自宅でしそを育てたいと思っているけれど、土を使った栽培は虫が心配だったり、マンションのベランダでは難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめなのが「しそ水耕栽培」です。水耕栽培なら室内の窓辺で手軽に始められ、病害虫の心配も少なく、初心者でも成功しやすい栽培方法として注目されています。
しそ水耕栽培の最大の魅力は、100均グッズとペットボトルだけで始められる手軽さと、種まきから約2〜3週間で収穫できる速さです。一度軌道に乗れば、摘芯を繰り返すことで半年以上にわたって新鮮なしそを収穫し続けることができ、スーパーで購入するよりもはるかに経済的です。この記事では、初心者でも失敗しないしそ水耕栽培の始め方から、長期間収穫を続けるコツまで、実際の栽培記録を基に詳しく解説していきます。
この記事のポイント |
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✅ ペットボトルと100均グッズだけで始められる超簡単な方法 |
✅ 種から約2週間で収穫開始できる速さ |
✅ 室内栽培で病害虫の心配がほとんどない |
✅ 一度の種まきで半年以上収穫を継続する方法 |
しそ水耕栽培の基本知識と必要な道具
- しそ水耕栽培が初心者におすすめな理由
- 100均で揃う必要な道具と材料一覧
- しそ水耕栽培に適した品種選び
- 栽培環境の整え方とポイント
- 種まき前の準備作業の手順
- 発芽までの管理方法とコツ
しそ水耕栽培が初心者におすすめな理由
しそ水耕栽培が多くの初心者に選ばれる理由は、その手軽さと成功率の高さにあります。土を使った従来の栽培と比べて、水耕栽培には数多くのメリットがあります。
まず、病害虫の被害を受けにくいという大きな利点があります。土を使わないため、土壌由来の病原菌や害虫の心配がほとんどありません。これは室内栽培において特に重要で、アブラムシやハダニなどの害虫に悩まされることが大幅に減少します。
室内の窓辺で年中栽培可能な点も魅力的です。屋外での栽培では季節や天候に左右されがちですが、水耕栽培なら15〜25℃程度の室温を保てる環境があれば、一年を通して栽培を楽しむことができます。
🌱 しそ水耕栽培の主要メリット
メリット | 詳細 |
---|---|
病害虫リスクの軽減 | 土壌由来の病気や害虫の心配がほとんどない |
年中栽培可能 | 室内環境で季節を問わず栽培できる |
清潔で管理しやすい | 土汚れがなく、水の管理のみで済む |
成長が早い | 栄養供給が効率的で従来栽培より早く収穫可能 |
設置場所を選ばない | ベランダがなくても窓辺で栽培できる |
さらに、生命力が強く初心者でも育てやすいという特性があります。しそは本来丈夫な植物で、水耕栽培においても比較的失敗が少なく、2〜3週間ほどで収穫ができるため、初めての方でも成果を実感しやすいのが特徴です。
100均で揃う必要な道具と材料一覧
しそ水耕栽培の素晴らしい点は、ほぼすべての道具を100均で揃えられることです。特別な設備や高額な器具は一切必要なく、身近な材料だけで本格的な水耕栽培を始めることができます。
🛍️ 100均で購入できる基本道具
道具名 | 用途 | 購入場所での名称 |
---|---|---|
食器洗い用スポンジ | 培地として使用 | キッチン用ネットスポンジ |
プラスチック容器 | 栽培容器として使用 | 靴下整理カップ・収納ボックス |
猫よけマット | 根の支えとして使用 | 園芸用猫よけシート |
ピンセット | 種まきや間引きに使用 | 手芸用ピンセット |
アルミホイル | 遮光用 | キッチン用アルミホイル |
ペットボトルについては、500ml〜1Lサイズの透明なペットボトルを使用します。炭酸飲料のペットボトルは肉厚で丈夫なため、栽培容器として適しています。ペットボトルの上部7〜8cmをカットし、逆さにして重ねることで簡易的な水耕栽培装置が完成します。
液体肥料は水耕栽培専用のものが理想的ですが、一般的なハイポネックス微粉(500〜1000倍希釈)でも十分に栽培可能です。500mlの水に対して小さじ1/8程度(約0.5〜1ml)という少量で済むため、一度購入すれば長期間使用できます。
