近年の異常気象により、植物が受けるストレスは年々大きくなっています。そんな中で注目を集めているのが植物活力剤。特にメネデールとリキダスという2つの商品は、植物の生育をサポートする効果が期待できる資材として知られています。
両者とも活力剤として分類されていますが、主成分や効果的な使用方法は異なります。メネデールは2価鉄イオンを主成分とし、リキダスはコリン・フルボ酸・アミノ酸の3つの有効成分を配合。実際の実験でも、それぞれ特徴的な効果が確認されています。
記事のポイント!
- メネデールとリキダスの成分の違いと、それぞれの特徴的な効果
- 希釈倍率やコストパフォーマンスの詳細な比較
- 実験で確認された根の張り方の違いと生育への影響
- 植物の状態や目的に応じた効果的な使い分け方
メネデールとリキダスの違いと効果的な使い分け方
- 活力剤は環境ストレス対策の必需品に
- メネデールの特徴と主成分は2価鉄イオン
- リキダスの特徴とコリン・フルボ酸・アミノ酸の相乗効果
- 希釈倍率とコスパ比較でわかる特徴
- 実験で検証された根張りと成長への効果
- メネデールは弱った植物の回復に最適
活力剤は環境ストレス対策の必需品に
植物を育てる上で、活力剤は絶対に必要な資材ではありません。しかし、近年の異常気象により、植物が受ける環境ストレスは年々大きくなっています。
そのような状況下で、活力剤の重要性が高まってきています。特に注目を集めているのが、メネデールとリキダスという2つの商品です。
どちらも植物の栄養を補う活力剤として知られていますが、NPK(窒素・リン酸・カリ)以外の成分しか含まれていません。そのため、しっかりした成長を促すためには、NPKを含む他の肥料と組み合わせて使用することが大切です。
両製品とも、根元に散布する方法が一般的で、原液を水に規定量で薄めて植物に散水します。また、葉っぱに直接散布する葉面散布も可能です。
病気や害虫からの防御力を高める効果もうたわれていますが、これは殺菌や防虫の効果があるわけではなく、植物が元気になることで植物そのものの抵抗力が増して病害虫にかかりにくくなるためです。
メネデールの特徴と主成分は2価鉄イオン
メネデールの主成分は、植物が吸収しやすい2価鉄イオンです。鉄は葉緑素の生成や呼吸に関与している重要な成分です。
土の中には鉄分が豊富に含まれていますが、そのほとんどは植物が吸収できない状態で存在しています。通常、植物は根から酸を分泌して鉄分を溶かし出し、さらに鉄還元酵素を分泌して2価の状態にしてから吸収します。
しかし、環境ストレスを受けていたり、植物自体の調子が悪い時には、鉄分を吸収しにくくなります。メネデールは、そのような状況でも植物が直接吸収できる形で鉄分を供給します。
苗が小さいときや弱った時など、根の力が弱くうまく鉄分を吸収できない状況で特に効果を発揮します。ただし、沢山与えれば効果が上がるわけではなく、必要量以上に与えても無駄になります。
メネデールは離乳食のようなもので、弱った植物や若い植物の根が栄養を吸収しやすいように、優しい状態で最低限のサポートを行います。
リキダスの特徴とコリン・フルボ酸・アミノ酸の相乗効果
リキダスの有効成分は、ビタミンの一種であるコリン、フルボ酸、そしてタンパク質の元となるアミノ酸です。これらの有効成分の相乗効果によって、植物の代謝を促し、活性化させる効果があります。
また、カルシウムをはじめ、鉄・銅・亜鉛・モリブデンなどの各種ミネラルも配合されており、これらが植物に活力を与えます。特にカルシウムが多く含まれているため、トマトの尻腐れ症などのカルシウム欠乏症の予防に効果があります。
肥料を与えてもあまり効きが良くない場合は、リキダスを併用することで改善が期待できます。あるいは、そういった場合は根の活性が低いため、肥料を一旦ストップしてリキダスに切り替えるという方法も有効です。
リキダスは必要な栄養素をしっかり補い、体を回復させていく療養食のようなものです。根が弱った植物には薄めで、生育を加速したい場合は液体肥料などと合わせて栄養を高めて与えることができます。
カルシウムが液体状態で溶け込んでいるため、アルカリ性を嫌うブルーベリーなどツツジ科植物のカルシウム補給にも適しています。
希釈倍率とコスパ比較でわかる特徴
メネデールとリキダスでは、希釈倍率が大きく異なります。メネデールは100倍希釈が基本なのに対し、リキダスは200倍希釈で使用します。
リキダスは800mlで900円程度、メネデールは200mlで600円程度で販売されています。量と希釈倍率を考慮すると、リキダスの方がコストパフォーマンスに優れています。
