ヤンマートラクターを長期間安全に使用するためには、適切なタイミングでのミッションオイル交換が欠かせません。ミッションオイルは、走行系統だけでなく油圧系統も兼用しているため、交換を怠ると高額な修理費用が発生する可能性があります。
この記事では、ヤンマートラクターのミッションオイル交換について、交換時期から具体的な手順、使用すべきオイルの種類、注意点まで詳しく解説します。初心者でも安全に作業できるよう、必要な工具や準備物、さらにはトラブル回避のポイントも網羅的にご紹介します。
この記事のポイント |
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✓ ミッションオイルの適切な交換時期と判断基準 |
✓ 純正TFプレミアムオイルを使用すべき理由 |
✓ フィルター同時交換の重要性と選び方 |
✓ 安全で効率的な交換手順の詳細ガイド |
ヤンマートラクターミッションオイル交換の基本知識
- ミッションオイル交換の適切な時期は初回50時間、以降300時間ごと
- 純正TFプレミアムオイルを使用することが故障回避の鍵
- フィルター同時交換が必要な理由は油圧系統の保護
- 交換に必要な工具と準備物は事前に揃えておくこと
- ドレンプラグの位置確認が作業効率化のポイント
- オイル量の確認方法は検油窓またはゲージで行う
ミッションオイル交換の適切な時期は初回50時間、以降300時間ごと
ヤンマートラクターのミッションオイル交換タイミングは、他の農業機械と比較して独特の特徴があります。初回交換は50時間または1年目のいずれか早い方で実施し、その後は300時間ごとの定期交換が推奨されています。
この交換間隔が設定されている理由は、ヤンマートラクターのミッションオイルが走行系統と油圧系統を兼用しているためです。一般的なギアオイルとは異なり、より過酷な条件下で使用されるため、定期的な交換が機械の寿命を大きく左右します。
📊 ヤンマートラクター オイル交換時期一覧
交換回数 | 使用時間 | 備考 |
---|---|---|
初回交換 | 50時間または1年目 | 慣らし運転後の金属粉除去 |
2回目以降 | 300時間ごと | 定期メンテナンス |
緊急交換 | 汚れ・変色時 | 異常発見時は即座に交換 |
交換時期を過ぎても使用を続けると、オイルの劣化により以下のような問題が発生する可能性があります。油圧装置の作動不良、走行性能の低下、内部部品の摩耗促進などが挙げられます。
特に注意が必要なのは、作業量が少ない場合でも時間経過による劣化は進行することです。年間使用時間が50時間未満であっても、最低年1回の交換を心がけることで、トラクターの性能維持と故障予防につながります。
アワメータの確認を習慣化し、次回交換時期をメモしておくことで、適切なタイミングでの交換が可能になります。また、オイルの色や粘度を定期的にチェックすることで、予定より早期の交換が必要な状況も把握できるでしょう。
純正TFプレミアムオイルを使用することが故障回避の鍵
ヤンマートラクターのミッションオイル交換において、純正TFプレミアムオイルの使用は絶対的な条件と言えます。社外品のマルチギアオイルも市販されていますが、ヤンマー独自の添加剤配合により最適化された純正オイルの使用が強く推奨されています。
純正オイルを使用すべき理由は複数あります。まず、万が一の故障時におけるメーカー保証の適用条件として純正オイルの使用が求められることが多く、社外品使用時は保証対象外となるリスクがあります。
🔧 純正TFプレミアムオイルの特徴
特徴項目 | 詳細内容 |
---|---|
専用添加剤 | ヤンマー機械に最適化された独自配合 |
温度特性 | 低温から高温まで安定した粘度維持 |
防錆性能 | 内部金属部品の腐食防止効果 |
耐久性 | 300時間使用に耐える劣化抑制技術 |
また、ヤンマートラクターのミッションは油圧系統との兼用設計となっているため、指定以外のオイルを使用すると走行部や油圧系統のトラブルの原因となる可能性が高まります。特に、異音の発生や作動不良などの症状が現れやすくなります。
純正オイルの価格は社外品と比較して高額ですが、交換頻度が低いことを考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは決して悪くありません。20リットル缶での購入が一般的で、小型トラクターでも10リットル以上使用するため、缶単位での購入が経済的です。
オイル選択で迷った場合は、必ず取扱説明書を確認し、型式に応じた指定オイルを使用してください。古い機種では「TF300」や「TF500」が指定されている場合もあるため、型式確認は重要なポイントです。
