草刈機の振動が酷い時の原因と対策完全ガイド【チップソーからグリスまで徹底解説】

草刈機を使用していて「振動が酷くなった」「手が震えて作業がつらい」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。実は、草刈機の振動問題には様々な原因があり、適切な対策を講じることで大幅に改善できることがほとんどです。チップソーの劣化、メインシャフトのグリス不足、エンジン部品の不調など、具体的な原因を特定して対処することが重要になります。

本記事では、草刈機の振動トラブルの根本的な原因から、すぐに実践できる対策方法、さらには振動障害の予防まで、現場で実際に効果が確認されている情報を網羅的にお伝えします。メンテナンス方法、適切な防振手袋の選び方、作業時間の管理方法なども詳しく解説し、安全で快適な草刈り作業を実現するためのノウハウをご紹介していきます。

この記事のポイント
✅ 草刈機振動の主要原因5つと対策方法
✅ チップソー交換とグリスアップの正しい手順
✅ 振動障害を防ぐ作業時間と休憩の取り方
✅ 効果的な防振手袋と安全装備の選び方

草刈機の振動トラブル原因と基本対策

1. 草刈機振動の主な原因はチップソーの劣化と歪み
2. メインシャフトのグリス不足が振動を引き起こす理由
3. エンジン部品の不調による振動の見分け方
4. ギアケースと受刃金具の点検ポイント
5. 遠心クラッチ部の故障が原因となるケース
6. パイプやシャフトの曲がりによる振動発生メカニズム

草刈機振動の主な原因はチップソーの劣化と歪み

草刈機の振動問題で最も多い原因は、実はチップソーの劣化や歪みです。多くの利用者が機械本体の故障を疑いがちですが、実際の修理現場では「チップソーを新品に交換しただけで振動が解決した」というケースが圧倒的に多いことが分かっています。

チップソーによる振動の発生メカニズムを詳しく見てみましょう。刃の使用を続けていると、チップ（刃先の硬い部分）が飛んだり、刃全体が歪んだりしてバランスが崩れます。この状態で高速回転すると、重心がずれて大きな振動が発生してしまうのです。

🔧 チップソー劣化の主な症状

劣化症状	振動への影響	対策の緊急度
チップの飛び（数個）	軽微な振動	早めの交換
刃の歪み・変形	中程度の振動	即座に交換
多数のチップ欠け	強い振動	使用中止
刃の真円度悪化	激しい振動	危険レベル

見た目では分かりにくい場合でも、新品のチップソーに交換して試してみることが最も確実な診断方法です。特に「刈払機ってどっちからどっちにヘッドを動かすと切れるんだっけ？」と感じるほど切れ味が落ちている場合は、既にチップソーが限界に達している可能性が高いでしょう。

チップソーの交換作業は比較的簡単ですが、機械についている専用工具を使用し、確実に取り付けることが重要です。締め付けが不十分だと、作業中に刃が外れる危険性があります。逆に締めすぎると、次回の交換時に外しにくくなってしまうため、適切なトルクで締め付けましょう。

また、コスト面を考慮して劣化したチップソーを使い続ける方もいますが、これは結果的に機械本体に負荷をかけ、より高額な修理が必要になるリスクがあります。適切なタイミングでの交換が、長期的には最も経済的な選択と言えるでしょう。

メインシャフトのグリス不足が振動を引き起こす理由

草刈機の振動問題で見落とされがちなのが、メインシャフトのグリス不足です。シャフト部分は高速回転する部品であり、適切な潤滑が行われていないと摩擦や振動の原因となってしまいます。特に長期間使用している草刈機では、グリスが劣化したり不足したりすることが多いようです。

メインシャフトにグリスアップを行う主な目的は、振動の軽減と部品の長寿命化です。グリスが不足していると、金属同士が直接接触して異常な摩擦が発生し、これが振動として現れます。また、摩擦による発熱で部品が変形したり、摩耗が進んだりする可能性もあります。

⚙️ グリスアップが必要な主要部位

部位	グリスアップ頻度	使用グリス	効果
メインシャフト軸受部	50時間毎	リチウムグリス	振動軽減
ギアケース内部	シーズン毎	専用ギアオイル	滑らかな動作
ハンドル接続部	月1回	モリブデングリス	操作性向上
クラッチ機構	100時間毎	高温グリス	振動抑制

グリスアップを行う際は、古いグリスをしっかりと清掃してから新しいグリスを塗布することが重要です。古いグリスが残っていると、新しいグリスと混合して性能が低下する場合があります。また、グリスの塗布量も適切に調整する必要があります。