しその種については、ホームセンターやドラッグストアで135円程度で購入できます。発芽率は70%以上のものを選ぶのがおすすめで、青しそ(大葉)の種を選択しましょう。一袋で相当な数の苗を育てることができるため、非常に経済的です。
しそ水耕栽培に適した品種選び
しそ水耕栽培を成功させるためには、適切な品種選びが重要です。一般的に「しそ」と呼ばれる植物にはいくつかの種類がありますが、水耕栽培に最も適しているのは**青しそ(大葉)**です。
**青しそ(大葉)**は、最も一般的で栽培しやすい品種です。香りが強く、料理の薬味として重宝されるほか、天ぷらやパスタなどにも幅広く活用できます。水耕栽培においても成長が早く、発芽から約2〜3週間で収穫できるため、初心者には特におすすめです。
🌿 しその主要品種比較
品種名 | 特徴 | 水耕栽培適性 | 収穫までの期間 |
---|---|---|---|
青しそ(大葉) | 香りが強く、最も一般的 | ◎非常に適している | 2〜3週間 |
赤しそ | 梅干しの色付けに使用 | ○適している | 3〜4週間 |
縮緬しそ | 葉に縮みがある観賞用 | △やや難しい | 3〜4週間 |
種を購入する際は、発芽率70%以上の表示があるものを選びましょう。また、種袋に記載されている発芽適温(一般的に20〜25℃)を確認し、栽培環境と合致するかをチェックすることも大切です。
品種選びで注意したいのは、エゴマとの区別です。エゴマも英語では”Perilla”と呼ばれるため、海外から輸入された種では混同されている場合があります。食用として一般的な青しそを選ぶ場合は、日本国内で販売されている「青しそ」「大葉」と明記された種を選ぶのが安全です。
栽培環境の整え方とポイント
しそ水耕栽培を成功させるには、適切な栽培環境を整えることが不可欠です。特に重要なのは光環境、温度管理、湿度調整の3つの要素です。
光環境の整備が最も重要で、日当たりの良い窓辺が理想的な設置場所となります。しそは1日に1〜2時間程度の日差しがあれば育ちますが、できるだけ長時間光を当てることで成長が促進されます。南向きの窓が最適ですが、東向きや西向きの窓でも十分に栽培可能です。
🌡️ 最適な栽培環境条件
環境要素 | 最適範囲 | 管理のポイント |
---|---|---|
温度 | 15〜25℃ | エアコンで調整、急激な温度変化を避ける |
湿度 | 50〜70% | 過度な乾燥を避ける |
光量 | 1日1〜2時間以上の直射日光 | 窓辺での栽培が基本 |
風通し | 適度な通気性 | 窓の開閉で調整 |
温度管理については、室温15〜25℃を維持するのが理想的です。夏場の高温時(30℃超)はエアコンで1〜2℃下げる程度の調整を行い、冬場は暖房で適温を保ちます。急激な温度変化はストレスの原因となるため、緩やかな調整を心がけましょう。
設置場所の選定では、キッチンの出窓が特におすすめです。水の交換や液肥の追加が簡単に行え、料理の際に必要な分だけ摘み取ることができて非常に便利です。ただし、コンロ周辺は油煙の影響を受ける可能性があるため、適度に離れた場所に設置することが大切です。
種まき前の準備作業の手順
しそ水耕栽培を始める前に、丁寧な準備作業を行うことで、その後の栽培の成功率が大幅に向上します。準備段階で手抜きをすると、発芽不良や生育不良の原因となってしまいます。
容器の準備から始めましょう。ペットボトルを使用する場合は、上部7〜8cmの位置でカッターやハサミを使って丁寧にカットします。切り口にバリがあると根を傷つける可能性があるため、やすりで滑らかに仕上げることが重要です。
📋 準備作業の詳細手順
作業項目 | 詳細手順 | 注意点 |
---|---|---|
容器準備 | ペットボトルを7-8cmでカット | 切り口を滑らかに仕上げる |
スポンジ加工 | 2-3cm角にカット、十字の切れ込み | 深すぎない切れ込みを意識 |
猫よけカット | 容器サイズに合わせてカット | 根が通る程度の穴を確保 |
道具消毒 | アルコールで清拭 | 雑菌繁殖を防ぐため |
作業環境準備 | 新聞紙敷設、道具配置 | 効率的な作業のため |