フィルター同時交換が必要な理由は油圧系統の保護
ミッションオイル交換時には、オイルフィルターの同時交換が必須となります。フィルターは、オイル中の金属粉やゴミを除去する重要な役割を担っており、オイルのみの交換では十分な効果が得られません。
ヤンマートラクターには主に2種類のフィルターが装着されています。サクションフィルターとラインフィルターで、それぞれ異なる場所に設置され、異なる機能を持っています。
⚙️ ミッションオイルフィルターの種類と機能
フィルター種類 | 設置場所 | 主な機能 | 交換時期 |
---|---|---|---|
サクションフィルター | オイルタンク内 | 粗いゴミの除去 | 初回50時間、以降600時間ごと |
ラインフィルター | 運転席下 | 細かい異物の除去 | 初回50時間、以降600時間ごと |
フィルターの交換を怠ると、目詰まりにより油圧系統の圧力低下や作動不良を引き起こします。特に、ロータリーの昇降動作や走行性能に直接影響するため、定期的な交換は機械の正常動作を維持する上で不可欠です。
フィルター交換時の重要なポイントは、純正部品の使用です。他社製品を使用すると、フィルターの目詰まり具合や取り付け精度に問題が生じ、オイル漏れやにじみの原因となる可能性があります。
交換作業では、新しいフィルターのゴムリングにオイルを薄く塗布し、手で確実に取り付けることが重要です。工具を使用しての過度な締め付けは、ゴムリングの損傷やねじ山の破損を招く恐れがあります。
フィルター交換後は、エンジンを始動してアイドリング回転でしばらく運転し、オイルを十分に循環させてください。その後、オイル量の確認と漏れの有無をチェックすることで、適切な交換作業の完了を確認できます。
交換に必要な工具と準備物は事前に揃えておくこと
ヤンマートラクターのミッションオイル交換を効率的に行うためには、事前の工具準備と作業環境の整備が重要です。必要な工具を揃えておくことで、作業時間の短縮と安全性の向上が図れます。
基本的な工具として、各サイズのレンチ、ドレンパン、漏斗、軍手、ウエスなどが必要になります。また、作業環境として平坦で安定した場所の確保と、十分な作業スペースの確保が重要です。
🛠️ ミッションオイル交換 必要工具一覧
工具・用品名 | 用途 | 備考 |
---|---|---|
レンチセット | ドレンプラグ脱着 | 機種により異なるサイズ |
ドレンパン | 廃オイル受け | 40リットル以上の容量推奨 |
漏斗 | オイル注入 | こぼれ防止のため |
軍手・保護具 | 安全作業 | オイル汚れ防止 |
ウエス | 清拭作業 | 大量に準備 |
マーキング用具 | 次回交換時期記録 | アワメータ値記録 |
準備物として最も重要なのは、十分な量の純正ミッションオイルです。機種によって必要量は異なりますが、小型トラクターでも10リットル以上、中型以上では30リットル以上必要になる場合があります。事前に取扱説明書で必要量を確認してください。
廃オイルの処理方法も事前に確認しておく必要があります。環境保護の観点から、廃オイルは適切な処理業者への委託または販売店での引き取りサービスを利用することが重要です。地面への廃棄は環境汚染につながるため絶対に避けてください。
作業時の安全対策として、エンジンが十分に冷えた状態で作業を開始することが重要です。熱いオイルによる火傷を防ぐため、作業前にエンジンの冷却時間を十分に確保してください。
また、作業中の火気厳禁は当然ですが、換気の良い場所での作業と、オイル汚れに対する適切な保護具の着用も忘れずに行ってください。準備を怠ると作業効率が低下するだけでなく、安全面でのリスクも高まります。
ドレンプラグの位置確認が作業効率化のポイント
ヤンマートラクターのミッションオイル交換において、ドレンプラグの位置確認は作業効率に大きく影響する重要なポイントです。機種によってドレンプラグの数や位置が異なるため、事前の確認が不可欠です。
一般的なヤンマートラクターでは、複数箇所にドレンプラグが設置されています。主なミッション部に加えて、フロントアクスル部にも別途ドレンプラグがある機種が多く、すべてのプラグからオイルを抜き取る必要があります。
📍 主要ドレンプラグ位置一覧
設置場所 | 位置詳細 | 排出量目安 | 作業順序 |
---|---|---|---|
メインミッション | 運転席左下 | 30-40リットル | 1番目 |
リアアクスル左 | 後輪左側下部 | 2-3リットル | 2番目 |
