春先の農作業が始まる時期や、久しぶりに耕運機を使おうとした時に「エンジンがかからない」というトラブルに遭遇することは珍しくありません。特にクボタの耕運機は多くの農家で愛用されているだけに、エンジントラブルが発生すると作業に大きな支障をきたします。
このような状況で慌てる必要はありません。エンジンがかからない原因の多くは、燃料系統のトラブルやメンテナンス不足によるもので、適切な対処法を知っていれば自分で解決できるケースも多いのです。本記事では、クボタ耕運機のエンジントラブルの原因から具体的な対処法、そして今後のトラブルを防ぐための予防策まで、包括的に解説していきます。
この記事のポイント |
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✅ エンジンがかからない8つの主要原因を特定できる |
✅ 自分でできる具体的な対処法を段階的に学べる |
✅ 修理業者に頼む前にチェックすべき項目がわかる |
✅ 今後のトラブルを防ぐメンテナンス方法を習得できる |
クボタ耕運機エンジンがかからない主要原因
- 燃料かぶりが最も多い原因である
- キャブレターの詰まりが二番目に多い原因
- 燃料の劣化・変質による不具合
- 燃料タンクのサビが引き起こす問題
- バッテリー上がりによる電力不足
- ヒューズ切れで電気系統が機能しない
燃料かぶりが最も多い原因である
燃料かぶりは、クボタ耕運機のエンジンがかからない原因として最も頻繁に発生するトラブルです。これは点火プラグが燃料で濡れてしまい、正常に火花を散らすことができなくなる現象を指します。
この現象が起こるメカニズムを理解することが重要です。耕運機のエンジンが冷えている状態では、エンジンをかかりやすくするために「チョーク」という装置を使用します。チョークは空気の量を調整し、燃料の割合を多くすることでエンジンの始動を助けます。
しかし、チョークを閉じたままエンジンをかけ続けると、燃料が必要以上に供給され、点火プラグに燃料がかぶってしまいます。この状態では、プラグが濡れているため火花が飛ばず、結果的にエンジンが始動しません。
🔧 燃料かぶりの判断方法
チェック項目 | 確認方法 | 燃料かぶりの兆候 |
---|---|---|
プラグの状態 | プラグを取り外して確認 | プラグが濡れている |
エンジン音 | スターターを引く | セルは回るがエンジンがかからない |
燃料の匂い | プラグ周辺を確認 | 強いガソリンの匂いがする |
燃料かぶりは特に寒い季節や長期間使用していなかった耕運機で発生しやすく、適切な始動手順を守ることで予防できます。また、一度燃料かぶりが発生しても、プラグを乾燥させることで比較的簡単に解決できるトラブルでもあります。
キャブレターの詰まりが二番目に多い原因
キャブレターの詰まりは、燃料かぶりに次いで多く見られるエンジントラブルの原因です。キャブレターは燃料と空気を適切な比率で混合し、エンジンに供給する重要な部品であり、ここが詰まると正常な燃焼ができなくなります。
キャブレターが詰まる主な要因は以下の通りです。まず、燃料タンクから送られてきた燃料が時間の経過とともに変質し、ガム状の物質に変化することがあります。この変質した燃料がキャブレター内部の細い通路を塞いでしまいます。
また、空気を取り込む際に土埃や異物が混入することも詰まりの原因となります。特に農作業で使用される耕運機は、土埃の多い環境で作業するため、エアクリーナーを通過した微細な汚れがキャブレター内部に蓄積されやすいのです。
⚙️ キャブレター詰まりの症状と対策
症状 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
エンジンがかからない | 燃料通路の完全閉塞 | キャブレター分解清掃 |
アイドリングが不安定 | 部分的な詰まり | 清掃剤による洗浄 |
出力不足 | 燃料供給量の減少 | ジェット部分の清掃 |
黒い排気ガス | 混合比の異常 | 全体的なオーバーホール |
キャブレター内には「チャンバー」と呼ばれる小さな燃料タンクがあり、ここに燃料が長期間溜まったままになると、燃料が変質してガム状になります。この変質した燃料が最も厄介で、通常の清掃では除去が困難になることがあります。