スポンジの加工では、食器洗い用のネットスポンジからネット部分を取り除き、スポンジのみを使用します。2〜3cm角の立方体にカットした後、中央に十字の切れ込みを入れます。この切れ込みは種を挟み込むためのものですが、深すぎると種が奥に落ちてしまうため、スポンジの厚さの2/3程度に留めておきましょう。
消毒作業も重要な工程です。使用する容器、スポンジ、ピンセットなどの道具は、アルコール(エタノール70%程度)で清拭して雑菌を除去します。特に再利用する容器は念入りに洗浄し、完全に乾燥させてから消毒を行いましょう。
準備段階で作業日時を記録することも大切です。種まき日、発芽予定日、収穫予定日を容器にラベルで貼り付けておくと、管理がしやすくなります。複数の容器で栽培する場合は、それぞれに番号を付けて管理すると混乱を避けられます。
発芽までの管理方法とコツ
種まきから発芽までの期間は、しそ水耕栽培の最も重要な段階です。この時期の管理が不適切だと、発芽率の低下や発芽後の生育不良につながってしまいます。
種の前処理として、種まき前に一晩(約12時間)水に浸けることを強く推奨します。しその種は殻が硬く、そのまま播種すると発芽まで時間がかかったり、発芽率が低下したりする可能性があります。水に浸けることで殻が柔らかくなり、発芽率の向上と発芽期間の短縮が期待できます。
💧 発芽期間中の水管理ポイント
管理項目 | 頻度 | 詳細 |
---|---|---|
水位確認 | 毎日 | スポンジが乾燥しないレベルを維持 |
水交換 | 2-3日に1回 | 濁りや異臭があれば即座に交換 |
水温管理 | 常時 | 20-25℃の範囲を維持 |
保湿対策 | 播種後継続 | ティッシュペーパーで軽く覆う |
保湿管理では、種の上にティッシュペーパーを薄く乗せて乾燥を防ぎます。ティッシュペーパーは種が乾燥しない程度に軽く湿らせ、芽が出てティッシュを突き破ったら除去します。この際、無理に引っ張らずに、水で湿らせて優しく取り除くことが大切です。
光環境の調整も発芽には重要で、発芽までは直射日光を避けた明るい場所に置きます。強い光は種の乾燥を早めるため、レースのカーテン越し程度の光が理想的です。発芽後は徐々に光量を増やし、本葉が展開してから本格的な日光に当てるようにします。
発芽は通常、播種後5日〜2週間程度で始まります。最初に現れるのは白い根っこで、続いて緑色の子葉が顔を出します。個体差があるため、一度に全部が発芽しなくても慌てる必要はありません。遅れて発芽する個体もあるので、2週間程度は様子を見続けましょう。
しそ水耕栽培の実践テクニックと長期管理
- ペットボトル容器への移植タイミングと方法
- 液体肥料の適切な使い方と濃度調整
- 水換えの頻度と清潔な環境維持
- 摘芯による収穫量アップの技術
- アオコ発生の予防と対策方法
- 根の整理と容器サイズアップの判断
- まとめ:しそ水耕栽培で年中新鮮なしそを楽しむ方法
ペットボトル容器への移植タイミングと方法
発芽したしその苗をペットボトル容器に移植するタイミングは、栽培の成功を左右する重要な工程です。早すぎても遅すぎても苗にストレスを与えてしまうため、適切な判断が必要です。
移植の最適タイミングは、本葉が1〜2枚展開し、根の長さが1.5〜2cm程度になった時期です。一般的には播種後17日目頃がこの条件に当てはまることが多いです。子葉のみの状態では根がまだ十分に発達していないため、移植は控えるべきです。
🌱 移植タイミングの判断基準
判断基準 | 詳細 | 移植適性 |
---|---|---|
根の長さ | 1.5-2cm程度 | ◎最適 |
葉の状態 | 本葉1-2枚展開 | ◎最適 |
子葉のみ | 根が短い状態 | △まだ早い |
根が3cm以上 | 絡み合いのリスク | △やや遅い |
移植作業の手順では、まず新しいペットボトル容器を準備します。下部に飲み口が浸る位置まで水を入れ、上部を逆さにして重ねた構造を作ります。スポンジに苗を挟み込む際は、根を傷つけないように細心の注意を払いましょう。
移植時のピンセットの使い方がポイントで、苗の茎ではなく子葉を軽く挟んで持ち上げます。根が長すぎる場合は、先端部分を少しカットしても問題ありません。むしろ、根の先端をカットすることで新しい根の発生が促進される効果があります。