リアアクスル右 | 後輪右側下部 | 2-3リットル | 3番目 |
フロントアクスル | 前輪中央下部 | 5リットル程度 | 4番目 |
ドレンプラグを外す前に、給油口のふたを外しておくとオイルの抜けが早くなります。また、抜き取り作業は重力を利用するため、トラクターの姿勢を水平に保つことが重要です。
作業効率を向上させるコツとして、ドレンパンの配置を工夫することが挙げられます。大型のビニール袋を段ボール箱に張った簡易ドレンパンを複数準備することで、同時に複数箇所からの排出が可能になります。
機種によっては、説明書に記載されていない追加のドレンプラグが存在する場合があります。実際の作業前に機体下部を確認し、すべてのドレンプラグの位置を把握しておくことで、オイルの完全な排出が可能になります。
ドレンプラグの脱着時は、ねじ山の損傷を防ぐため適切なサイズの工具を使用してください。また、古いパッキンやシールの状態を確認し、必要に応じて新品に交換することで、オイル漏れの防止につながります。
作業終了後は、各ドレンプラグの締め付けトルクを確認し、適切に締め付けられていることを確認してください。過度な締め付けはねじ山の損傷を招き、緩すぎるとオイル漏れの原因となります。
オイル量の確認方法は検油窓またはゲージで行う
ミッションオイル交換における オイル量の正確な確認 は、トラクターの正常な動作を保証する重要な工程です。ヤンマートラクターでは、機種によって確認方法が異なるため、適切な方法を選択する必要があります。
主な確認方法として、**検油窓(のぞき窓)**を使用する方法と、オイルゲージを使用する方法があります。どちらの方法でも、エンジンが完全に冷えた状態で水平な場所での確認が基本条件となります。
🔍 オイル量確認方法比較表
確認方法 | 対象機種 | 確認手順 | 注意点 |
---|---|---|---|
検油窓方式 | 大型・中型機種 | 右リアアクスル付け根の窓を確認 | 窓の曇りに注意 |
ゲージ方式 | 小型・一部中型機種 | ゲージを抜き差しして確認 | ネジ込まずに確認 |
検油窓方式では、右リアアクスル付け根に設置された透明な窓から油面レベルを確認します。しかし、長期使用により窓が曇っている場合があるため、清拭してから確認することが重要です。適正な油面は、窓の中央付近に見えることが目安となります。
ゲージ方式の場合は、ネジ込み式のオイルゲージを使用します。重要なポイントは、ゲージを完全に差し込むがネジ込まない状態で確認することです。ゲージをねじ込んでしまうと、正確な油面レベルが測定できません。
オイル量が不足している場合は、給油口から少量ずつ追加してください。一度に大量を追加すると、適正量を超過する可能性があります。逆に、オイル量が多すぎる場合は、ドレンプラグから余分なオイルを抜き取る必要があります。
新しいオイルを注入した直後は、エンジンを始動してアイドリング回転で数分間運転し、オイルを各部に循環させてください。その後、エンジンを停止して再度オイル量を確認することで、正確な量の調整が可能になります。
オイル交換作業完了後は、アワメータの時間を記録し、次回交換時期を計算してメモしておくことが重要です。また、初回運転時には異音や振動の有無を確認し、問題がないことを確認してください。
ヤンマートラクターミッションオイル交換の実践ガイド
- 交換手順は安全確保から始めることが重要
- 抜き取り作業で注意すべきポイントは複数のドレン位置
- フィルター交換では純正部品使用が必須条件
- オイル注入時の注意点は適量と循環確認
- エア抜き作業は油圧系統の正常動作に必要
- 交換後の確認作業で異常の早期発見が可能
- まとめ:ヤンマートラクターミッションオイル交換で長期使用を実現
交換手順は安全確保から始めることが重要
ヤンマートラクターのミッションオイル交換における 安全確保 は、作業開始前の最重要事項です。高温のオイルによる火傷や機体の不安定による事故を防ぐため、段階的な安全対策が必要となります。
まず、作業環境の安全確保として、平坦で安定した場所での作業が基本条件です。傾斜地での作業は機体の転倒リスクがあるため避けてください。また、十分な作業スペースと良好な換気を確保することで、安全かつ効率的な作業が可能になります。
🛡️ 安全作業のためのチェックリスト
確認項目 | 詳細内容 | 重要度 |
---|---|---|
作業場所 | 平坦・安定・換気良好 | 必須 |
エンジン温度 | 完全冷却状態 | 必須 |
服装・保護具 | 適切な作業着・軍手着用 | 必須 |