実際の計算では、リキダスはメネデールと比較して約2.66倍のコスパの差があり、さらに希釈倍率が2倍であることから、トータルで約5倍のコストパフォーマンスの差となります。
ただし、価格や希釈倍率は商品サイズや販売店によって変動する可能性があります。また、効果の面では単純な価格比較だけでは判断できない部分もあります。
特に大きな鉢植えの場合、たとえば100L以上の鉢や60Lの鉢を複数持っている場合は、使用量が多くなるため、コストが気になる要素となってきます。
実験で検証された根張りと成長への効果
実際の実験では、パンジーとビオラを使用して、メネデールとリキダスの効果が比較されました。赤玉土7:腐葉土3の混合土を使用し、1週間に1度それぞれの活力剤を与えて生育状況を観察しました。
リキダスを与えた株は、どの品種でも最も根の状態が良く、白い根がびっしりと張る結果となりました。根量が最も多く、効果が明確に現れています。
メネデールを与えた株は、品種によって結果が異なりましたが、全体的にバランスの良い根の張り方を示しました。ただし、光合成や呼吸に関与する2価鉄イオンを主成分とするため、日当たりの良い場所では効果が分かりにくい可能性があります。
活力剤なしの株と比較すると、両方の活力剤を与えた株の方が根の張りが良い傾向が見られました。ただし、活力剤なしでも問題なく生育する結果も確認されています。
花の咲き方や株の大きさも、根の状態と比例する傾向が見られ、特にリキダスを与えた株で優位性が確認されました。
メネデールは弱った植物の回復に最適
メネデールは、根が少なく吸収力の弱い状態の植物に特に効果を発揮します。挿し木や植え付け直後、あるいは弱った状態の植物の回復に適しています。
特に、知人から根がほとんどない状態で譲り受けた植物や、ネット通販で購入した根腐れした植物など、瀕死の状態の植物の復活に効果があったという報告もあります。
植物の状態や環境によって効果の現れ方は異なり、土の状態や日当たり、肥料分など、様々な条件が関係してきます。そのため、使用時には植物の状態をよく観察することが重要です。
過剰な使用は逆効果となる可能性があるため、規定の希釈倍率を守り、植物の様子を見ながら使用することが大切です。特に、肥料と併用する場合は注意が必要です。
離乳食のような役割を果たすメネデールは、根の再生という点で特に効果を発揮する特徴があります。
メネデールとリキダスの具体的な使用シーンと併用方法
- 挿し木・植え付け時の使い分けポイント
- 光合成促進と栄養吸収の違いを活かした使用法
- カルシウム補給が必要な野菜栽培での活用法
- 葉面散布の効果と使用方法の違い
- 液体肥料との併用で相乗効果を引き出す
- 土壌環境や植物の状態による選び方
- まとめ:メネデールとリキダスの違いを活かした効果的な使用方法
挿し木・植え付け時の使い分けポイント
挿し木や植え付け時には、メネデールとリキダスで異なるアプローチが可能です。メネデールは植え付け直後の活着をよくする効能があり、この時期は肥料分が含まれていない方が効果的です。
リキダスは1000倍に薄めて使用することで、デリケートな時期の植物にも優しく対応できます。特に東洋ランやサボテンなどの植え付け時には、この希釈倍率が推奨されています。
メネデールを使用する場合は、花苗の植え付け時に根元を100倍液に5分ほど浸して植えたり、植え付け後に100倍液を根元にたっぷりかけることで、根の活着が良くなります。
実験では、マイルドシリカを混ぜた土に植えたバラの挿し木に活力剤を与えたところ、より葉が増えるという結果が得られています。これは活着をよくする効能の表れと考えられます。
植え付け時期の選択について、リキダスは植物の生育に合わせて200倍から1000倍まで希釈率を調整できる柔軟性があります。根の状態や植物の種類に応じて使い分けることが可能です。
光合成促進と栄養吸収の違いを活かした使用法
メネデールは2価鉄イオンを主成分とし、光合成や呼吸に関与する重要な成分を供給します。日当たりの悪い環境では、この効果がより顕著に現れる可能性があります。
リキダスはコリン、フルボ酸、アミノ酸の3つの有効成分の相乗効果で、植物の代謝を促進します。これにより、植物本来が持っている力を引き出すことができます。
光合成が活発な時期には、リキダスの栄養吸収促進効果を活用することで、より効率的な生育促進が期待できます。特に、肥料の効きが悪い時期にはリキダスとの併用が効果的です。
メネデールは鉄分の補給に特化しているため、微量要素不足で生育が悪くなった場合には、追加で他の微量要素の補給を検討する必要があります。
日光の条件によって効果の現れ方が異なるため、栽培環境に応じた使い分けが重要です。実験でも、日当たりの良い場所ではメネデールの効果が分かりにくい結果となっています。