水位調整では、根が液肥に触れる程度に調整します。根全体が水に浸かってしまうと酸素不足を起こし、逆に水位が低すぎると栄養吸収ができません。理想的な水位は、根の下端がわずかに液肥に触れる程度です。
移植後は2〜3日間は直射日光を避けた明るい場所に置き、環境変化によるストレスを軽減します。この期間中は新しい根の発生を待つ重要な時期のため、水換えは控えめにし、苗の様子を注意深く観察しましょう。
液体肥料の適切な使い方と濃度調整
しそ水耕栽培において、液体肥料の管理は収穫量と品質を決定づける最重要要素です。適切な濃度と施肥タイミングを守ることで、健康で香り高いしそを育てることができます。
肥料の種類選択では、水耕栽培専用の液体肥料が理想的ですが、一般的なハイポネックス微粉でも十分に栽培可能です。重要なのはNPK(窒素・リン酸・カリウム)のバランスで、しそのような葉菜類には窒素成分がやや多めの肥料が適しています。
🧪 液体肥料の調製方法
肥料の種類 | 希釈倍率 | 1Lあたりの使用量 | 施肥頻度 |
---|---|---|---|
ハイポネックス微粉 | 500-1000倍 | 1-2g(小さじ1/2) | 週1回 |
水耕栽培専用液肥 | 商品指示通り | 商品説明書参照 | 週1-2回 |
薄めの液肥 | 1500倍 | 0.7g程度 | 週2回 |
濃度調整の実際では、最初は薄めの濃度(1000倍希釈)から始め、植物の反応を見ながら徐々に調整します。濃すぎる肥料は根焼けを起こし、薄すぎると栄養不足で成長が遅れます。葉の色が濃い緑色になっていれば適正濃度、黄色っぽくなっていれば栄養不足のサインです。
施肥タイミングは、本葉が2〜3枚展開した頃から開始します。それまでは種子に含まれる栄養分で十分に成長できるため、早期の施肥は必要ありません。施肥開始後は週1回のペースで液肥を与え、収穫期に入ったら週2回に増やすことも可能です。
液肥を調製する際の計量のコツとして、小容量の計量スプーンセットを用意しておくと便利です。1/8ティースプーン(約0.6ml)程度の極小計量スプーンがあれば、正確な計量が可能になります。作り置きした液肥は冷暗所で保存し、1週間以内に使い切るようにしましょう。
肥料の効果確認は、葉の色と成長速度で判断します。健康な状態では、新しい葉が鮮やかな緑色で、週に2〜3枚のペースで展開します。成長が停滞したり、葉色が悪くなったりした場合は、濃度を見直すか、施肥頻度を調整する必要があります。
水換えの頻度と清潔な環境維持
水耕栽培における水質管理は、病気予防と健全な成長のために欠かせない作業です。適切な水換えサイクルと清潔な環境維持により、長期間にわたって安定した栽培が可能になります。
基本的な水換え頻度は3〜7日に1回ですが、気温や植物の成長段階によって調整が必要です。夏場の高温期や成長が旺盛な時期は水の消費量が増え、水質悪化も早まるため、頻度を上げる必要があります。
💧 季節別水換え管理表
季節・条件 | 水換え頻度 | 注意点 |
---|---|---|
春・秋(適温期) | 5-7日に1回 | 標準的な管理 |
夏(高温期) | 3-4日に1回 | 水温上昇に注意 |
冬(低温期) | 7-10日に1回 | 水の消費量減少 |
成長旺盛期 | 3-5日に1回 | 栄養消費量増加 |
水質チェックのポイントとして、以下の項目を定期的に確認します。水が濁っている、異臭がする、油膜が浮いている、緑色に変色している(アオコ発生)などの症状が見られたら、頻度に関係なく即座に水換えを行いましょう。
水換え作業の手順では、まず古い水を完全に排出し、容器内部を流水で軽く洗浄します。根に付着した汚れは無理に取り除こうとせず、流水で優しく流す程度に留めます。新しい液肥を調製して投入する際は、水温を室温程度に合わせることが重要です。
容器の清掃は月1回程度、より徹底的に行います。苗を一時的に別の容器に移し、栽培容器を中性洗剤で洗浄後、アルコール消毒を行います。特に容器の底部や角の部分は汚れが蓄積しやすいため、歯ブラシなどを使って丁寧に清掃しましょう。
清潔な環境維持のためには、栽培場所周辺の整理整頓も重要です。枯れた葉や落ちた種などは雑菌の温床となるため、速やかに除去します。また、水やりの際に周囲に飛び散った水滴は、カビの原因となる可能性があるため、乾いた布で拭き取ることを習慣にしましょう。