工具準備 | 必要工具の事前確認 | 重要 |
火気管理 | 作業エリアの火気厳禁 | 必須 |
連絡体制 | 緊急時の連絡先確認 | 推奨 |
エンジンの冷却時間は、使用後最低でも2時間以上確保することが重要です。熱いオイルは100度近くになる場合があり、重篤な火傷の原因となります。触れて確認せず、十分な時間をおいてから作業を開始してください。
作業服装では、長袖・長ズボン・安全靴の着用が基本です。オイルが飛散した場合の皮膚保護と、工具の落下時の足の保護が目的となります。また、軍手の着用により手の保護とグリップ力の向上が図れます。
機体の安定性確保のため、パーキングブレーキの確実な作動と、可能であれば車輪の固定も行ってください。作業中に機体が動くことによる事故を防ぐための重要な対策です。
作業開始前には、取扱説明書を再確認し、機種固有の注意事項を把握しておくことが重要です。機種によっては特殊な手順や注意点がある場合があるため、マニュアルの確認は安全作業の基本となります。
万が一の事故に備えて、応急処置用品の準備と緊急時の連絡先確認も行っておくことが推奨されます。特に、オイルが目に入った場合の洗浄用水の準備は重要です。
抜き取り作業で注意すべきポイントは複数のドレン位置
ミッションオイルの抜き取り作業では、複数のドレンプラグを順序良く開放することが重要なポイントです。ヤンマートラクターは複雑な油路構造を持つため、一箇所だけでは完全な排出ができません。
抜き取り順序として、最初にメインミッション部のドレンプラグを開放します。この部分から最大量のオイルが排出されるため、大容量のドレンパンが必要です。排出には時間がかかるため、他の準備作業を並行して行うことで効率化が図れます。
⚡ 効率的な抜き取り作業工程
作業順序 | 対象部位 | 排出時間目安 | 並行作業 |
---|---|---|---|
1. メイン排出 | ミッション本体 | 15-20分 | フィルター取り外し準備 |
2. リア左排出 | 左リアアクスル | 5-10分 | 新オイル・フィルター準備 |
3. リア右排出 | 右リアアクスル | 5-10分 | 工具清拭・整理 |
4. フロント排出 | フロントアクスル | 10-15分 | 廃オイル処理準備 |
ドレンプラグの開放時は、初期の勢いよい流出に注意が必要です。プラグを完全に外す前に、数回転緩めてオイルの流出を確認し、ドレンパンの位置を調整してください。
複数箇所を同時に排出する場合は、オイルの混合を避けるため、箇所別の回収を心がけてください。これにより、各部位の油質状態を確認でき、異常の早期発見につながります。
排出作業中は、オイルの色や異物の混入状況を観察してください。正常なオイルは赤色系ですが、黒く汚れている場合や金属粉が大量に混入している場合は、内部の異常を示唆している可能性があります。
完全な排出のため、各ドレンプラグを開放してから30分以上の時間を確保することが重要です。粘度の高いオイルは排出に時間がかかるため、急がずに完全な排出を心がけてください。
排出完了後は、ドレンプラグの清拭と点検を行い、パッキンの状態も確認してください。劣化している場合は新品に交換することで、再組み立て後のオイル漏れを防止できます。
フィルター交換では純正部品使用が必須条件
ミッションオイル交換と同時に行うフィルター交換では、純正部品の使用が絶対条件となります。社外品フィルターの使用は、取り付け不良やろ過性能の差により、深刻なトラブルの原因となる可能性があります。
ヤンマートラクターには、サクションフィルターとラインフィルターの2種類が装着されており、それぞれ異なる機能と交換方法を持っています。両方のフィルターを同時に交換することで、油圧系統の最適な保護が実現されます。
🔧 フィルター交換作業詳細
フィルター種類 | 取り外し方法 | 取り付け方法 | 注意点 |
---|---|---|---|
サクションフィルター | 左回転で取り外し | 手締めで確実に固定 | ゴムリングへのオイル塗布 |
ラインフィルター | フロアマット・鉄板外し後アクセス | 同上 | アクセス経路の確認 |
サクションフィルター交換では、オイルタンク内のフィルターを左に回転させて取り外します。新しいフィルターの底面にあるゴムリングには、薄くオイルを塗布してから取り付けてください。これにより、適切なシール性能と取り付け時のスムーズな作業が可能になります。
ラインフィルター交換は、運転席下のアクセスが必要です。フロアマットを外し、中央の鉄板を取り外してからフィルターにアクセスします。狭い作業空間での作業となるため、適切な照明と工具の準備が重要です。