作業手順としては、まず該当部位を分解してパーツクリーナーで清掃し、新しいグリスを薄く均等に塗布します。「多めに塗れば良い」というわけではなく、むしろ適量を守ることが重要です。過剰なグリスは汚れを呼び込んだり、遠心力で飛散したりする原因となります。

定期的なグリスアップを行うことで、振動が大幅に軽減されるだけでなく、機械全体の寿命も延ばすことができます。特に業務で頻繁に使用する場合は、メンテナンススケジュールを立てて確実に実施することをお勧めします。

エンジン部品の不調による振動の見分け方

草刈機の振動がチップソーやグリス以外に原因がある場合、エンジン部品の不調を疑う必要があります。エンジンからの振動は、作業者にとって特に不快で疲労の原因となりやすいため、早期の発見と対策が重要です。

エンジン由来の振動を判別する最も簡単な方法は、エンジンを始動した状態でシャフト前方とエンジン部分を手で触って比較することです。エンジン部分で明らかに大きな振動を感じる場合は、エンジン内部に問題がある可能性が高いでしょう。

🔍 エンジン振動の主な原因と症状

原因	症状	確認方法	対策
遠心クラッチの不調	アイドリング時の振動	クラッチ動作確認	部品交換
エンジンマウントの劣化	全域での振動	目視・触診	マウント交換
燃焼不良	不規則な振動	排気音確認	調整・清掃
内部部品の摩耗	継続的な振動	圧縮測定	オーバーホール

特に遠心クラッチ部分の不調は振動の大きな原因となります。クラッチシューの動きが悪くなると、片側だけが開いて大きな振動が発生することがあります。この場合、錆びや汚れによってシューが固着している可能性が高く、清掃とグリスアップで改善することが多いようです。

クラッチシューの点検を行う際は、シューをマイナスドライバーで軽くこじって動きを確認してみましょう。スムーズに動かない場合は、シューを取り外して錆び落としとグリスアップを行います。この作業にはある程度の技術が必要なので、不安な場合は専門店に依頼することをお勧めします。

また、エンジンの振動は燃料の質や混合比にも影響されます。古い燃料や不適切な混合比の燃料を使用していると、燃焼が不安定になって振動の原因となる場合があります。定期的な燃料交換と、正確な混合比の維持も振動対策の重要な要素です。

ギアケースと受刃金具の点検ポイント

草刈機の振動問題を解決するためには、ギアケース周辺の点検も欠かせません。ギアケースは刃に動力を伝える重要な部分であり、ここに不具合があると直接的に振動として現れます。特に受刃金具（刃を固定する部品）の状態は、振動に大きく影響するため注意深くチェックする必要があります。

ギアケースの点検では、まず外観の確認から始めます。ケースに亀裂や変形がないか、オイルの漏れがないかを確認しましょう。また、ギアケース内部のオイル量も重要なチェックポイントです。オイル不足は内部ギアの摩耗を促進し、振動の原因となります。

🛠️ ギアケース点検チェックリスト

点検項目	正常な状態	異常時の症状	対処法
ケース外観	亀裂・変形なし	損傷あり	ケース交換
オイル量	規定レベル	不足・過多	調整・補充
オイルの状態	透明・清潔	汚濁・金属粉混入	交換・洗浄
受刃金具	しっかり固定	緩み・摩耗	締付・交換

受刃金具の状態確認は特に重要です。この部品が摩耗したり緩んだりしていると、刃の取り付けが不安定になり、回転時に大きな振動が発生します。受刃金具は消耗品であることを認識し、定期的な交換を心がけましょう。

ギアケース内部のオイル交換も定期的に行う必要があります。一般的には年1回または100時間使用毎の交換が推奨されています。古いオイルは潤滑性能が低下し、内部部品の摩耗を促進するだけでなく、振動の原因にもなります。

オイル交換の際は、専用のギアオイルを使用することが重要です。間違ったオイルを使用すると、ギアの損傷や異常振動の原因となる可能性があります。また、オイル交換時にはドレンボルトのワッシャーも一緒に交換し、確実にシールできるようにしましょう。

遠心クラッチ部の故障が原因となるケース

遠心クラッチは草刈機の重要な安全装置であり、同時に振動発生の主要な原因となりうる部分でもあります。クラッチの役割は、エンジンの回転を刃に伝達したり遮断したりすることですが、この機構に不具合があると著しい振動が発生することがあります。

遠心クラッチの動作原理を理解することで、振動の原因をより正確に特定できるでしょう。エンジンの回転数が上がると、クラッチシューが遠心力で外側に開いてドラムに接触し、動力を伝達します。この時、シューの動きが不均等だと振動が発生します。

