴と実生苗との違い
パキラの葉だけの挿し木は本当に可能なのか
- 葉だけでも根は出るが成長はしない
- 葉から根が出るまでの期間は約1ヶ月
- 水挿しで根を出す具体的な方法
- 水替えを怠ると失敗の原因に
- 根が出てきても新芽は期待できない理由
- 葉の挿し木に適した時期と環境
葉だけでも根は出るが成長はしない
パキラの葉だけを挿し木にしても根は出てきますが、成長点がないため育てることはできません。数か月で変色して枯れてしまう特徴があります。
このため、葉だけの挿し木は一時的に根が出る現象を楽しむことはできても、新しいパキラを育てることはできないのです。
葉を水に挿してから約1ヶ月で根が出始めますが、これは成長につながる根ではありません。
成長するためには成長点が必要不可欠で、葉だけでは新しい芽や枝を出すことができないためです。
パキラを本当に増やしたい場合は、必ず幹や枝で挿し穂を作る必要があります。
葉から根が出るまでの期間は約1ヶ月
パキラの葉を水に挿してから根が出始めるまでの期間は、およそ1ヶ月程度です。
水挿しを始めてから3週間ほどで、根らしきものが確認できるようになってきます。
1ヶ月が経過する頃には、はっきりと白い根が見えるようになり、その後も根は成長を続けます。
ただし、この根の成長は一時的なものであり、いずれ葉は黄色く変色して枯れてしまいます。
根が出たからといって、そのまま育つわけではないことを理解しておく必要があります。
水挿しで根を出す具体的な方法

パキラの葉の水挿しは、特別な準備は必要ありません。
まずは水を入れた容器を用意し、パキラの葉を切り取ります。切り口は斜めにカットすると、より水を吸収しやすくなります。
葉は2~3枚選び、一部の葉は3分の1程度にカットすることで、水分の蒸散を抑えることができます。
毎朝決まった時間に水替えをすることで、きれいな状態を保ち、根の生育を促すことができます。
水には特に添加物を入れる必要はなく、普通の水道水で問題ありません。
水替えを怠ると失敗の原因に
水挿しで最も重要なポイントは、定期的な水替えです。
水が腐ることで根の生育が妨げられ、挿し木が失敗する原因となります。
毎日の水替えを習慣にすることで、水の状態を保ち、根の生育を促進することができます。
また、葉が水に浸かったままの状態だと、水が腐りやすくなるため、余分な下葉は取り除いておくことがポイントです。
水替えの際は、容器も一緒に洗って清潔に保つようにしましょう。
根が出てきても新芽は期待できない理由
パキラの葉からの挿し木で根は出ますが、新芽は出てきません。これは成長点がないためです。
成長点とは、新しい芽や葉が出てくる場所のことで、幹や枝にある節の部分に存在します。
葉だけの挿し木には、この成長点が含まれていないため、新しい芽を出すことができないのです。
根が出て成長しているように見えても、それは一時的な現象に過ぎません。
最終的には葉が黄色く変色し、枯れてしまう運命にあります。
葉の挿し木に適した時期と環境
パキラの生育に適した時期は5月から9月頃で、この時期は水挿しも成功しやすくなります。
室温は20℃以上、湿度は50%以上が理想的な環境です。特に梅雨の時期は高温多湿で、根が出やすい環境となります。
直射日光は避け、明るい日陰で管理することがポイントです。カーテン越しの柔らかい光が適しています。
水挿し中は、風通しの良い場所に置くことで、水の腐敗を防ぐことができます。
温度と湿度が安定している室内での管理がおすすめです。
パキラの挿し木で成功する正しい方法とは
- 成功率の高い枝での挿し木手順
- 挿し木に最適な切り口の位置
- 成長点を残すことが重要なポイント
- 発根促進剤の使用で成功率アップ
- 水耕栽培とハイドロカルチャーの違い
- 挿し木から編み込みパキラは作れない
- まとめ:パキラの葉だけの挿し木は避けよう、枝での挿し木がおすすめ
成功率の高い枝での挿し木手順
パキラの挿し木に適した時期は5~8月頃の成長期です。この時期は新芽が出やすく、剪定と一緒に行うのに最適な季節となります。
挿し木に使う枝は、15~20cm程度の長さに切ります。健康で葉がたくさんついている枝を選ぶことがポイントです。
葉は放射状に伸びた5~6枚の葉を1〜2セット残して、下の葉はすべて取り除きます。葉が多いほど水分を吸収する力が強くなるため、適度に葉を残すことが大切です。
挿し穂の一番下を斜めに切り、水に1時間ほど吸水させます。この時、発根促進剤を使用すると成功率が上がります。
植木鉢に鉢底ネットを敷き、用土を入れて水をかけて湿らせておきます。その後、吸水させた枝を土にななめに挿していきます。
挿し木に最適な切り口の位置
パキラの挿し木では、切り口の位置が重要なポイントとなります。枝を切って、複数の葉柄が伸びている場合は、葉を2~3枚だけ付けた葉柄1つだけにします。