純正フィルターの識別方法として、部品番号の確認が重要です。ヤンマー純正フィルターには固有の部品番号が記載されており、機種に応じた適合品の選択が可能です。
フィルター交換時の重要な注意点として、手での締め付けがあります。工具を使用した過度な締め付けは、フィルターケースの破損やゴムリングの損傷を招く恐れがあります。手で確実に締まる程度の締め付けで十分です。
交換完了後は、フィルター取り付け面からのオイル漏れがないことを必ず確認してください。わずかなにじみでも、時間の経過とともに大きな漏れに発展する可能性があります。
新品フィルターの取り付け後は、システム内のエア抜きが必要です。エンジンを始動してアイドリング回転で運転し、油圧系統に新しいオイルとフィルターを馴染ませることが重要です。
オイル注入時の注意点は適量と循環確認
新しいミッションオイルの注入作業では、適正量の確保と段階的な注入が重要なポイントです。一度に大量のオイルを注入すると、エア混入や適正量の判断が困難になるため、慎重な作業が求められます。
オイル注入は、給油口からの注入が基本です。漏斗を使用してこぼれを防ぎ、少量ずつ注入することで、適正量の管理が容易になります。機種により必要量は異なりますが、段階的な確認を行いながら注入してください。
💧 段階的オイル注入手順
注入段階 | 注入量 | 確認方法 | 次の動作 |
---|---|---|---|
初期注入 | 規定量の80% | 検油窓・ゲージ確認 | 循環運転準備 |
循環後追加 | 不足分を少量ずつ | 再度レベル確認 | 適正量調整 |
最終調整 | 微調整 | 最終確認 | 作業完了 |
注入したオイルは、システム全体に行き渡らせるため循環運転が必要です。エンジンを始動してアイドリング回転で5-10分間運転し、新しいオイルを各部に送り込みます。この間、油圧装置の動作確認も併せて行ってください。
循環運転中は、異音や振動の有無を注意深く観察します。正常な場合はスムーズな運転音ですが、エア混入や不適切な組み立てがあると異常音が発生する可能性があります。
循環運転後は、再度オイル量の確認を行います。循環により各部にオイルが分散するため、初期注入時より量が減少することが一般的です。不足分は給油口から少量ずつ追加してください。
最終的なオイル量は、検油窓の適正範囲内またはゲージの上下限内に収まることを確認します。多すぎる場合は、ドレンプラグから余分なオイルを抜き取る必要があります。
注入作業完了後は、すべての給油口キャップの確実な締め付けを確認してください。キャップの緩みは、走行中のオイル漏れやゴミの混入原因となります。
エア抜き作業は油圧系統の正常動作に必要
ミッションオイル交換後のエア抜き作業は、油圧系統の正常な動作を確保するための重要な工程です。システム内に残存するエアは、油圧の不安定や作動不良の原因となるため、確実な除去が必要です。
エア抜きの基本手順として、エンジンを始動してアイドリング回転で運転します。この状態で油圧装置の各部を数回作動させ、システム内のエアを排出します。急激な操作は避け、ゆっくりとした動作で行うことが重要です。
🔄 効果的なエア抜き手順
作動部位 | 操作回数 | 操作方法 | 確認ポイント |
---|---|---|---|
ロータリー昇降 | 5-10回 | ゆっくりした昇降動作 | 動作のスムーズさ |
走行システム | 前後進各5回 | 低速での切り替え | クラッチの効き |
他油圧装置 | 各5回程度 | 全行程の動作 | 異音の有無 |
エア抜き作業中は、油圧系統の作動音に注意を払ってください。正常な場合は静かで安定した音ですが、エアが残存している場合は不安定な音や異音が発生します。
各装置の動作確認では、動作速度の一定性も重要な確認ポイントです。エアが混入していると、動作が不安定になったり、一時的に停止したりする現象が現れます。
ロータリーなどの重量のある作業機を装着している場合は、特に注意深いエア抜きが必要です。重量による油圧負荷が高いため、エアの影響がより顕著に現れる傾向があります。
エア抜き作業は、複数回に分けて実施することが効果的です。初回作業後、30分程度の間隔をおいて再度確認することで、より確実なエア除去が可能になります。
作業完了の判断基準として、すべての油圧装置がスムーズかつ安定して動作することを確認してください。また、オイル量の再確認も忘れずに行い、エア抜きによる量の変化がないことを確認します。
交換後の確認作業で異常の早期発見が可能