定期的なメンテナンスとして、使用後は燃料を抜いておく、または定期的にエンジンを動かして新鮮な燃料を循環させることが重要です。また、キャブレター専用の洗浄剤を使用した清掃を年に1〜2回行うことで、詰まりを予防できます。
燃料の劣化・変質による不具合
燃料の劣化や変質は、長期間使用していない耕運機で特に問題となるトラブルです。ガソリンは時間の経過とともに酸化し、その性質が変化してエンジンの正常な動作を妨げるようになります。
ガソリンの劣化プロセスは複数の要因によって accelerate されます。直射日光に当たる場所での保管、水分の混入、温度変化の激しい環境などが劣化を早める主な要因です。劣化したガソリンは黄色っぽく変色し、独特の異臭を放つようになります。
🛢️ 燃料劣化の段階と影響
劣化段階 | 期間 | 症状 | 色・匂いの変化 |
---|---|---|---|
初期劣化 | 1-3ヶ月 | 始動性悪化 | わずかに黄色味 |
中期劣化 | 3-6ヶ月 | 出力低下、不安定 | 明らかな黄色、酸味臭 |
重度劣化 | 6ヶ月以上 | エンジン停止 | 茶色、刺激臭 |
極度劣化 | 1年以上 | 完全始動不能 | 暗褐色、腐敗臭 |
劣化した燃料を使用し続けると、エンジン内部の部品にダメージを与える可能性があります。特に燃料噴射装置やピストンリングなどの精密部品に悪影響を及ぼし、修理費用が高額になることがあります。
また、劣化した燃料は燃料タンク内部の腐食も促進します。金属製のタンクの場合、内部にサビが発生し、そのサビが燃料とともにエンジンに送られることで、さらなるトラブルの原因となります。
予防策として、使用予定のない期間が1ヶ月以上続く場合は燃料を完全に抜いておくことが推奨されます。また、燃料添加剤を使用することで劣化を遅らせることも可能です。
燃料タンクのサビが引き起こす問題
燃料タンクのサビは、長年使用された耕運機や適切な保管がされていない機械で発生する深刻な問題です。サビは燃料の流れを阻害し、最終的にはエンジンの完全停止を引き起こすことがあります。
サビが発生する主な原因は、タンク内への水分の侵入です。燃料キャップの密閉不良、結露による水分発生、雨水の侵入などによってタンク内に水分が蓄積されます。この水分と金属タンクが反応することでサビが生成されます。
さらに、前述した燃料の劣化も間接的にサビの発生を促進します。劣化した燃料は酸性物質を含むようになり、これがタンク内壁を腐食させる原因となるのです。
🔴 タンクサビの進行段階と対処法
進行段階 | 症状 | 影響範囲 | 対処法 |
---|---|---|---|
表面サビ | 燃料に微細な粒子 | タンク表面のみ | サビ落とし、防錆処理 |
深部サビ | 燃料フィルター詰まり | 燃料供給系統 | タンク内部研磨 |
貫通サビ | 燃料漏れ | タンク全体 | タンク交換 |
全面腐食 | エンジン損傷 | エンジン内部 | エンジンオーバーホール |
タンク内のサビは燃料とともにキャブレターまで運ばれ、燃料フィルターの詰まりやキャブレター内部の損傷を引き起こします。特に深刻なケースでは、サビの粒子がエンジン内部まで到達し、ピストンやバルブに損傷を与えることもあります。
対処法としては、まず燃料を完全に抜き取り、タンク内部を目視で確認します。軽度のサビであれば、専用のサビ落とし剤とブラシを使用して除去できます。しかし、タンクに穴が開いている場合や腐食が広範囲に及んでいる場合は、タンクの交換が必要となります。
バッテリー上がりによる電力不足
バッテリー上がりは、セル付きの耕運機で発生するトラブルで、エンジンを始動するのに必要な電力が不足している状態を指します。特に冬場の長期保管後や、数ヶ月間使用していない耕運機で頻繁に発生します。
バッテリーの自然放電は避けられない現象であり、使用していない期間が長くなるほど電力は減少していきます。一般的に、3ヶ月以上使用しない場合にはバッテリー上がりが発生する可能性が高くなります。
また、バッテリーの劣化も大きな要因です。バッテリーの寿命は通常2〜3年程度とされており、古いバッテリーは電力を保持する能力が低下します。特に低温環境ではバッテリー性能が著しく低下し、始動に必要な電力を供給できなくなります。
🔋 バッテリートラブルの診断方法
症状 | 原因 | 対処法 | 予防策 |
---|---|---|---|
セルが回らない | 完全放電 | 充電または交換 | 定期的な充電 |
