ベニカナメモチとレッドロビン、どちらも新芽が美しい赤色になることで知られる生垣用の植物です。葉の形や大きさ、新芽の赤さの違いなど、見た目の特徴に違いがあり、それぞれの特性を理解することで適切な選択ができます。
レッドロビンはカナメモチとオオカナメモチの交配種として開発された品種で、ベニカナメモチよりも根付きが良く、病気への抵抗力も優れています。この記事では、それぞれの特徴や育て方、管理方法の違いについて詳しく解説していきます。
記事のポイント!
- レッドロビンとベニカナメモチの見分け方と特徴の違い
- それぞれの植物の育て方と管理方法のポイント
- 病気への対策と予防方法
- 剪定時期や肥料の与え方などの具体的なケア方法
レッドロビンとベニカナメモチの違いを徹底解説!特徴や育て方の比較
- レッドロビンはベニカナメモチの改良品種として開発された
- 葉の形や大きさで見分けるポイントがある
- レッドロビンの方が新芽の赤みが鮮やか
- 花は5-6月に咲くが、レッドロビンは実をつけない
- 育てる場所は日当たりと水はけの良い場所が最適
- 青酸配糖体による毒性に注意が必要
レッドロビンはベニカナメモチの改良品種として開発された
レッドロビンは、カナメモチとオオカナメモチの交配によって作られた園芸品種です。この品種が開発された背景には、従来のベニカナメモチの課題がありました。
ベニカナメモチは根が伸びにくく、移植後の活着率が低いという問題を抱えていました。また、病気が広がりやすいという特徴があり、次第に人気が低下していきました。
そこで、より丈夫で育てやすい品種として開発されたのがレッドロビンです。発根性が良く、乾燥にも強い特徴を持っています。
乾燥に強いという特性は、長期の干ばつでもほとんど枯れることがないという強みにつながっています。
水やりなどの管理が困難な場所における緑化にも適しているため、現在では多くの場所で見かけることができます。
葉の形や大きさで見分けるポイントがある
レッドロビンとベニカナメモチを見分けるポイントは、葉の特徴にあります。
カナメモチの葉には鋸歯の痕跡である茶色の斑点が残りますが、レッドロビンにはそのような斑点は見られません。
レッドロビンの葉は、カナメモチやベニカナメモチよりも大きく、光沢があるのが特徴です。また、葉先がハート型の下半分のように尖っているのも見分けるポイントです。
葉の縁には鋭い鋸歯があるのがカナメモチの特徴ですが、レッドロビンの葉の先端には鋸歯が残らないという違いがあります。
このような特徴の違いがありますが、一般の人が見ただけでは区別するのが難しい場合もあります。
レッドロビンの方が新芽の赤みが鮮やか
レッドロビンは、ベニカナメモチよりも新芽の赤みが強いことが特徴です。
燃えるように鮮やかに紅く芽吹く様子は、生垣として植えられた際に特に美しく見えます。
新芽は春から秋にかけて次々と展開し、剪定後にも新芽を出すため、年間を通じて赤い新芽を楽しむことができます。
陽光を受けると葉の光沢が際立ち、より美しく見えます。
赤い新芽と緑の葉のコントラストが魅力的で、庭の景観を引き立てる効果があります。
花は5-6月に咲くが、レッドロビンは実をつけない
レッドロビンは5~6月頃に白い小さな花を咲かせます。
交雑により作出された品種であるため不稔性で、果実をつけることはありません。花の拡大写真を見ると、葯が白いため花粉が成熟していないことがわかります。
このような特徴は、周囲の森林に逃げ出すことがないという点で、植栽樹種として好ましい性質となっています。
ベニカナメモチの場合は、11~12月頃に直径0.4~0.5cmほどの赤い実をつけます。
花は両方とも白色で、枝先に直径約10cmの複散房花序をつけて咲きます。
育てる場所は日当たりと水はけの良い場所が最適
レッドロビンもベニカナメモチも、日当たりと水はけの良い場所を好みます。
土壌は肥沃な場所が最適で、日陰では葉色が悪くなる傾向があります。特にレッドロビンは、日照不足だと葉の赤みが良く出ないことがあります。
また、土中の窒素分が多すぎると葉色が悪くなることがあるため、その場合は適度に鶏糞を施すことで改善できます。
生垣として植える場合は、30cm程度の間隔を空けて植えることが推奨されています。
耐暑性と耐陰性が多少あるため、様々な場所での生育が可能です。
青酸配糖体による毒性に注意が必要
レッドロビンには、人間やペットに対して軽度の毒性リスクがあります。植物のすべての部分に青酸配糖体が含まれているためです。
この成分を摂取すると、嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状を引き起こす可能性があります。
特にペットが症状を示した場合は、すぐに獣医師の診察を受ける必要があります。
管理する際は、剪定した枝葉の処理に注意を払い、ペットが誤って口にしないよう気をつける必要があります。
このような毒性があることを理解した上で、適切な管理を行うことが重要です。
レッドロビンとベニカナメモチの育て方と管理方法の違い
- 剪定時期は年2-3回が基本
- 病気に注意!ごま色斑点病の予防と対策
- 剪定道具の選び方と使い方
- 正しい植え付け方法と間隔
- 肥料の与え方と時期
- 水やりの頻度と注意点
剪定時期は年2-3回が基本
剪定の時期は、春の3~4月、梅雨時の6月、秋の9~10月が適期とされています。