葉柄が長くて土に挿しにくかったり、挿しても重さで倒れたりする場合は、葉柄を切って葉が付いていない状態にしても問題ありません。
挿し穂の切り口は斜めにカットすることで、水の吸収面積を広げることができます。これにより、根の発生を促進させることができます。
挿し木の深さは5~10cm程度が適しています。深すぎると腐りやすく、浅すぎると倒れやすくなります。
挿し木後は、土が乾かないように管理することが大切です。表面が乾いたら水やりを行います。
成長点を残すことが重要なポイント

パキラの幹には「成長点」と呼ばれる節がいくつかあります。この成長点から新芽が出てきて葉や枝を伸ばすため、挿し木の際は成長点を残すことが重要です。
成長点は、幹や枝の表面に新芽が盛り上がって出ているような部分です。この成長点から2cm上くらいの位置で剪定すると、新芽が出やすくなります。
成長点を見分けることができたら、その上で切ることで、挿し木後の成長が期待できます。成長点がない部分から切ると、新芽が出るまでに時間がかかります。
幹の下の方から飛び出ている枝があれば、付け根からカットします。余分な枝を切り落とし、幹だけにすることで、見た目をスッキリとさせることができます。
パキラは生命力が強いため、少しでも元気な部分が残っていれば、新しい株として育ってくれます。
発根促進剤の使用で成功率アップ
挿し木の成功率を上げるためには、活力剤「メネデール」や発根剤「ルートン」の使用がおすすめです。発根促進剤を使うことで、根の生育が促進され、水分や養分の吸収も良くなります。
挿し穂の吸水時にメネデールを規定量混ぜた水を使い、挿し穂の切り口にルートンを塗ってから土に挿すと、成功しやすくなります。
発根促進剤を使用する場合は、使用説明書をよく読んで、適切な量を使用することが大切です。使いすぎは逆効果になる可能性があります。
発根促進剤を使用した場合、約2週間で根が出始め、1ヶ月程度で植え替えが可能になります。
鉢上げ後は、土の表面が乾いてから水をやると、根がよく張って丈夫な株に育ちます。
水耕栽培とハイドロカルチャーの違い
水耕栽培には水栽培とハイドロカルチャーの2種類があります。水栽培は水だけで植物を育てる方法で、ハイドロカルチャーはハイドロボールという人工の資材と水で育てる方法です。
ハイドロボールには、ハイドロコーンやカラフルなゼリーボール、カラーサンドなどの種類があります。土を使わないため、清潔でインテリアとしても人気があります。
パキラはハイドロカルチャーに適した植物で、根の生長が早く根腐れもしにくい特徴があります。土植えの栽培よりもやや難しいとされていますが、よく育ってくれます。
ハイドロカルチャーで育てる場合は、根腐れ防止剤やハイドロカルチャー専用の液体肥料が必要です。透明の容器を使うと水位が確認しやすく、管理がしやすくなります。
植え替え時は、根の周りの土をきれいに落とし、15度程度のぬるま湯でしっかりと洗い流します。その後、ハイドロボールで固定し、容器の1/5~1/4まで水を入れます。
挿し木から編み込みパキラは作れない
編み込みパキラは、数本の幹が編み込みになった特徴的な姿が人気です。しかし、挿し木で育てた株を編み込みにして幹を太くすることは非常に困難です。
挿し木苗は実生苗と比べて幹が太りにくく、根元が太くなることはありません。幹全体が細い状態のまま成長していきます。
若い株であっても幹が硬いため折れやすく、折れなかったとしても美しい編み込みを作ることは難しいです。編み込みパキラは、専用の器具などを使って専門業者によって加工されています。
店頭で見かける編み込みパキラは、実生から育てられた株を使用しています。実生苗は根元が膨らんでおり、幹全体が太くなっていく特徴があります。
パキラを編み込み仕立てにしたい場合は、実生苗を購入することをおすすめします。
まとめ:パキラの葉だけの挿し木は避けよう、枝での挿し木がおすすめ
最後に記事のポイントをまとめます。
- パキラの葉だけの挿し木では根は出るが、成長点がないため育たない
- 挿し木に適した時期は5~8月の成長期である
- 挿し穂は15~20cmの健康な枝を選ぶ
- 葉は2~3枚残し、他は取り除く
- 切り口は斜めにカットし、1時間ほど水に浸す
- 発根促進剤を使用すると成功率が上がる
- 成長点を残して切ることで新芽が出やすい
- 水替えは毎日行い、水の腐敗を防ぐ
- 挿し木苗は幹が太りにくく、編み込み仕立ては困難
- ハイドロカルチャーでの栽培も可能で根腐れしにくい
- 実生苗は根元が太く、編み込み仕立てに適している
- 直射日光は避け、明るい日陰で管理する
- 土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行う