セルが弱い | 部分放電 | 充電 | 使用後の充電確認 |
すぐに放電する | バッテリー劣化 | 交換 | 2-3年での定期交換 |
電圧不安定 | 充電系統の故障 | 修理 | 定期点検 |
バッテリー上がりの兆候として、セルモーターの回転が弱い、電装品の動作が不安定、警告灯の点灯などがあります。これらの症状が現れた場合は、まずバッテリーの電圧を測定し、12V未満であれば充電または交換が必要です。
予防策として、長期間使用しない場合はバッテリーターミナルを外しておく、または定期的に充電を行うことが推奨されます。また、寒冷地ではバッテリーを温かい場所で保管することで性能低下を防げます。
ヒューズ切れで電気系統が機能しない
ヒューズ切れは電気系統のトラブルの中でも比較的発生しやすい問題で、過電流からエンジンや電装品を保護するためのヒューズが切れることで、必要な電力がエンジンに供給されなくなる状態です。
ヒューズが切れる主な原因は、電気系統の過負荷、ショート、老朽化による接触不良などがあります。特に古い耕運機では配線の劣化により、予期しない電流が流れてヒューズが切れることがあります。
ヒューズ切れの症状として最も分かりやすいのは、セルモーターが全く回らないことです。バッテリーに電力があるにも関わらず、キーを回してもウンともスンとも言わない場合は、ヒューズ切れを疑う必要があります。
⚡ ヒューズトラブルの対処手順
手順 | 作業内容 | 確認ポイント | 注意事項 |
---|---|---|---|
1 | ヒューズボックス確認 | 切れたヒューズの特定 | エンジン停止状態で作業 |
2 | ヒューズ取り外し | 目視での損傷確認 | 専用工具使用 |
3 | 新品ヒューズ交換 | 適正アンペア数確認 | 容量違いは厳禁 |
4 | 動作確認 | エンジン始動テスト | 再度切れる場合は配線点検 |
ヒューズには様々なアンペア数があり、必ず同じ容量のヒューズと交換することが重要です。容量の大きなヒューズを使用すると、過電流時に適切な保護機能が働かず、より深刻な電気系統の損傷を引き起こす可能性があります。
また、新しいヒューズに交換してもすぐに切れてしまう場合は、配線のショートや機器の故障が原因として考えられます。この場合は専門的な知識が必要となるため、修理業者に相談することをお勧めします。
クボタ耕運機エンジンがかからない時の対処法
- プラグ清掃と乾燥で燃料かぶりを解消する方法
- キャブレター分解清掃の具体的手順
- 劣化した燃料を安全に処分し交換する方法
- 燃料タンクのサビ取りと清掃テクニック
- バッテリー充電と交換のポイント
- ヒューズ交換と電気系統チェック法
- まとめ:クボタ耕運機エンジンがかからない問題の総合対策
プラグ清掃と乾燥で燃料かぶりを解消する方法
プラグの清掃と乾燥は、燃料かぶりによるエンジントラブルを解決する最も基本的で効果的な方法です。この作業は特別な技術や高価な工具を必要とせず、ほとんどの方が自分で実施できる対処法です。
まず、エンジンを完全に停止し、安全を確保してからプラグキャップを取り外します。プラグキャップは通常、引っ張るだけで外れますが、固着している場合は左右に軽く回しながら引き抜きます。無理に力を加えるとキャップやプラグを損傷する可能性があるため、慎重に作業を行います。
次に、プラグレンチを使用してスパークプラグを反時計回りに回して取り外します。一般的な耕運機のプラグサイズは16mm、18mm、20.8mmのいずれかですが、クボタ耕運機では20.8mmが多く使用されています。
🔧 プラグ清掃の詳細手順
作業段階 | 使用道具 | 作業内容 | 注意点 |
---|---|---|---|
取り外し | プラグレンチ | 反時計回りに回転 | 無理な力は禁物 |
目視確認 | ルーペ(推奨) | 電極の摩耗確認 | ひび割れもチェック |
清掃作業 | 乾いた布、ブラシ | 燃料と汚れ除去 | アルコール系溶剤使用可 |
乾燥処理 | 自然乾燥または温風 | 完全乾燥まで待機 | 直火は絶対禁止 |
プラグの清掃では、まず燃料で濡れた部分を乾いた布で丁寧に拭き取ります。電極部分に付着したカーボンや汚れは、古い歯ブラシやワイヤーブラシを使用して除去します。ただし、電極は精密部品のため、強くこすりすぎないよう注意が必要です。
