エケベリアの花芽が出てきたとき、どう対処すればいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。エケベリアは春になると葉の間から細長い花芽を伸ばし始めます。この花芽をそのまま放置すると、株が弱ってしまう可能性があるため、適切な処理が必要になります。

花芽は株の体力を消耗させる原因となりますが、うまく活用すれば新しい株を増やすチャンスにもなります。この記事では、エケベリアの花芽の正しい対処方法から、花芽を使った増やし方まで、具体的にご紹介していきます。
記事のポイント!
- エケベリアの花芽をなぜカットする必要があるのか
- 花芽のカット方法と適切なタイミング
- カットした花芽の活用方法と増やし方
- 花芽から株を増やすときの成功のコツ
エケベリアの花芽が出てきた時の正しい対処方法
- 花芽を放置すると株が弱って枯れる可能性がある
- 花芽は5cmほど残してカットするのがベスト
- 花芽カット後は乾燥させてから引き抜く
- 切った花芽は水挿しで楽しめる
花芽を放置すると株が弱って枯れる可能性がある
エケベリアは冬の終わりから春にかけて、葉の間から花芽を伸ばし始めます。この花芽を咲かせることは、植物にとって大きなエネルギーを必要とする作業です。
花芽を放置して咲かせてしまうと、株の体力を大きく消耗してしまいます。その結果、株が弱ってしまい、夏の暑さに耐えられなくなってしまう可能性があります。
交配をしない場合は、花芽が伸び始めた段階でカットすることをおすすめします。これにより、株の体力を温存することができます。
また、1つの株から複数の花芽が出てくることもあります。この場合、すべての花芽にエネルギーを取られてしまうため、特に注意が必要です。
最悪の場合、株が完全に枯れてしまうこともあるため、早めの対処が大切になります。
花芽は5cmほど残してカットするのがベスト
花芽のカット方法は、根元から5〜8cm程度を残してカットするのが適切です。この長さは、後で花芽を引き抜く際に指でしっかりと掴めるようにするためです。
カットには清潔なハサミを使用するか、手で摘み取る方法があります。ハサミを使用する場合は、切り口から雑菌が入るのを防ぐため、使用前に消毒することをおすすめします。
短すぎるとその後の処理が難しくなり、長すぎると乾燥に時間がかかってしまいます。適度な長さを残すことで、後の管理が楽になります。
手で摘み取る場合は、花芽を優しく持ち、横にねじるようにすると簡単に取れます。この方法なら、ハサミの消毒も不要です。
カットする際は、株を傷つけないよう注意深く作業を行いましょう。
花芽カット後は乾燥させてから引き抜く

カットした後の花芽の茎は、そのまま残しておきます。1ヶ月程度経過すると、茎が茶色く乾燥してきます。
乾燥が進むと、茎は自然とカラカラに固くなります。この状態になったら、上方向にスッと引っ張ることで簡単に抜くことができます。
乾燥前に無理に引き抜こうとすると、株を傷つけてしまう可能性があります。傷ついた部分から雑菌が入り、株の健康に影響を与える可能性があるため、必ず乾燥するまで待ちましょう。
カットした直後は、茎の切り口に水が溜まらないよう注意が必要です。水が溜まると虫や雑菌が繁殖しやすくなります。
乾燥を待つ間は、通常通りの水やりと日光管理を続けましょう。
切った花芽は水挿しで楽しめる
カットした花芽は、すぐに捨ててしまうのではなく、水挿しをして楽しむことができます。花瓶に入れると、1週間ほど観賞することができます。
多肉植物の花は、すずらんのような形をしていて、原色に近い色合いの可愛らしい花を咲かせます。水に挿して、インテリアとして楽しむのもおすすめです。
花芽の茎についた葉を利用して、新しい株を増やすこともできます。ただし、すべての品種で成功するわけではありません。
カットした花は、ドライフラワーにすることも試されていますが、水分量が多いため、成功は難しいようです。
水挿しで楽しむ場合は、水を定期的に取り替えて、清潔に保つことを心がけましょう。

