害虫と病気の予防に効果があるベニカXガード粒剤とオルトランシリーズ。両方使いたいけれど、正しい使い方がいまいちわからないという方も多いのではないでしょうか。併用する際の注意点や使用時期について、詳しく解説していきます。
ベニカXガード粒剤は殺虫効果に加えてうどん粉病や黒星病の予防効果があり、オルトランDXは2種類の殺虫成分で幅広い害虫に効果を発揮します。この記事では、それぞれの特徴を理解した上で、効果的な使用方法とローテーションについて説明していきたいと思います。
記事のポイント!
- ベニカXガード粒剤とオルトランの成分の違いと効果
- 併用する場合の年間使用回数の制限と注意点
- バラなどの植物での効果的な使用時期と使用量
- コガネムシなどの害虫への対策方法と使い分け
ベニカXガード粒剤とオルトランの効果的な併用方法と特徴
- 各製品の特徴と主な成分を解説
- 殺虫・殺菌効果の違いと特性を比較
- 併用する際の注意点と使用制限
- バラ栽培での効果的な使用時期と使用量
- コガネムシ対策における併用のメリット
- うどん粉病予防と害虫対策の両立方法
各製品の特徴と主な成分を解説
ベニカXガード粒剤は、クロチアニジンという殺虫成分と、病気への抵抗性を高めるBT菌を含む製品です。根から吸収された薬剤が植物全体に行き渡り、害虫の被害から守ります。
オルトランDXには、クロチアニジンとアセフェートという2種類の殺虫成分が含まれています。この2つの成分により、より幅広い害虫に効果を発揮します。
GFオルトランは、アセフェートのみを含む製品で、年間使用回数が5回まで可能です。
これらの製品は土に散布して使用する粒剤タイプで、植物の根から薬剤を吸収させる仕組みになっています。
薬剤の効果は約1ヶ月持続するとされています。ただし、植物の高さが1メートルを超えると、根からの吸収による効果が薄くなる可能性があります。
殺虫・殺菌効果の違いと特性を比較
ベニカXガード粒剤の最大の特徴は、害虫防除に加えて病気の予防効果があることです。うどん粉病や黒星病などの病気に対して、植物の抵抗力を高める働きがあります。
オルトランDXは、2種類の殺虫成分により、アブラムシやコガネムシの幼虫など、様々な害虫に効果があります。特にバラの害虫に対する登録が充実しています。
GFオルトランは、コガネムシの幼虫対策に効果的です。葉を食べる害虫だけでなく、根を食べる害虫にも効果があります。
これらの製品は、発生前〜発生初期の予防的な使用が推奨されています。発生してからでは効果が限定的になる可能性があります。
薬剤の浸透性については、いずれも植物全体に行き渡る特徴がありますが、高さ1メートルまでが効果の限界とされています。
併用する際の注意点と使用制限
ベニカXガード粒剤とオルトランDXには、同じクロチアニジン成分が含まれているため、年間使用回数は合計で4回までとなります。
GFオルトランは年間5回まで使用可能で、ベニカXガード粒剤との併用でも、それぞれの使用回数制限内で使用できます。
同時散布は推奨されておらず、それぞれの薬剤の効果期間(約1ヶ月)が過ぎてから、次の薬剤を使用することが望ましいです。
使用時は保護メガネ、農薬用マスク、手袋、長袖の作業着の着用が必要です。また、散布後は手足や顔を石けんでよく洗い、うがいをすることが推奨されています。
オルトランは真夏の高温時には有毒ガスを発生する可能性があるため、使用を控えることが推奨されています。
バラ栽培での効果的な使用時期と使用量
バラの場合、ベニカXガード粒剤の使用量は5〜10g/株(最大100g/㎡まで)となっています。うどん粉病や黒星病の予防には、病気が発生する前の散布が重要です。
特に春の新芽の生育時期(4月頃)と秋口(9月頃)の使用が効果的です。これらの時期は病気が発生しやすい時期と重なっています。
使用方法は、株元への散布か、土との軽い混和が推奨されています。散布後は必ず水やりをして、薬剤を土に浸透させる必要があります。
デジタル計量器での計測が理想的ですが、付属のスプーンでの計量でも問題ありません。散布後は数回の水やりで徐々に溶けていく特徴があります。
高さが1メートルを超えるつるバラなどでは、地上部分への別途の薬剤散布が必要になる場合があります。
コガネムシ対策における併用のメリット
コガネムシ対策として、ベニカXガード粒剤は幼虫への効果が期待できます。特に5月と9月の散布が推奨されています。
オルトランDXやGFオルトランも、コガネムシの幼虫に効果があります。特にGFオルトランは根を食べる害虫への効果が高いとされています。
併用する場合は、コガネムシの活動時期に合わせて薬剤をローテーションで使用することで、より効果的な防除が期待できます。
土の表面に散布するだけでなく、軽く土と混ぜ合わせることで、より効果的に根から吸収させることができます。
散布後は必ず水やりを行い、薬剤を根の周辺に行き渡らせることが重要です。
うどん粉病予防と害虫対策の両立方法
ベニカXガード粒剤は、うどん粉病などの予防効果と害虫防除を同時に行うことができます。特に梅雨時期や秋の長雨の時期など、病気が発生しやすい時期の使用が効果的です。
病気の予防効果は、植物の抵抗力を高めることで発揮されます。そのため、病気が発生してからでは十分な効果が得られない特徴があります。