乾燥作業は非常に重要で、わずかでも燃料が残っていると再び燃料かぶりを起こす可能性があります。自然乾燥で30分程度、またはドライヤーの温風で5〜10分程度乾燥させます。この際、直火やライターなどの炎は絶対に使用してはいけません。
清掃と乾燥が完了したら、プラグを元の位置に取り付けます。締め付けは手で軽く締めた後、プラグレンチで1/4〜1/2回転程度追加で締めます。締めすぎるとネジ山を損傷する可能性があるため、適度な力加減が重要です。
キャブレター分解清掃の具体的手順
キャブレターの分解清掃は、やや高度な作業ですが、詰まりを根本的に解決する最も確実な方法です。作業前には必ず取扱説明書を確認し、部品の配置を写真に撮っておくことをお勧めします。
まず、安全のために燃料コックを閉じ、燃料ホースを外します。この際、ホース内に残った燃料が漏れる可能性があるため、受け皿を用意しておきます。次に、エアクリーナーを取り外し、スロットルケーブルとスプリングを慎重に外します。
キャブレター本体を取り外したら、分解作業に入ります。最初に底部のチャンバー(フロートチャンバー)を外し、内部の燃料を完全に排出します。次に、フロートとニードルバルブを取り外します。これらの部品は小さく紛失しやすいため、部品ごとに分けて保管することが重要です。
⚙️ キャブレター分解清掃の工程表
工程 | 作業内容 | 使用工具 | 清掃方法 |
---|---|---|---|
外装清掃 | 外側の汚れ除去 | ブラシ、ウエス | 洗浄剤スプレー |
チャンバー清掃 | 変質燃料の除去 | 洗浄剤 | 浸け置き洗浄 |
ジェット清掃 | ノズル穴の詰まり除去 | 細いワイヤー | 貫通確認 |
パッキン交換 | 劣化部品の交換 | – | 新品と交換 |
清掃には専用のキャブレタークリーナーを使用します。泡タイプのクリーナーは汚れを浮き上がらせる効果が高く、特に推奨されます。ジェット部分などの細い通路は、適切な太さのワイヤーを使用して詰まりを除去します。
ニードルバルブの先端は特に重要な部分で、ここにわずかな傷や摩耗があると燃料のオーバーフローが発生します。目視で確認し、傷がある場合は必ず新品と交換します。同様に、ゴムパッキンやOリングも劣化していれば交換が必要です。
組み立て時は、分解と逆の手順で行います。各部品の取り付け方向や位置を間違えないよう、事前に撮影した写真を参考にします。スロー調整ネジは、一度完全に締め込んでから1.5回転戻すのが基本設定です。
劣化した燃料を安全に処分し交換する方法
劣化した燃料の処分と交換は、エンジンの正常な動作を回復させるために不可欠な作業です。劣化した燃料をそのまま使用し続けると、エンジン内部の部品に深刻なダメージを与える可能性があります。
まず、燃料コックを閉鎖位置にして、燃料の流れを停止させます。次に、燃料タンクのドレーンコック(排出口)を開いて、古い燃料を適切な容器に排出します。排出作業は必ず風通しの良い屋外で行い、火気は厳禁です。
劣化の程度は燃料の色と匂いで判断できます。健全なガソリンは無色透明ですが、劣化すると黄色から茶色に変色し、酸っぱい刺激臭を発します。特に茶色に変色した燃料は重度の劣化状態であり、エンジンに使用すると深刻なトラブルを引き起こします。
🛢️ 燃料処分と交換の安全手順
手順 | 作業内容 | 安全対策 | 処分方法 |
---|---|---|---|
排出準備 | 適切な容器準備 | 静電気防止、換気確保 | 金属容器使用推奨 |
燃料排出 | ドレーンコックから排出 | 火気厳禁、立会い者確保 | こぼさないよう注意 |
タンク確認 | 内部の目視点検 | ライト使用、匂いチェック | サビや汚れ確認 |
新燃料注入 | 新鮮なガソリン補充 | 適量注入、こぼれ防止 | レギュラーガソリン使用 |
排出した古い燃料は、絶対に下水道や土壌に廃棄してはいけません。適切な処分方法として、ガソリンスタンドや自動車用品店で引き取ってもらう、または自治体の有害廃棄物回収に出すなどの方法があります。
新しい燃料を注入する前に、燃料タンク内部を確認し、サビや汚れがないかチェックします。汚れがある場合は、この機会に清掃を行います。新燃料はレギュラーガソリンを使用し、タンク容量の8割程度まで注入します。満タンにすると燃料の膨張によりオーバーフローの原因となることがあります。
燃料交換後は、エンジンを始動して正常に動作するか確認します。初回始動時は古い燃料がキャブレター内に残っている可能性があるため、数分間のアイドリングで燃料系統を新しい燃料でフラッシュします。