エケベリアの花芽を使った増やし方のコツ
- 花芽の葉は挿し木で増やせる
- 花芽の茎からも新芽が出る
- 葉挿しは春と秋が成功率が高い
- 乾燥させてから土に挿すのがポイント
- 水やりは根が出てから開始する
- 葉挿しに向いている品種と向かない品種がある
花芽の葉は挿し木で増やせる
花芽についている葉は、通常の葉と同じように挿し木で増やすことができます。花芽の葉は成長のパワーが一番集まっている場所で、生命力の塊といえます。
花芽の葉を取る時は、横に少し押すようにすると簡単に取れます。葉は葉の付け根を傷めないように慎重に取り外すことが大切です。
取った葉は、そのまま土に挿すか、土の上にばらまいて軽く土をかけるだけでOKです。細かな葉の場合は、土に植えるのも大変なので、土の上にパラパラとばら撒いて、軽く土をかけるだけでも育ちます。
大きな葉のほうが小さな葉よりも成功率が高い傾向にあります。ぷっくりと肉厚でしっかりしている葉が、挿し木に向いています。
カリカリになっていたり、しおれかけている葉からは芽が出にくいので、なるべく新鮮な葉を使うようにしましょう。
花芽の茎からも新芽が出る
花芽の茎をそのまま土に挿しておくと、新しい芽が出てくることがあります。ディフラクテンスやブルースカイなどの品種では、この方法での増殖に成功例があります。
花が咲いてしまった後でも、咲いた花は1つ1つ摘み取りながら茎を育てることができます。ただし、全ての品種でこの方法が使えるわけではありません。
茎は清潔なハサミでカットし、切り口を乾かしてから土に挿します。この時、茎の切り口から雑菌が入らないよう注意が必要です。
茎を挿してから発根するまでは、水やりを控えめにします。土の表面が乾いたら、霧吹きで軽く湿らせる程度にとどめましょう。
花芽の茎からの増殖は、出たら儲けものと考えて、気楽に試してみるのがおすすめです。
葉挿しは春と秋が成功率が高い

多肉植物の葉挿しは、一年中できますが、特に3〜6月、9〜10月頃が発育に適した時期です。この時期は気温が穏やかで、根の成長も活発になります。
真夏は気温が高すぎて根が育ちにくく、冬は寒さで成長が止まってしまいます。そのため、この2つの時期は避けたほうが無難です。
環境としては、直射日光の当たらない明るい場所が理想的です。強い日差しは葉を傷めてしまう可能性があるため、注意が必要です。
葉挿しで発根してから芽が出るまでには、2〜3ヶ月ほどかかります。すぐに結果を求めず、じっくりと育てることが大切です。
うまく育てば、1枚の葉から新しい株を作ることができ、コストをかけずに植物を増やすことができます。
乾燥させてから土に挿すのがポイント
葉挿しをする際は、葉を取ってから切り口を1週間程度乾燥させます。これは、切り口から雑菌が入るのを防ぐためです。
乾燥させる場所は、風通しの良い日陰がおすすめです。直射日光の当たらない場所で、葉を平らに置いて乾燥させましょう。
乾燥期間中は水やりは一切不要です。むしろ、水に触れることで腐りやすくなってしまうので避けましょう。
切り口が乾いたら、バーミキュライトなどの用土に浅く挿します。この時、葉の切り口が土に少し埋まる程度で十分です。
用土は水はけの良いものを選び、鉢底には必ず排水用の穴を開けておきましょう。
水やりは根が出てから開始する
葉挿しした後の水やりは、根が出てきてから始めます。それまでは土の表面を霧吹きで軽く湿らせる程度にとどめておきましょう。
最初の1〜2週間で細い根が出始め、その後数週間で小さな葉芽が出てきます。この時期に水のやりすぎは禁物です。
根が出てきたら、土の表面が乾いたときに、土が湿る程度に水をあげます。株が大きくなるまでは、水のやりすぎに特に注意が必要です。
水やりは朝か夕方に行い、日中の暑い時間は避けます。また、葉に直接水がかからないよう気をつけましょう。
葉挿しした苗は、通常の株よりも水に弱いため、様子を見ながら水やりの量を調整していきます。
葉挿しに向いている品種と向かない品種がある
エケベリアの中でも、デントラチェムやピンクトップは花芽からも増えやすい品種として知られています。これらの品種は葉がポロポロと落ちやすい特徴があります。
一方で、青鬼など葉挿しが難しいとされる品種もあります。これらの品種は、花芽からの増殖も同様に難しい傾向にあります。
増やしたい品種がある場合は、その品種の特性を調べてから挑戦するのがおすすめです。品種によって成功率に大きな差があるため、最初から難しい品種に挑戦するのは避けたほうが良いでしょう。
葉の状態も重要で、肉厚でハリのある葉のほうが成功しやすい傾向にあります。しおれた葉や薄い葉からは、なかなか新芽が出てきません。
品種を問わず、葉挿しは出たら儲けものと考え、気軽に試してみることをおすすめします。

まとめ:エケベリアの花芽は株を守りつつ増やすチャンス
最後に記事のポイントをまとめます。
- エケベリアの花芽は春先から伸び始める
- 花芽を放置すると株の体力を奪い、枯れる可能性がある
- 花芽は根元から5〜8cm残してカットする
- カット時はハサミを消毒するか、手で摘み取る
- カットした茎は完全に乾燥してから抜き取る
- 花芽は水挿しして1週間程度観賞できる
- 花芽の葉は挿し木で増やすことが可能
- 葉挿しは春(3〜6月)と秋(9〜10月)が適期
- 葉挿しする前に1週間程度切り口を乾燥させる
- 根が出るまでは水やりを控えめにする
- 品種によって葉挿しの成功率に差がある
- デントラチェムやピンクトップは増やしやすい品種である