真夏の暑い時期を避ければ、春から秋まで剪定が可能です。ただし、真冬の剪定は避けるべきで、この時期は病害虫の被害を受けた部分や枯枝の除去程度にとどめます。
生垣として密に育てる場合は強めに剪定を行うことができます。萌芽力が強いため、強剪定でもあまり気にする必要はありません。
ただし、太い枝を短く切りすぎると枯れ枝を起こす可能性があるため注意が必要です。小まめに剪定を行うことで、分枝が増えて密に仕立てることができます。
頭頂部の芯止めをすると横枝が多く出るため、密に繁らすことができます。紅い新芽を楽しむ場合は、年2回(初夏と秋)に剪定を行うことで、新芽の展開を促すことができます。
病気に注意!ごま色斑点病の予防と対策
レッドロビンが特にかかりやすい病気として、ごま色斑点病があります。葉に赤紅色の斑点ができ、さらにつながって灰~灰褐色の斑点になっていきます。
病気にかかると葉が一気に落ち、樹勢がだんだんと衰えていきます。発生してからの回復は難しく、予防が重要です。
感染源となる葉は焼却処分するなど、被害を拡大させない対策が必要です。予防には5~8月に月2回ほど殺菌剤を散布することが効果的です。
風通しや日当たりが悪いと病気の原因となるカビが繁殖しやすくなります。特に5~7月、9~10月の長雨の時期に被害が大きくなるため、この時期は剪定や株元の掃除、除草をこまめに行うことが重要です。
病気の予防には、適切な土壌管理も重要です。肥料分の無い痩せ地や排水不良の場所では病気が発生しやすくなるため、堆肥などの土壌改良剤を株元にすき込んで、土壌改善を行うことが推奨されています。
剪定道具の選び方と使い方
剪定には、剪定バサミ、庭木バサミ、刈り込みバサミなど、用途に応じた道具を使用します。
剪定バサミは直径1~2cmほどの枝を切ることができ、手の大きさに合わせてサイズを選びます。左利き用も販売されているので、使いやすいものを選びましょう。
庭木バサミは刃先が細く、剪定バサミでは入りにくい込み入った場所の剪定に適しています。細い枝や仕上げの際に使用します。
刈り込みバサミは生垣を整える際に使用する柄の長いハサミです。太い枝を切るためのものではなく、葉を細かく整えるために使用します。
電動バリカン(ヘッジトリマー)を使用すれば、刈り込みバサミよりも数倍速く作業ができます。ただし、太めの枝が切れない場合があるため、注意が必要です。
正しい植え付け方法と間隔
植え付けに適した時期は、3月~4月と9月~10月です。真夏以外であれば植え付け可能ですが、厳寒期は避けた方が良いでしょう。
生垣として植える場合は、30cm位の間隔で植え付けを行います。これにより、適度な密度の生垣を作ることができます。
植え付け時には有機質肥料を株の周りに、根に直接触れないように施します。根付きを良くするため、水はけの良い場所を選びましょう。
植え付け後、希望する樹高になったら頭頂部の芯止めを行います。これにより横枝が多く出て、密に繁らせることができます。
土は肥沃な土壌が好ましく、日当たりと水はけの良い場所を選ぶことが重要です。排水不良の場所では生育不良になる可能性があります。
肥料の与え方と時期
肥料は2~3月と9月の年2回与えることが基本です。窒素分が多すぎると葉色が悪くなるため、適度な量を守ることが重要です。
植え付け時には、有機質肥料を根に直接触れないように施します。その後は生育状況を見ながら、追肥を行っていきます。
土壌が痩せていると病気にかかりやすくなるため、堆肥などの土壌改良材を定期的に施すことで、土壌環境を整えることができます。
肥料が不足すると葉色が悪くなるため、定期的な施肥が必要です。ただし、与えすぎると根を痛める可能性があるので注意が必要です。
追肥の際は、株元に浅く穴を掘って施すか、株の周りに円を描くように散布します。雨で流れないよう、軽く土をかぶせることがポイントです。
水やりの頻度と注意点
レッドロビンは乾燥に強く、一度根付いてしまえば、極端に乾燥したとき以外は水やりの必要はありません。
植え付け直後は、土が乾かないように注意して水やりを行います。特に夏場は土の乾き具合を確認しながら、必要に応じて水やりを行いましょう。
日照不足では葉色が良く出ないため、水はけの良い日当たりの良い場所で育てることが重要です。
排水不良の場所では根腐れを起こす可能性があるため、水はけの改善が必要です。植え付け前に、必要に応じて排水対策を行いましょう。
耐暑性があり、長期の干ばつでもほとんど枯れることがないため、管理の手間が少ない植物と言えます。
まとめ:レッドロビンとベニカナメモチの違いと選び方のポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- レッドロビンはカナメモチとオオカナメモチの交配種として開発された改良品種である
- レッドロビンは根付きが良く、病気への抵抗力に優れている
- 葉の形状で見分けが可能で、レッドロビンには鋸歯の痕跡が残らない
- レッドロビンの方が新芽の赤みが鮮やかである
- 両種とも5-6月に白い花を咲かせるが、レッドロビンは実をつけない
- 剪定は年2-3回、3-4月、6月、9-10月が適期である
- ごま色斑点病への予防対策が重要である
- 日当たりと水はけの良い場所での栽培が最適である
- 生垣として植える場合は30cm間隔での植え付けが推奨される
- 肥料は年2回、2-3月と9月に与える
- 水やりは極端な乾燥時以外不要である
- 青酸配糖体による毒性があるため取り扱いに注意が必要である