カルシウム補給が必要な野菜栽培での活用法
リキダスには液体状のカルシウムが含まれており、トマトの尻腐れ病やハクサイの芯腐れ病など、カルシウム欠乏による症状の予防に効果的です。特に野菜栽培での活用が期待できます。
土壌のpHを変化させることなくカルシウムを補給できる特徴があり、ブルーベリーなどのツツジ科植物にも安心して使用できます。これは通常の石灰と異なる大きな利点です。
野菜の生育期には200倍に希釈して使用し、1週間に1回のペースで与えることが推奨されています。植えつけ時は1000倍に希釈して使用します。
カルシウム以外にも、鉄、銅、亜鉛、モリブデンなどの微量要素がバランスよく配合されているため、野菜の総合的な生育をサポートします。
野菜栽培では、生育段階に応じて希釈倍率を調整することで、より効果的な結果が得られます。特に実をつける野菜では、カルシウム不足による生理障害の予防が重要です。
葉面散布の効果と使用方法の違い
両製品とも葉面散布が可能ですが、リキダスは特に葉面散布での使用が推奨されています。200倍に希釈して1週間に1回の使用が基本となります。
メネデールも葉面散布は可能ですが、主に根からの吸収を促進する効果を重視した製品です。そのため、根元への散布が基本的な使用方法となります。
葉面散布を行う際は、日光が直接当たる時間や高温時を避け、夕方もしくは早朝に行うことが推奨されます。これは薬害のリスクを軽減するためです。
希釈した液は、その日のうちに使い切ることが重要です。また、使用した容器は綺麗に洗い流し、殺虫剤や殺菌剤と同じスプレー容器を使用することは避けましょう。
効果的な葉面散布のためには、葉全体にムラなく散布することが重要です。特に、葉の裏側まで届くように注意を払う必要があります。
液体肥料との併用で相乗効果を引き出す
リキダスは液体肥料と併用することで、肥料の吸収効率を高める効果が期待できます。特に肥料の効きが悪い時期に併用すると、改善が見られる場合があります。
メネデールは、特に弱った植物や根の少ない状態では、肥料との併用を控えめにすることが推奨されます。過剰な肥料は根の発育を阻害する可能性があるためです。
両製品とも、NPK(窒素・リン酸・カリ)以外の成分しか含まれていないため、しっかりした成長を促すためには、NPKを含む肥料との組み合わせが必要です。
液体肥料との併用時期は、植物の状態をよく観察して判断することが重要です。根が十分に発達していない時期は、活力剤単独での使用が安全です。
肥料との併用を始める際は、まず薄めの濃度から試していくことをお勧めします。植物の反応を見ながら、徐々に調整していくことで最適な組み合わせが見つかります。
土壌環境や植物の状態による選び方
土の状態や植物の生育段階によって、両製品の効果の現れ方は異なります。メネデールは特に根の再生や活着促進に効果を発揮し、リキダスは総合的な栄養補給と代謝促進に優れています。
日当たりの良い場所では、メネデールの効果が分かりにくい場合があります。これは、光合成に必要な鉄分が十分に確保できている環境では、追加の補給効果が限定的になるためです。
リキダスは、カルシウムを含む各種ミネラルをバランスよく配合しているため、鉢栽培での微量要素不足に対して効果的です。特に、土壌のpH変化を気にする必要がない点が特徴です。
植物が弱っている場合は、まずメネデールで根の回復を図り、その後リキダスに切り替えて生育を促進するという段階的な使用方法も効果的です。
土壌環境の改善には、活力剤単独での使用よりも、適切な肥料との組み合わせが重要です。状況に応じて、両製品を使い分けることで最適な効果が期待できます。
まとめ:メネデールとリキダスの違いを活かした効果的な使用方法
最後に記事のポイントをまとめます。
- メネデールは2価鉄イオンを主成分とし、根の再生と活着促進に特化している
- リキダスはコリン・フルボ酸・アミノ酸の相乗効果で植物の代謝を促進する
- 希釈倍率はメネデールが100倍、リキダスが200倍が基本
- リキダスは約5倍のコストパフォーマンスの差がある
- 実験ではリキダスがより顕著な根の生育効果を示した
- メネデールは弱った植物や若い植物の回復に適している
- リキダスはカルシウム補給効果があり、野菜の生理障害予防に有効
- 両製品とも葉面散布が可能だが、使用方法に注意が必要
- NPKを含む肥料との併用が成長促進には必要
- 光環境によってメネデールの効果の現れ方が異なる
- 両製品は植物の状態や目的に応じて使い分けることで最適な効果を発揮する
- 過剰な使用は逆効果となる可能性があり、適切な希釈倍率の遵守が重要