摘芯による収穫量アップの技術
しそ水耕栽培において**摘芯(てきしん)**は、収穫量を飛躍的に増加させる重要な技術です。適切な摘芯により、単一の株から半年以上にわたって継続的に収穫することが可能になります。
摘芯の基本原理は、植物の頂芽(先端の芽)を摘み取ることで、脇芽の成長を促進することにあります。しそは摘芯により分枝が促進され、収穫可能な葉の数が格段に増加します。摘芯を行わない場合と比較して、3〜5倍の収穫量を得ることも珍しくありません。
✂️ 摘芯実施のタイミングと方法
成長段階 | 摘芯タイミング | 摘芯箇所 | 期待効果 |
---|---|---|---|
初回摘芯 | 本葉6-8枚時 | 先端の成長点 | 主枝分岐の促進 |
二回目摘芯 | 脇芽4-6枚時 | 各脇芽の先端 | 二次分岐の促進 |
維持摘芯 | 随時 | 花芽・徒長枝 | 葉質維持・収穫継続 |
摘芯の実施方法では、清潔なハサミやピンセットを使用し、成長点の1〜2cm上でカットします。カット後の切り口から雑菌が侵入するのを防ぐため、作業は晴天の日の午前中に行うのが理想的です。
初回摘芯のタイミングは、播種後約70日目、本葉が6〜8枚展開した時期が適切です。この時期に摘芯を行うことで、主茎から複数の脇芽が発生し、ブッシュ状の株形に育ちます。摘芯が早すぎると株の基盤が不安定になり、遅すぎると脇芽の発生が少なくなってしまいます。
摘芯後は2〜3週間で新しい脇芽が勢い良く成長を始めます。この脇芽が4〜6枚の葉を展開した段階で、再度摘芯を行います。このサイクルを繰り返すことで、一株から数十枚の葉を同時に収穫できる状態を維持できます。
花芽の処理も収穫量維持には重要で、花芽を発見したら即座に摘み取ります。開花すると葉が硬くなり、香りも薄くなってしまうため、常に栄養成長状態を維持することが美味しいしそを収穫するコツです。摘み取った花芽も食用として利用できるため、無駄がありません。
アオコ発生の予防と対策方法
水耕栽培においてアオコ(藻類)の発生は避けて通れない問題の一つです。しかし、適切な予防策と早期対応により、アオコの影響を最小限に抑えることができます。
アオコ発生の原因は、光・栄養・温度の三要素が揃うことです。特に直射日光が当たる液肥に栄養分が豊富にある状態では、アオコが急速に繁殖します。容器が透明なペットボトルの場合、光の遮断が最重要の予防策となります。
🦠 アオコ発生段階別対策
発生段階 | 症状 | 対策 | 効果 |
---|---|---|---|
予防段階 | 発生前 | アルミホイル遮光・定期水換え | ◎高い予防効果 |
初期段階 | 水の薄緑化 | 即座の水換え・遮光強化 | ○拡大防止 |
進行段階 | 緑色濁り・異臭 | 完全水換え・容器洗浄 | △改善可能 |
重篤段階 | 濃緑色・油膜 | 容器交換・苗の移植 | △部分的改善 |
遮光対策として最も効果的なのは、アルミホイルによる容器の覆いです。容器の下半分をアルミホイルで包むことで、根部への光の侵入を防ぎます。この際、上部の茎葉部分は光合成のために光を当てる必要があるため、遮光範囲の調整が重要です。
予防的水換えも有効で、アオコが発生していない段階でも定期的な水換えを行うことで、栄養濃度を適正に保ちます。特に夏場は週2回程度の水換えを行い、アオコの栄養源となる有機物の蓄積を防ぎます。
万が一アオコが発生してしまった場合の対処法として、まず完全な水換えを行います。容器内部をブラシで軽く擦り、アオコを除去した後、アルコール消毒を行います。根に付着したアオコは無理に除去せず、流水で優しく洗い流す程度に留めます。
重篤なアオコ発生の場合は、思い切って容器を交換し、苗を新しい環境に移植することも必要です。この際、根の一部をカットして新鮮な根の発生を促すことで、健全な成長を回復させることができます。アオコの発生は植物の健康に直接的な害はないものの、見た目と水質の悪化を招くため、早期の対策が重要です。
根の整理と容器サイズアップの判断
長期間のしそ水耕栽培では、根の過成長が問題となることがあります。適切な根の管理と必要に応じた容器のサイズアップにより、健全な成長を維持することができます。