⚡ 遠心クラッチ不調の症状と対策

症状	原因	対策方法	予防策
アイドリング時の振動	クラッチ戻り不良	シュー清掃・調整	定期メンテ
加速時の激しい振動	シュー固着	グリスアップ	清掃頻度向上
断続的な振動	ライニング摩耗	シュー交換	使用時間管理
連続的な振動	ドラム摩耗	ドラム交換	適切な負荷

クラッチシューの固着は、特に多湿な環境や長期保管後に発生しやすい問題です。シューとボルトの接触面に錆が発生し、片側だけが動かなくなることがあります。この状態では、一方のシューのみがドラムに接触するため、大きな振動とともに異音が発生します。

修理作業では、1500番の耐水ペーパーとCRCを使用してシューの錆び落としを行います。目の粗い紙ヤスリを使用するとボルトを削ってしまう可能性があるため、細かい番手のペーパーで根気よく作業することが重要です。

クラッチシューにグリスを塗布する際は、メーカーの指示に従うことが基本ですが、現場ではモリブデングリースを薄く塗布することが多いようです。ただし、過剰に塗布すると遠心力でドラムに飛散してしまうため、適量を心がけましょう。

パイプやシャフトの曲がりによる振動発生メカニズム

草刈機のパイプやシャフトの曲がりは、見た目では分からない微細な変形でも大きな振動を引き起こす可能性があります。これらの部品は高速回転するため、わずかな曲がりでも回転バランスが崩れ、作業者に不快な振動として伝わります。

パイプの曲がりは、転倒時の衝撃や不適切な保管方法によって発生することが多いようです。特に長期間立てかけたまま保管していると、自重によって徐々に曲がることがあります。また、作業中に石や根に強くぶつけることでも変形が生じる場合があります。

📏 パイプ・シャフト変形の確認方法

確認方法	手順	判断基準	対処法
目視確認	水平面で回転観察	振れの有無	軽微なら調整
定規測定	直線性確認	2mm以上の変形	部品交換
回転テスト	低速での動作確認	異常振動の有無	原因部位特定
ベアリング点検	回転抵抗確認	スムーズな回転	交換・調整

シャフトの曲がりを確認する際は、エンジンを停止した状態で手動でシャフトを回転させてみることが効果的です。曲がりがある場合、回転に合わせてシャフトが上下に振れるのが確認できます。また、回転時に異常な抵抗を感じる場合も、変形の可能性を示唆しています。

軽微な曲がりであれば調整で修正できる場合もありますが、2mm以上の変形がある場合は部品交換が必要です。無理に使用を続けると、他の部品にも悪影響を与える可能性があります。特にベアリング部分に負荷がかかり、早期摩耗の原因となることが多いようです。

予防策としては、適切な保管方法を守ることが重要です。草刈機は横倒しにして保管し、パイプに負荷がかからないようにしましょう。また、作業中も障害物との接触を避け、丁寧な取り扱いを心がけることで、変形のリスクを大幅に減らすことができます。

草刈機の振動対策と予防メンテナンス

1. 効果的なグリスアップ手順と使用するグリスの種類
2. 振動障害を防ぐ作業時間の管理方法
3. 防振手袋の選び方と正しい使用法
4. 定期点検で振動を未然に防ぐチェックリスト
5. クラッチシューとドラムの交換タイミング
6. 安全装備と作業姿勢による振動軽減テクニック
7. まとめ：草刈機振動問題の解決と予防の要点

効果的なグリスアップ手順と使用するグリスの種類

草刈機の振動を効果的に軽減するためには、正しいグリスアップ手順を理解し、適切な種類のグリスを使用することが重要です。グリスアップは単純な作業に見えますが、使用するグリスの種類や塗布方法によって効果に大きな差が生まれます。

まず、グリスアップを行う前に古いグリスの完全な除去が必要です。パーツクリーナーを使用して油分や汚れを綺麗に除去し、新しいグリスが効果的に機能できる環境を整えます。この清掃工程を怠ると、新旧のグリスが混合して性能が低下してしまいます。

🧴 部位別推奨グリス一覧

使用部位	推奨グリス	特徴	交換頻度
メインシャフト	リチウムグリス	一般的、コスト安	50時間毎
クラッチ機構	モリブデングリス	高温耐性、潤滑性高	100時間毎
ギアケース	専用ギアオイル	高荷重対応	シーズン毎
ベアリング部	高性能グリス	長寿命、低抵抗	200時間毎

モリブデングリスの効果的な使用方法について詳しく解説します。モリブデングリスは摩擦係数が低く、高温下でも性能を維持するため、クラッチ部分などの高負荷部位に適しています。ただし、塗布量は薄く均等に行うことが重要で、過剰に塗布すると遠心力で飛散してしまいます。

