ガジュマルは南国の沖縄から東南アジアにかけて分布する観葉植物で、その特徴的な幹や根を活かして様々な仕立て方を楽しむことができます。特に人気なのが「昇り竜」と呼ばれる仕立て方で、幹を曲げて龍が昇るような姿に仕上げる技法です。
この仕立て方には園芸用の針金や水苔を使用し、生育期である4月から6月にかけて作業を進めていきます。根上がりや石抱きなど、様々なバリエーションも存在するため、自分好みの昇り竜スタイルを見つけることができるでしょう。
記事のポイント!
- ガジュマルの昇り竜仕立ての基本的な作り方とポイント
- 根上がりや石抱きなど、様々な仕立て方のバリエーション
- 作業に適した時期と必要な道具の選び方
- 昇り竜仕立てを長く楽しむための育て方と管理方法
ガジュマル 昇り竜作り方の基本とコツ
- 昇り竜仕立ては根や幹を曲げて作ることがポイント
- 初心者でも失敗しない昇り竜の作り方は3ステップ
- 昇り竜作りに最適な時期は4月から6月
- 昇り竜作りに必要な道具は7つ揃える
- ガジュマルは耐陰性の高い観葉植物
- 初心者でも育てやすい植物として人気
昇り竜仕立ては根や幹を曲げて作ることがポイント
昇り竜仕立ては、ガジュマルの特徴である気根と幹を活かした仕立て方です。幹を上向きに曲げることで、天に昇る龍のような姿を表現します。
この仕立て方の特徴は、根や幹が太く独特な形状を持つガジュマルの性質を最大限に活かせる点です。通常の観葉植物では難しい曲線美を、ガジュマルなら自然な形で表現できます。
ガジュマルは幹に対して根が短めでも育つ特性があるため、盆栽のような浅い鉢でも育てることができます。これにより、昇り竜の姿をより引き立たせることが可能です。
根上がりにする場合は、根を地中で太らせてから土を取り除き、地上に露出させて植え直します。この技法により、より迫力のある昇り竜の姿を作ることができます。
また、岩などを土台に根をからませる「石抱き」の技法を組み合わせることで、より自然な景観を楽しむこともできます。
初心者でも失敗しない昇り竜の作り方は3ステップ
昇り竜を作るには、まず適切な苗木を選ぶことから始まります。若くて柔らかい枝を持つ苗木が理想的です。
次に、園芸用の針金を使って幹や枝を固定します。針金は枝の太さに合わせて1〜2mmのものを選び、螺旋状に巻いていきます。このとき、太めの木質化した幹を始点にすると安定した固定ができます。
三つ目のステップは、水苔を使った根の育成です。露出させたい根の部分を濡らした水苔でおおい、ラップで包んでテープで固定します。水やりができるよう、ラップの上部は少し開けておきます。
この状態で1年ほど育てると、水苔で育てた部分が膨らんできます。その部分の根を露出させて植え直すことで、昇り竜らしい姿が完成します。
挿し木苗でも同じように作ることができるため、剪定した際の枝を活用するのもおすすめです。
昇り竜作りに最適な時期は4月から6月

昇り竜作りの作業は、ガジュマルが生育期に入る4月から6月が最適です。この時期は植物が柔軟で、針金による形状の固定がしやすく、ストレスも軽減されます。
春は新しい成長の始まりであり、この時期に作業を行うことで、植物は健康な状態で夏を迎えることができます。特に根の生育が活発になる時期なので、根上がりの作業もスムーズに進みます。
また、9月も作業に適した時期です。夏の暑さが和らぎ、植物にとってストレスの少ない環境となります。ただし、冬の寒さが来る前に作業を終える必要があります。
気温の高すぎる夏場や、休眠期である冬場の作業は避けましょう。特に寒い時期の作業は、枯れるリスクが高まるため注意が必要です。
湿度の高い日の作業も控えめにします。切り口が乾燥せず、カビなどが発生しやすくなるためです。
昇り竜作りに必要な道具は7つ揃える
まず基本的な道具として、園芸用の針金(1〜2mm)とペンチが必要です。針金は枝の太さに応じたものを選びましょう。
次に、水苔とラップ、テープを用意します。これらは根上がりを作る際に使用します。水苔は適度な湿度を保ち、根の成長を促進します。
剪定ばさみも必須アイテムです。不要な枝を切り落とし、樹形を整えるのに使用します。刃物は清潔に保ち、手入れを怠らないようにします。
鉢は盆栽用の浅鉢が適しています。排水の穴以外にもワイヤーを通すための小さな穴が四角にあいているものを選びましょう。