害虫対策としては、アブラムシやコガネムシの幼虫、チュウレンジハバチなどに効果があります。これらの害虫は植物の樹液を吸ったり、葉を食害したりする特徴があります。
使用回数の制限内で、病気の発生しやすい時期と害虫の発生時期を考慮したローテーション散布を行うことで、より効果的な防除が可能になります。
効果は約2ヶ月続くとされていますが、高温期や降雨が多い時期は、効果が低下する可能性があります。
ベニカXガード粒剤とオルトランのローテーション活用法
- 春から秋にかけての効果的な使用スケジュール
- 植物の大きさによる使い分けのポイント
- 病害虫の種類別おすすめ使用方法
- 土壌散布と葉面散布の使い分け方
- 長期的な害虫予防のための使用計画
- まとめ:ベニカXガード粒剤とオルトラン併用で実現する年間の病害虫対策
春から秋にかけての効果的な使用スケジュール
バラなどの植物の生育期間中、効果的な薬剤散布のタイミングがあります。春先の4月頃は新芽の生育時期で、この時期にベニカXガード粒剤を使用することで、病気の予防効果が期待できます。
9月頃の秋口も重要な散布時期となります。この時期は再び病気が発生しやすくなるため、予防的な散布が効果的です。
真夏の高温期は、オルトランの使用を控えることが推奨されています。これは高温時に有毒ガスを発生する可能性があるためです。
薬剤の効果は約1ヶ月間持続するため、散布後1ヶ月は次の薬剤の使用を控えることが望ましいです。
散布する際は、晴れた日を選び、散布後3日程度は屋外で管理することが推奨されています。
植物の大きさによる使い分けのポイント
植物の高さが1メートルを超える場合、粒剤の効果が十分に行き届かない可能性があります。これは根からの吸収による薬剤の移行に限界があるためです。
鉢植えの場合、植物のサイズに応じて使用量を調整する必要があります。3号鉢では1回の散布、4号鉢では2回の散布というように、鉢のサイズに合わせて調整します。
7寸(21センチ)の鉢では、規定の使用量である1グラムが適量となります。これより大きな鉢の場合は、面積に応じて使用量を増やす必要があります。
散布後は必ず水やりを行い、薬剤を土壌に十分浸透させることが重要です。数回の水やりで徐々に溶けていく特徴があります。
高さのある植物の場合は、粒剤の使用に加えて、葉面散布用の薬剤との併用を検討する必要があります。
病害虫の種類別おすすめ使用方法
アブラムシ対策には、ベニカXガード粒剤を5g/株の割合で使用します。発生前から発生初期の使用が最も効果的です。
コガネムシの幼虫対策には、5月と9月の散布が効果的です。特にGFオルトランは根を食べる害虫への効果が高いとされています。
うどん粉病や黒星病の予防には、ベニカXガード粒剤を梅雨時期や秋の長雨の前に使用することが効果的です。病気の発生後では効果が限定的になります。
チュウレンジハバチやバラゾウムシなどの害虫に対しては、10g/株までの使用が認められています。
カイガラムシなどの害虫に対しては、オルトランDXの使用が効果的です。特にバラの害虫に対する登録が充実しています。
土壌散布と葉面散布の使い分け方
粒剤は土壌に散布して使用する薬剤です。植え付け時に土に混ぜ込むか、株元にばらまいて使用します。
散布後は土との軽い混和が推奨されています。これにより、薬剤の効果をより確実に発揮させることができます。
水やりのタイミングは、土が湿っている状態で薬剤を散布し、その後さらに水やりを行うことで、効果的に根から吸収させることができます。
高さのある植物の場合、地上部への薬剤散布が必要になることがあります。これは粒剤の効果が1メートルまでという限界があるためです。
散布時は保護具の着用が必要で、作業後は手足や顔を石けんでよく洗い、うがいをすることが推奨されています。
長期的な害虫予防のための使用計画
年間の使用回数制限を考慮すると、ベニカXガード粒剤とオルトランDXの併用では、合計で4回までの使用となります。
GFオルトランは年5回まで使用可能で、ベニカXガード粒剤との併用でも、それぞれの制限内で使用できます。
春の新芽の生育時期、梅雨時期、秋口など、病気や害虫の発生しやすい時期を考慮して計画的に使用することが重要です。
散布間隔は薬剤の効果持続期間である約1ヶ月を目安に設定します。同時散布は避け、効果期間が過ぎてから次の薬剤を使用します。
冬季は害虫の活動が少ないため、散布の必要性は低くなります。この時期は土の入れ替えなど、翌春に向けた準備に適しています。
まとめ:ベニカXガード粒剤とオルトラン併用で実現する年間の病害虫対策
最後に記事のポイントをまとめます。
- ベニカXガード粒剤はクロチアニジンとBT菌を含み、害虫防除と病気予防の両方に効果がある
- オルトランDXはクロチアニジンとアセフェートを含み、幅広い害虫に効果を発揮する
- 両剤の併用時は年間合計4回までの使用制限がある
- GFオルトランは年5回まで使用可能で、根を食べる害虫に特に効果がある
- 散布は薬剤の効果期間(約1ヶ月)を考慮して計画する
- 植物の高さが1メートルを超えると、粒剤の効果が低下する
- 春の新芽生育時期と秋口が主要な散布時期となる
- 真夏の高温期はオルトランの使用を控える
- 散布後は必ず水やりを行い、薬剤を土壌に浸透させる
- 病気の予防には発生前の散布が重要
- 使用時は保護具の着用と作業後の手洗い・うがいが必要
- 計画的な使用で、年間を通じた効果的な病害虫対策が可能