燃料タンクのサビ取りと清掃テクニック
燃料タンクのサビ取りと清掃は、燃料系統の健全性を回復させるために重要な作業です。サビは放置すると進行し、最終的にはタンクの交換が必要になるため、早期の対処が肝心です。
作業開始前に、燃料を完全に排出し、タンク内の燃料蒸気を十分に換気します。燃料蒸気は可燃性が高く、静電気でも引火する可能性があるため、作業は必ず屋外で行い、化学繊維の衣服は避けます。
軽度のサビであれば、市販のサビ取り剤を使用して除去できます。タンク内にサビ取り剤を注入し、指定時間放置した後、きれいな水で十分にすすぎます。中度のサビの場合は、チェーンや小石を入れてタンクを振ることで、物理的にサビを除去する方法も効果的です。
🧽 サビの程度別対処法
サビの程度 | 症状 | 対処法 | 使用薬剤 |
---|---|---|---|
軽度 | 表面の変色程度 | 化学的サビ取り | リン酸系サビ取り剤 |
中度 | 剥離するサビ | 物理的+化学的除去 | サビ取り剤+研磨材 |
重度 | 深いサビ、穴 | 研磨+パッチ修理 | 強力サビ取り剤 |
全面腐食 | タンク全体の劣化 | タンク交換 | – |
重度のサビの場合は、より積極的な対処が必要です。タンクを取り外し、内部を研磨材で物理的に研磨します。この作業には電動ドリルにワイヤーブラシを取り付けたツールが有効です。ただし、研磨作業はタンクの厚みを減らすため、慎重に行う必要があります。
サビ取り作業が完了したら、タンク内部を中性洗剤で洗浄し、完全に乾燥させます。乾燥後は防錆処理を施すことで、新たなサビの発生を防げます。市販の燃料タンク用防錆剤を使用するか、エタノールを少量注入して内壁をコーティングする方法もあります。
最後に、タンクを元の位置に取り付け、新しい燃料を注入して漏れがないか確認します。作業後しばらくは燃料の状態を定期的にチェックし、再びサビが発生していないか監視することが重要です。
バッテリー充電と交換のポイント
バッテリーの充電と交換は、セル付き耕運機のメンテナンスにおいて重要な作業です。適切な手順で行うことで、バッテリーの寿命を延ばし、突然のトラブルを防ぐことができます。
まず、バッテリーの状態を正確に診断することから始めます。テスターを使用してバッテリー電圧を測定し、12V未満であれば充電が必要、10V以下であれば交換を検討します。測定は必ずエンジン停止状態で行い、正確な値を得るために負荷をかけない状態で測定します。
充電作業では、専用の充電器を使用します。急速充電は避け、低電流での緩やかな充電(2〜6時間程度)を行うことでバッテリーの劣化を防げます。充電中はバッテリーから可燃性ガスが発生する可能性があるため、換気の良い場所で作業を行います。
🔋 バッテリーメンテナンス手順
作業項目 | 確認内容 | 正常値・状態 | 異常時の対処 |
---|---|---|---|
電圧測定 | 無負荷電圧 | 12.6V以上 | 充電または交換 |
液量確認 | 電解液レベル | 上限と下限の中間 | 蒸留水補充 |
端子清掃 | 腐食・汚れ | 清潔な金属面 | ワイヤーブラシで清掃 |
固定確認 | 取り付け状態 | がたつきなし | ボルト増し締め |
バッテリー交換が必要な場合は、必ず同じ容量(アンペアアワー:Ah)のバッテリーを選択します。容量の異なるバッテリーを使用すると、充電系統に負荷をかけ、他の電装品の故障原因となることがあります。
交換作業では、まずマイナス端子から外し、プラス端子を最後に外します。新しいバッテリーの取り付けは逆の順序で、プラス端子から接続し、マイナス端子を最後に接続します。この順序を守ることで、作業中のショートを防ぐことができます。
冬期の保管時は、バッテリーの自然放電を防ぐために端子を外しておくか、月に1回程度の充電を行います。また、極端な低温はバッテリー性能を著しく低下させるため、可能であれば暖かい場所での保管が推奨されます。
ヒューズ交換と電気系統チェック法
ヒューズ交換と電気系統のチェックは、電気的なトラブルを解決する基本的な対処法です。ヒューズは過電流から機器を保護する重要な安全装置であり、適切な容量のものを使用することが不可欠です。