その他、鉢底ネットや鉢底石、観葉植物用の土も必要です。これらは植え替え時に使用します。
ガジュマルは耐陰性の高い観葉植物
ガジュマルは日光を好む一方で、耐陰性も高い特徴を持っています。そのため、室内でも比較的育てやすい観葉植物です。
屋内であれば、窓辺の明るい間接光が当たる場所が理想的です。ただし、真夏など日差しが強い時期には、カーテン越しの光を利用するなどの工夫が必要です。
気温は5〜30℃の環境が最適です。寒さには弱いため、冬場は室内で管理することをおすすめします。特に寒冷地では、窓際の冷気を避けて暖かい場所に移動させましょう。
湿度管理も重要です。高温多湿を好む性質があるため、室内の空気が乾燥しやすい冬場には、加湿器を利用したり、霧吹きで葉水をすることをおすすめします。
週に1回程度、鉢を回転させることで、光が全体に均等に当たり、バランスの良い成長を促すことができます。
初心者でも育てやすい植物として人気
ガジュマルは丈夫で育てやすく、初心者にも適した観葉植物です。特に水やりは土が乾いたらたっぷりと与えるという基本ルールを守れば、元気に育ちます。
春から夏の生育期には、土の表面が乾いたタイミングで鉢底から水が流れ出るくらいまでしっかりと水やりをします。一方、冬場は休眠期に入るため、水やりの頻度を減らすことが大切です。
肥料は春から秋にかけて2ヶ月に1回程度、緩効性肥料を与えます。与えすぎると根を傷める可能性があるため、適量を守ることが重要です。
病害虫対策として、こまめな観察と適切なケアを心がけましょう。特に春先や梅雨時期は害虫が発生しやすいため注意が必要です。
定期的な剪定と植え替えを行うことで、健康的な成長を促すことができます。
プロが教えるガジュマル 昇り竜作り方のテクニック
- 根上がりの作り方は水苔を使って1年かけて育てる
- 幹の曲げ方は園芸用針金を使って固定する
- 石抱きスタイルは岩を使って安定感を出す
- 三つ編みは3本の若い幹を編んで作る
- 根腐れを防ぐために土の選び方が重要
- 剪定のタイミングは春と秋が適している
- まとめ:ガジュマル 昇り竜作り方は根気よく育てることがコツ
根上がりの作り方は水苔を使って1年かけて育てる
根上がりは、根を地中で太らせてから地上に露出させる手法です。この技法は通常の植え替えと同じように始めますが、植えるときにかなり浅植えにして、根の半分は鉢上に出すように植えることがポイントです。
露出した根は濡らした水苔でおおい、ラップでくるんでテープで固定します。ラップの上部は水やりできるように少し開けられる余裕を持たせておくことが大切です。
この状態で水苔や下の土にも水やりをしつつ1年くらい育てていきます。時間をかけることで、水苔で育てた部分が膨らんでいきます。
根が細くて安定しない場合は、岩などを土台に根をからませ、ワイヤーで固定して植えることもできます。これにより、より安定した根上がりを実現できます。
挿し木苗でも同じように作ることができるので、剪定したときに挑戦してみるのもおすすめです。根上がりにより、より迫力のある昇り竜の姿を作り出すことができます。
幹の曲げ方は園芸用針金を使って固定する
ガジュマルはゴムの木の仲間で、枝が木質化するまでの時間がかかります。そのため、木質化する前にワイヤーで曲げ癖をつけることで、好みの樹形に仕立てることができます。
ガジュマルの枝は細目なので、園芸用ワイヤーは1〜2mmのものを用意します。ワイヤーを螺旋状に枝に絡めるときは、太めの木質化した幹を始点にすると固定が安定します。
枝を広げたい場合は、盆栽鉢のふちにワイヤーを一周回しておいて、そこに引っ掛けるように誘引する方法が効果的です。この方法で、より自然な広がりを持たせることができます。
ワイヤーを巻くときは、適度な間隔を保ちながら、枝を軽く支える程度の力で固定するよう注意が必要です。巻き方がきつすぎると、幹や枝にダメージを与えることがあります。
曲げ作業は一気に行わず、ゆっくりと手で曲げて形を整えていきます。急激な曲げ方をすると枝が折れる可能性があるため、慎重に作業を進めましょう。
石抱きスタイルは岩を使って安定感を出す

石抱きは、根や枝を石に絡ませることで独自の景観を作る技法です。この手法により、自然の岩肌と植物の調和を楽しむことができます。