ミッションオイル交換完了後の総合的な確認作業は、作業の適切性確認と将来のトラブル予防において重要な意味を持ちます。段階的な確認により、交換作業の成功と機械の正常状態を保証できます。
確認作業は静的確認と動的確認に分けて実施します。静的確認では、オイル漏れの有無、各部の締め付け状態、オイル量などを点検します。動的確認では、実際の運転状態での各部の動作を確認します。
📋 交換後確認チェックリスト
確認項目 | 確認方法 | 正常な状態 | 異常時の対応 |
---|---|---|---|
オイル漏れ | 目視確認 | 漏れ・にじみなし | ドレンプラグ・フィルター再確認 |
オイル量 | ゲージ・検油窓 | 適正範囲内 | 量の調整 |
動作音 | 聴覚確認 | 静かで安定 | エア抜き再実施 |
走行性能 | 実地確認 | スムーズな走行 | 油圧系統再点検 |
油圧動作 | 作動確認 | 正常な昇降・動作 | エア抜き・圧力確認 |
静的確認では、すべてのドレンプラグとフィルター周辺のオイル漏れチェックが最重要項目です。わずかなにじみでも、使用開始後に大きな漏れに発展する可能性があるため、入念な確認が必要です。
動的確認では、実際にトラクターを運転して各部の動作を確認します。走行、旋回、作業機の昇降動作など、通常作業で使用する全機能の動作確認を行ってください。
確認運転は、低負荷・短時間から開始し、段階的に負荷を増加させることが重要です。いきなり高負荷での作業は、万が一の異常時に大きなダメージにつながる可能性があります。
初回運転後は、24時間以内の再確認を実施することが推奨されます。時間の経過により、初期では発見できなかった微細な問題が顕在化する場合があります。
記録の保存として、交換日時、使用オイル種類、交換時のアワメータ値、次回交換予定時期などを整備記録として残してください。これにより、定期メンテナンスの管理と機械の状態把握が容易になります。
異常を発見した場合は、使用を中止して原因の究明を行ってください。軽微な異常でも、継続使用により重大なトラブルに発展する可能性があるため、早期の対応が重要です。
まとめ:ヤンマートラクターミッションオイル交換で長期使用を実現
最後に記事のポイントをまとめます。
- ミッションオイル交換時期は初回50時間、以降300時間ごとの定期実施が基本である
- 純正TFプレミアムオイルの使用により故障リスクを大幅に軽減できる
- フィルター同時交換は油圧系統保護のために必須の作業である
- 複数のドレンプラグから完全なオイル排出を行う必要がある
- 安全確保は作業開始前の最重要事項として位置づけられる
- 適正なオイル量確認により機械の正常動作を保証する
- エア抜き作業は油圧系統の安定動作に不可欠である
- 純正フィルター使用により取り付け不良やトラブルを回避できる
- 段階的なオイル注入により適正量管理が容易になる
- 交換後の総合確認により異常の早期発見が可能となる
- 作業環境の整備と工具準備により効率的な交換作業を実現する
- 記録保存により定期メンテナンスの適切な管理ができる
- 廃オイルの適切な処理により環境保護に貢献する
- 取扱説明書の確認により機種固有の注意事項を把握する
- 定期的なオイル交換によりトラクターの長期使用と性能維持を実現する
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://www.youtube.com/watch?v=FbO0OLdLbzI&pp=ygUSI-ODpOODs-ODnuODvHl0MTIw
- https://m.youtube.com/watch?v=bPZN3A01pgU&pp=ygUSI-ODpOODs-ODnuODvHl0MTIw
- https://www.yanmar.com/jp/agri/afterservice_support/selfcheck/tractor/
- https://m.youtube.com/watch?v=MxxIUisSm0Y
- https://minkara.carview.co.jp/userid/693923/car/643852/6367256/note.aspx
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12147482702
- https://www.agurimecha-redt.com/entry/2019/09/26/農業機械に使うギアオイルとミッションオイルを
- https://faq.yanmar.com/jp/detail?site=FIWWZ5OB&category=1&id=401