ヒューズボックスの位置は機種によって異なりますが、通常はエンジン近くの目立つ場所に設置されています。ヒューズボックスを開く前に、必ずエンジンを停止し、キーを抜いて安全を確保します。作業中の誤った操作による感電や機器損傷を防ぐため、この手順は必須です。
ヒューズの状態確認は目視で行います。正常なヒューズは内部の金属線が連続していますが、切れたヒューズは金属線が断線し、ガラス管内部が黒く焦げていることがあります。判断が困難な場合は、テスターを使用して導通を確認します。
⚡ 電気系統トラブルシューティング
症状 | 可能性の高い原因 | 確認箇所 | 対処法 |
---|---|---|---|
セルが全く回らない | メインヒューズ切れ | エンジン始動回路 | ヒューズ交換 |
ライトが点灯しない | ライト系ヒューズ切れ | 照明回路 | ヒューズ交換 |
断続的に電気が切れる | 接触不良 | 端子、配線 | 接点清掃 |
すぐにヒューズが切れる | ショート | 配線、機器 | 専門業者診断 |
ヒューズ交換時は、必ず同じアンペア数のヒューズを使用します。より大きな容量のヒューズを使用すると、過電流時に機器を保護できず、より深刻な損傷を引き起こす可能性があります。一般的な耕運機では5A、10A、15Aのヒューズが使用されています。
新しいヒューズを取り付けた後、エンジンを始動して各電装品が正常に動作するか確認します。もし新しいヒューズもすぐに切れてしまう場合は、配線のショートや機器の故障が原因として考えられ、専門的な診断が必要です。
定期的な電気系統のメンテナンスとして、端子の清掃と増し締めを行います。腐食した端子は導通不良の原因となり、接触抵抗の増加により発熱や火災の危険性もあります。端子清掃にはワイヤーブラシと接点復活剤を使用し、作業後は防水グリースで保護します。
まとめ:クボタ耕運機エンジンがかからない問題の総合対策
最後に記事のポイントをまとめます。
- 燃料かぶりが最も頻繁に発生するエンジントラブルの原因である
- プラグの清掃と乾燥により燃料かぶりは比較的簡単に解決できる
- キャブレターの詰まりは燃料の変質と土埃の混入が主な原因となる
- キャブレター分解清掃には専用洗浄剤と適切な工具が必要である
- 燃料の劣化は3ヶ月程度から始まり色と匂いで判断できる
- 劣化した燃料は適切な方法で処分し新しい燃料と交換する
- 燃料タンクのサビは水分侵入と燃料劣化が主要因となる
- サビの程度に応じて化学的除去と物理的研磨を使い分ける
- バッテリー上がりは長期間の不使用により自然放電で発生する
- バッテリー交換時は同じ容量のものを選択することが重要である
- ヒューズ切れは過電流保護機能の作動により発生する
- ヒューズ交換では必ず同じアンペア数のものを使用する
- 定期的なメンテナンスにより多くのトラブルは予防可能である
- 使用後の燃料抜きと適切な保管がトラブル防止の基本である
- 複数の原因が重複している場合は段階的に対処する
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://www.youtube.com/watch?v=5GvcyR-biw4
- https://m.youtube.com/watch?v=xDOg9nlQw3c
- https://www.youtube.com/watch?v=ANx72ghKRBw
- https://www.agri-ya.jp/column/2022/08/11/find-cause-of-the-wrong-with-the-engine-of-cultivator/
- https://carview.yahoo.co.jp/ncar/catalog/rover/chiebukuro/detail/?qid=14152437984
- https://farm.ultra-b.jp/contents/kouunki/cultivator-engine-not-start
- https://ummkt.com/blog/468
- https://nextplus-noukigu.com/column/trouble/detail/causes-of-the-cultivator-s-enine-not-starting/
- https://ameblo.jp/higesanfarm/entry-12729656175.html
- https://www.noukinavi.com/blog/?p=7527