パキラは室内で育てやすい観葉植物として人気がありますが、実は「実生苗」と「挿し木苗」という2種類の苗があることをご存知でしょうか。特に実生苗は、種から育てられた苗で、成長が早く、幹が太くなりやすいという特徴があり、近年注目を集めています。
100均やホームセンターでもパキラの苗を見かけますが、実生苗と挿し木苗では生育特性が異なります。実生苗は5-10年ほど育てると花を咲かせる可能性があり、また徳利のような形状の幹になることから、園芸愛好家の間で人気が高まっています。
記事のポイント!
- パキラの実生苗と挿し木苗の見分け方とそれぞれの特徴
- 購入前にチェックすべき実生苗の3つのポイント
- 実生苗特有の成長特性と育て方のコツ
- 100均やホームセンターでの実生苗の探し方
パキラの実生苗と挿し木苗の違いと見分け方
- 実生苗の見分け方は株元の膨らみと双葉の跡をチェック
- 挿し木苗の特徴は一定の太さと切断面がある幹
- 実生苗は主根があり成長が早いのが特徴
- 双葉の有無で判断できるのは若い苗のみ
- 見分けるのに重要な根の形状の違い
- 種から育てた実生苗は5-10年で開花する可能性あり
実生苗の見分け方は株元の膨らみと双葉の跡をチェック
実生苗は種から育てられた株で、最も特徴的なのは株元の形状です。根元が膨らんでいて先端が細く、全体的にずんぐりむっくりとした形をしているのが特徴です。
購入時に確認しやすいポイントとして、双葉の跡があります。双葉とは発芽直後に最初に出てくる葉のことで、その後の本葉とは形が異なります。
実生苗の場合、この双葉の跡が幹の下部に左右対称に残っていることが多く、見分けるための重要な手がかりとなります。
若い苗の場合は、双葉がまだ付いていることもあり、その場合は間違いなく実生苗と判断できます。
実生苗は種から徐々に成長するため、幹の先端部分に鋭利な切断面が見られないのも特徴の一つです。
挿し木苗の特徴は一定の太さと切断面がある幹
挿し木苗は、元株から切り取った枝を根付かせて育てた苗です。幹の太さが一定で、特に根元付近の膨らみが見られないのが特徴です。
土に埋まっている幹の側面から根が生えており、これらの根は主に横に広がる傾向があります。実生苗のような太い主根は持っていません。
挿し木苗の幹の先端部分には、切り取られた跡が残っており、斜めや真っ直ぐにカットされた断面が確認できます。
育て方は実生苗と基本的に同じですが、成長速度は実生苗よりも遅い傾向にあります。
この特徴は、流通している大きめのパキラに多く見られ、特に編み込みパキラの多くは挿し木苗を使用しています。
実生苗は主根があり成長が早いのが特徴

実生苗の最大の特徴は、地中深く伸びる主根の存在です。この主根があることで、水分や養分の吸収力が高く、成長が早いという特徴があります。
植え替え時に根を観察すると、中心に太い主根があり、そこから細かい根が放射状に広がっているのが確認できます。
実生苗は挿し木苗に比べて生育が早く、環境が整えば年間で50-70センチほど成長することもあります。
主根の存在により、土壌中の養分をより効率的に吸収できるため、幹が太くなりやすい特徴があります。
また、主根があることで株全体の支持力が強く、安定した生育が期待できます。
双葉の有無で判断できるのは若い苗のみ
双葉は実生苗の確実な判別方法の一つですが、この方法で判断できるのは比較的若い苗に限られます。成長に伴い双葉は自然と落葉してしまいます。
双葉が落葉した後でも、その跡は幹の下部に左右対称の位置に残ります。この跡を確認することで実生苗かどうかを判断できます。
双葉の跡は地面から10センチほどの高さに位置することが多く、それより低い位置にある場合は、植え方に問題がある可能性があります。
パキラは多胚種子という特徴があり、1つの種子から複数の芽が出ることがあります。そのため、実生苗では双子のように2本の苗が並んで生えていることもあります。
まだ小さな苗の場合、双葉の有無を確認することが最も確実な判別方法となります。
見分けるのに重要な根の形状の違い
実生苗と挿し木苗の違いは、根の形状を見ることで最も明確に判断できます。実生苗は中心に太い主根があり、そこから放射状に細い根が広がっています。
一方、挿し木苗は主根を持たず、幹の側面から細い根が横に広がるように生えています。これらの根は比較的浅い位置に分布する傾向があります。
実生苗の主根は水分や養分の吸収に重要な役割を果たすため、植え替え時にはできるだけ傷つけないよう注意が必要です。
根の状態は購入時には確認できないことが多いため、外見での判断が重要になります。ただし、植え替え時に確認できる根の特徴は、実生苗か挿し木苗かを判断する決定的な証拠となります。
根の形状の違いは生育速度にも影響し、主根を持つ実生苗の方が一般的に成長が早くなります。
種から育てた実生苗は5-10年で開花する可能性あり
実生苗の特筆すべき特徴として、適切な環境で育てると5-10年程度で花を咲かせる可能性があります。開花時期は通常6-7月頃です。
花が咲いた後には果実ができることもあり、その中から種子を採取して新たな実生苗を育てることも可能です。
実生苗は若いうちは幹が柔らかく、針金などで形を整えることもできます。ただし、徐々に硬くなっていくため、形作りは計画的に行う必要があります。
挿し木苗に比べて寒さや直射日光に弱い傾向がありますが、これは実生苗が若木であることが理由と考えられます。
日々のケアを丁寧に行うことで、独特の形状と花を楽しむことができ、長期的な育成の醍醐味を味わえます。
パキラ実生苗の特徴と購入時のポイント
- ダイソーや100均でも実生苗は手に入る
- 購入前に確認したい3つのチェックポイント