グリスアップの作業手順は以下の通りです：

1. エンジン停止・冷却：作業前に十分冷却させる
2. 分解・清掃：該当部位を分解しパーツクリーナーで清掃
3. グリス塗布：適量を薄く均等に塗布
4. 組み立て：規定トルクで締め付け
5. 動作確認：低速で動作テストを実施

特に注意すべきはグリスの塗布量です。「多めに塗れば長持ちする」という考えは間違いで、適量を守ることが最も重要です。過剰なグリスは汚れを呼び込んだり、部品の動作を阻害したりする原因となります。

振動障害を防ぐ作業時間の管理方法

草刈機作業における振動障害の予防は、作業者の健康を守るために極めて重要な課題です。振動障害は一度発症すると治療が困難な職業病であり、適切な作業時間管理と休憩の取り方で予防することが可能です。

労働安全衛生法に基づく指針では、1日の振動ばく露時間を2時間以下とすることが推奨されています。これは草刈機の振動レベルと使用時間から算出された安全基準で、この時間を超えると振動障害のリスクが高まります。

⏰ 振動ばく露時間管理表

草刈機の振動レベル	1日最大使用時間	一連続作業時間	休憩時間
5.0 m/s²以下	8時間	30分以内	5分以上
5.0-10.0 m/s²	4時間	30分以内	5分以上
10.0-20.0 m/s²	2時間	30分以内	5分以上
20.0 m/s²以上	1時間	30分以内	10分以上

一連続操作時間は30分以内とし、その後は最低5分以上の休憩を取ることが重要です。この休憩時間は単なる休息ではなく、血行を促進し筋肉の疲労を回復させるための時間として位置づけられています。

振動ばく露時間を短くするためのテクニックとして、刈り払っている時以外はエンジンを停止することが効果的です。移動時や準備時間中もエンジンを回し続けていると、無用な振動ばく露を受けることになります。

作業の組み合わせも重要な要素です。草刈機作業だけでなく、かま等の手工具による作業と組み合わせることで、1日の振動ばく露量を調整できます。また、複数人で作業を分担することも効果的な対策の一つです。

寒冷地での作業では特に注意が必要です。寒さは血管を収縮させ、振動の影響を増大させます。防寒対策を十分に行い、休憩時には暖房のある場所で体を温めることが振動障害の予防につながります。

防振手袋の選び方と正しい使用法

振動対策において防振手袋の選択と正しい使用方法は、作業者の健康を守る重要な要素です。防振手袋は単なる保護具ではなく、振動を物理的に減衰させる工学的な製品であり、適切な選択と使用が効果を大きく左右します。

防振手袋の性能は、主に振動透過率で評価されます。これは手に伝わる振動をどの程度軽減できるかを示す指標で、数値が低いほど高性能です。草刈機の振動周波数帯（通常20-200Hz）に対応した製品を選ぶことが重要です。

🧤 防振手袋性能比較表

メーカー・製品名	振動透過率	対応周波数	価格帯	耐久性
富士手袋・ダンシング	40%	16-1000Hz	1,500円	高
アトム・しんげんくん	45%	25-800Hz	1,200円	中
ハイコーキ専用手袋	35%	20-500Hz	2,500円	高
セフティー3・刈払機用	50%	30-400Hz	1,800円	中

手袋の素材も重要な選択要素です。軟質で厚手の防振材料を使用した製品が効果的ですが、作業性とのバランスも考慮する必要があります。あまり厚すぎると操作感が悪くなり、かえって危険な場合もあります。

防振手袋の正しい装着方法として、軽く握る操作を心がけることが重要です。強く握りしめると筋肉が緊張し、振動の伝達を増大させてしまいます。また、手袋のサイズも適切に選び、手にフィットしつつも締め付けすぎないものを選択しましょう。

🛡️ 防振手袋使用時の注意点

• 定期的な交換：防振材の劣化により効果が低下
• 清潔な状態を保持：汚れにより grip 力が低下
• 適切なサイズ選択：大きすぎても小さすぎても効果半減
• 他の防護具との併用：総合的な安全対策が重要

防振手袋と併せて、作業姿勢の改善も振動軽減に効果的です。膝や腰を使ってバランスの取れた姿勢で作業することで、手腕への負担を軽減できます。また、定期的な体操やマッサージも血行促進と筋肉疲労の回復に有効です。