まず適当な大きさの石を用意し、根や枝を絡ませる位置を決めます。根や枝を石に固定するため、園芸用のヒモやラップを使用して固定していきます。
石の周囲には水苔を巻き付けて湿度を保ちます。この際、根や枝が乾燥しないよう注意することが大切です。水苔は適度な湿り気を保つことで、より自然な見た目を演出できます。
根や枝が石にしっかり絡むまで数ヶ月管理し、定着したらヒモを外します。この過程で、石と植物が一体となった独特の景観が生まれてきます。
石抱きスタイルは時間をかけて完成させる技法ですが、その分だけ達成感と愛着を感じられる作品となります。
三つ編みは3本の若い幹を編んで作る
三つ編みは3本の幹を使い、編み込むようにして形を作る手法です。この方法は見た目が華やかで、特にインテリア性を重視する場合に適しています。
若くて柔らかい3本の幹を選びます。均等な太さのものを選ぶと、バランスの良い仕上がりになります。根元で3本を揃え、軽く湿らせてから編み始めるのがコツです。
三つ編みをするように交互に幹を編み込んでいき、編み終わった部分を針金やヒモで固定します。幹が成長して固定が不要になったら、針金を外します。
注意点として、三つ編みの作業は柔らかい幹や枝にのみ行うようにします。固くなった幹に無理な力を加えると、破損の原因となるため避けましょう。
また、固定部分が食い込まないよう、定期的に観察して調整することも大切です。この手間をかける分、完成した形状には特別な愛着が湧くことでしょう。
根腐れを防ぐために土の選び方が重要
ガジュマルの健康な成長のためには、水はけの良い土の使用が重要です。市販の観葉植物用の培養土を使用するのが一般的ですが、より良い環境を作るために土を調合することもできます。
水はけの良い赤玉土(小粒)7:腐葉土3の割合で混ぜ、緩効性の肥料を少量加えることで、理想的な土を作ることができます。さらに、水はけを良くするために、パーライトを1割加えるのもおすすめです。
植え替え時には、鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を入れることで、より良い排水環境を整えることができます。これにより、根腐れのリスクを大幅に減らすことができます。
土の表面には化粧石やバークを敷くことで、見た目を美しく整えることができます。これは装飾的な効果だけでなく、土の乾燥を防ぐ効果もあります。
定期的な植え替えも重要で、2〜3年に1度のペースで行うことをおすすめします。この際、古い土を新しい土と交換することで、根の健康を維持できます。
剪定のタイミングは春と秋が適している
剪定は4月から6月、もしくは9月が最適な時期です。この時期はガジュマルが生育期に入り、切り口の回復が早いため、樹形を整えるのに適しています。
剪定する際は、まず不要な枝や込み合った部分の枝を取り除きます。これにより、風通しが良くなり、病害虫のリスクを軽減できます。また、光が全体に行き渡るようになり、健康的な成長を促進できます。
昇り竜を作るためには、枝の形状や方向を意識して剪定を行います。上向きに成長する枝を残し、下向きや横に広がる枝を切り落とすことで、幹が上へと伸びる印象を作り出せます。
剪定後に切り口が乾燥しすぎないよう、湿度の高い場所で管理することも重要です。ただし、湿度の高すぎる日の剪定は避け、カビの発生を防ぎましょう。
真夏や冬の剪定は避け、植物への負担を最小限に抑えることが大切です。これらの時期は生育が緩やかになるため、回復に時間がかかるためです。
まとめ:ガジュマル 昇り竜作り方は根気よく育てることがコツ
最後に記事のポイントをまとめます。
- 昇り竜作りの最適な時期は4月から6月
- 作業には園芸用針金1〜2mmが必須
- 根上がりには水苔とラップを使用し1年かけて育成
- 幹は木質化前にワイヤーで形作る
- 三つ編みは均等な太さの若い幹を3本使用
- 石抱きスタイルで安定感のある仕上がりに
- 水はけの良い土で根腐れを防止
- 剪定は春と秋に実施
- 植え替えは2〜3年に1度が目安
- 日光は窓辺の明るい間接光が最適
- 気温は5〜30℃が理想的
- 水やりは土が乾いてからたっぷりと実施
- 肥料は春から秋に2ヶ月に1回程度
- 固定具が食い込まないよう定期的な観察が必要