根の整理が必要な兆候として、水の消費量急増、液肥の交換頻度増加、根が茶色く変色、容器からの根のはみ出しなどが挙げられます。これらの症状が見られた場合は、根の整理を検討する時期です。
🌿 根の状態チェックポイント
チェック項目 | 健全な状態 | 要注意状態 | 対処が必要 |
---|---|---|---|
根の色 | 白〜薄黄色 | 一部茶色 | 全体的に茶色 |
根の量 | 容器の1/3程度 | 容器の1/2程度 | 容器を超える |
水の消費 | 週2-3回補給 | 毎日補給 | 1日複数回補給 |
根の硬さ | 柔軟性あり | やや硬い | 硬く脆い |
根の整理作業は、清潔なハサミを使用して行います。茶色く変色した古い根や、過度に長く伸びた根を中心にカットします。全体の根量の1/3程度を目安に整理し、健全な白い根は残すように注意します。
根の整理を行う際は、同時に容器サイズアップも検討しましょう。1Lペットボトルから始めた栽培では、成長に伴いより大きな容器への移植が必要になることがあります。牛乳パックや大型のプラスチック容器への移植により、根の成長空間を確保できます。
容器移植の手順では、まず新しい容器を準備し、適切な液肥を満たします。苗を慎重に取り出し、根を整理した後、新しい容器に設置します。移植後は2〜3日間、直射日光を避けた場所で管理し、移植ストレスの軽減を図ります。
移植後の管理では、最初の1週間は水換え頻度を上げ、根の活着を促進します。新しい環境に適応するまでの間は、施肥濃度をやや薄めにし、徐々に通常濃度に戻していきます。適切な根の管理により、一株から半年以上の長期収穫が可能になります。
まとめ:しそ水耕栽培で年中新鮮なしそを楽しむ方法
最後に記事のポイントをまとめます。
- しそ水耕栽培は100均グッズとペットボトルで手軽に始められる初心者向け栽培法である
- 病害虫の心配が少なく、室内の窓辺で年中栽培が可能である
- 種まき前の一晩水浸けにより発芽率と発芽速度が大幅に向上する
- 発芽から約2〜3週間で最初の収穫が可能で成果を実感しやすい
- 液体肥料は500〜1000倍希釈で週1回施肥が基本的な管理方法である
- 水換えは3〜7日に1回行い、清潔な環境維持が成功の鍵である
- 摘芯技術により収穫量を3〜5倍に増加させることができる
- アオコ対策にはアルミホイルによる遮光が最も効果的である
- 根の整理と容器サイズアップにより長期栽培が実現できる
- 適切な品種選択では青しそ(大葉)が最も栽培しやすい
- 移植タイミングは本葉1〜2枚展開、根長1.5〜2cmが最適である
- 温度管理15〜25℃、日当たり良好な窓辺が理想的な栽培環境である
- 花芽の早期摘除により葉質と香りの良好な状態を維持できる
- 一株から半年以上の継続収穫により経済的効果が高い
- 初期投資は数百円程度で済み、継続コストもほとんどかからない
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://m.youtube.com/watch?v=lfaSIlyOgJE
- https://ameblo.jp/mikatapper/entry-12786808280.html
- https://m.youtube.com/watch?v=lfaSIlyOgJE&pp=ygUWI-mdkuOBmOOBneagveWfueaWueazlQ%3D%3D
- https://www.youtube.com/watch?v=NmUh1qF5LgI
- https://yukie95a15.hatenablog.com/entry/2023/07/30/074723
- https://www.youtube.com/watch?v=x4SwoxhWWno
- https://note.com/thexder/n/n9f3dde0eb845
- https://greensnap.co.jp/columns/perilla_hydroponics
- https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=18916
- https://negi-note.hatenablog.com/entry/siso-retasu