- 実生株は編み込みにも向いている
- 実生苗は寒さと直射日光に弱い特徴がある
- 実生苗と挿し木苗では育て方に違いがある
- 実生株の幹を太くする育て方のコツ
- まとめ:パキラ実生苗の見分け方は根元・双葉・主根がポイント
ダイソーや100均でも実生苗は手に入る
100均やホームセンターでも実生パキラを見つけることができます。特にダイソーでは実生苗が時々入荷されています。
実生苗は入荷後すぐに売れてしまうことが多く、パキラマニアの間では人気の商品となっています。
100均で販売される実生苗は、大きく育つ前の若い苗が主流です。この時期は双葉の跡が確認しやすく、実生苗かどうかの判別がしやすいメリットがあります。
中には種の殻が土の中に残っているものもあり、それも実生苗を見分けるポイントの一つとなります。
購入時は根元の形状や双葉の跡をよく確認することが大切です。実生苗は根元が膨らんでいて、徳利のような形状をしているのが特徴です。
購入前に確認したい3つのチェックポイント
パキラを購入する際は、まず株の全体的な状態をチェックします。深い緑色の葉で、元気に生い茂っているものを選びましょう。
次に、根元の形状を確認します。実生苗は株元が膨らんでいて先端が細く、ずんぐりむっくりとした形をしています。
3つ目のポイントは、害虫の有無です。特に、ハダニやアブラムシ、カイガラムシがついていないかよく確認する必要があります。
葉が黄色っぽかったり、葉先が枯れているものは避けた方が無難です。これらは健康状態に問題がある可能性を示しています。
実生苗は寒さや乾燥に弱いため、店頭での状態が良好なものを選ぶことが重要です。
実生株は編み込みにも向いている

実生株は若いうちは幹が柔らかく、編み込みなどの加工がしやすい特徴があります。樹高30センチ前後の若木が編み込みに適しています。
編み込み作業は植物にとってストレスとなるため、実生株の生長が活発な5-7月頃に行うのがベストです。この時期なら、編み込みによるダメージからの回復も早くなります。
真夏や真冬は植物の体力が弱まっている時期なので、編み込み作業は避けた方が無難です。
生長期に編み込みを行うことで、その後の成長とともに見事な姿に育っていきます。ただし、幹が太くなると硬化してしまうため、編み込みのタイミングは重要です。
実生株は挿し木株と同様に編み込むことができますが、成長が早いため、より短期間で見応えのある姿に仕上がります。
実生苗は寒さと直射日光に弱い特徴がある
実生苗は若木であるため、環境の変化に敏感です。特に寒さに弱く、5度以下の環境では生育が止まってしまいます。
直射日光も苦手で、葉焼けを起こしやすい特徴があります。夏場は遮光をして、強い日差しから守る必要があります。
寒い季節は室内の暖かい場所に移動させ、エアコンの風が直接当たらないよう注意が必要です。
乾燥も苦手なので、葉水を行うことでハダニの予防にもなります。特に冬場は室内の乾燥に注意が必要です。
環境の変化には段階的に慣らしていくことが大切で、特に購入直後は環境変化に弱いので注意が必要です。
実生苗と挿し木苗では育て方に違いがある
実生苗は主根があるため、水分や養分の吸収力が高く、成長が早いのが特徴です。そのため、挿し木苗よりも頻繁な水やりと肥料が必要となります。
水やりは土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。冬場は土が乾いてから2-3日ほど待ってから与えるのがコツです。
生育期である春から秋にかけては、2ヶ月に1回程度の頻度で化成肥料を与えます。休眠期の冬は肥料を控えめにします。
植え替えは4-7月が適期で、根鉢が硬くなっている場合は手で優しくほぐしてから行います。実生苗は根の張りが良いため、1回り大きな鉢に植え替えることで更なる成長が期待できます。
病害虫の予防として、葉の表面を定期的に清掃し、風通しを良くすることが大切です。
実生株の幹を太くする育て方のコツ
幹を太くするためには、まず日当たりと風通しの良い場所で育てることが重要です。特に春から秋は屋外で育てると効果的です。
水やりは土の表面が完全に乾いてから、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。特に夏場は水分の蒸発が激しいため、土の状態をこまめにチェックします。
春から秋の生育期には、観葉植物用の固形肥料を2ヶ月に1回与えます。また、活力剤を併用することで根の成長を促進し、より健康的な成長を促すことができます。
毎年の植え替えも幹を太くするためには効果的です。根がいっぱいになる前に、一回り大きな鉢に植え替えることで、どんどん成長していきます。
暖かい時期に剪定を行うことで、栄養が幹に集中し、太くなりやすくなります。ただし、冬場の剪定は避けた方が無難です。
まとめ:パキラ実生苗の見分け方は根元・双葉・主根がポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- 実生苗は株元が膨らんでいて徳利のような形状をしている
- 双葉の跡が幹の下部に左右対称に残っている
- 主根があり、そこから放射状に細かい根が広がっている
- 100均やホームセンターでも実生苗を入手可能
- 若い苗ほど双葉や種の殻で実生か判別しやすい
- 5-10年程度で花を咲かせる可能性がある
- 実生苗は寒さと直射日光に弱い特徴がある
- 生育期である春から秋は屋外での管理が効果的
- 毎年の植え替えで成長を促進できる
- 水やりは土が乾いてからたっぷりと与える
- 生育期は2ヶ月に1回の肥料が必要
- 若いうちは幹が柔らかく編み込みなどの加工が可能