定期点検で振動を未然に防ぐチェックリスト

草刈機の振動問題を未然に防ぐためには、系統的な定期点検が不可欠です。問題が深刻化する前に早期発見・対処することで、大きなトラブルや高額な修理費用を避けることができます。点検は使用頻度に応じて毎日、毎週、毎月の3段階で実施します。

毎日の点検項目では、作業前後の基本的なチェックを行います。これらは短時間で実施できる項目ですが、異常の早期発見には極めて重要な要素です。特に振動に関わる項目を重点的にチェックしましょう。

📋 毎日点検チェックリスト

点検項目	チェックポイント	正常状態	異常時の対応
チップソー状態	欠け・歪み・摩耗	損傷なし	即座に交換
取付部の緩み	ボルト・ナット	しっかり固定	規定トルクで締付
ハンドル部振動	始動時確認	異常振動なし	原因調査
エンジン音	アイドリング状態	安定した回転	調整・清掃

毎週の点検項目では、より詳細な機能チェックを行います。分解を伴わない範囲で、各部の動作状況を確認します。特にグリスアップが必要な部位の状態確認が重要です。

📋 毎週点検チェックリスト

点検項目	チェックポイント	確認方法	対処法
シャフト回転	スムーズな動作	手動回転確認	グリスアップ
クラッチ動作	適切な接続・切断	回転数変化確認	調整・清掃
燃料系統	漏れ・詰まり	目視・動作確認	清掃・部品交換
防振部品	マウント類の状態	目視・触診	交換・調整

毎月の点検項目では、分解を伴う詳細な点検を実施します。この段階では専門的な知識が必要な場合もあるため、不安な場合は専門店での点検を依頼することをお勧めします。

主要部品の摩耗状況確認では、数値的な基準を設けることが重要です。例えば、クラッチドラムの肉厚が新品時の70%以下になった場合は交換が必要です。また、ベアリングのガタが0.5mm以上ある場合も交換対象となります。

点検記録の作成も重要な要素です。点検日時、確認項目、結果、対処内容を記録することで、機械の状態変化を把握し、適切なメンテナンス計画を立てることができます。

クラッチシューとドラムの交換タイミング

遠心クラッチ部品の適切な交換タイミングを判断することは、振動問題の予防と機械の長寿命化において重要な要素です。クラッチシューとドラムは消耗品であり、定期的な交換が必要ですが、交換時期を見極めることで効率的なメンテナンスが可能になります。

クラッチシューの交換判断基準として、ライニング材の摩耗度が最も重要な指標となります。ライニングが完全になくなってシューの鉄部分が露出すると、ドラムとの接触で異常な発熱と振動が発生します。この状態に至る前に交換することが重要です。

🔧 クラッチ部品交換基準表

部品名	交換基準	使用時間目安	交換の緊急度	交換費用目安
クラッチシュー	ライニング残り30%以下	150-200時間	高	3,000-5,000円
クラッチドラム	肉厚70%以下	300-400時間	中	5,000-8,000円
クラッチスプリング	弾力性50%以下	200-300時間	中	1,000-2,000円
ベアリング	ガタ0.5mm以上	400-500時間	高	2,000-4,000円

クラッチドラムの摩耗確認では、内径の測定が効果的です。新品時と比較して0.5mm以上拡大している場合は交換が必要です。また、ドラム内面に深い傷や変色がある場合も交換の対象となります。

クラッチ部品の交換作業は専門的な技術が必要な場合が多いため、初心者は専門店での作業をお勧めします。特にドラムの交換には専用工具が必要で、不適切な作業により他の部品を損傷するリスクがあります。

⚙️ 交換作業のポイント

• 専用工具の使用：汎用工具では部品を損傷する可能性
• 規定トルクの遵守：締め付け不足・過多は故障の原因
• 部品の組み合わせ：新旧部品の混用は避ける
• 動作確認：交換後は必ず低速での確認を実施

クラッチ部品の予防的交換も効果的な戦略です。完全に摩耗する前に交換することで、他の部品への悪影響を防ぎ、結果的に総メンテナンス費用を抑制できます。特に業務使用の場合は、計画的な部品交換が重要です。

安全装備と作業姿勢による振動軽減テクニック

草刈機作業における振動軽減は、機械の整備だけでなく作業者の姿勢と安全装備によっても大きく改善できます。適切な装備の選択と正しい作業姿勢を身につけることで、同じ機械を使用しても振動の影響を大幅に軽減することが可能です。

作業姿勢の基本原則として、膝と腰を使ったバランスの取れた姿勢が重要です。手腕だけで機械を支えようとすると、振動が直接的に伝わり疲労が蓄積しやすくなります。全身を使った姿勢で作業することで、振動を分散させることができます。

🏃 効果的な作業姿勢のポイント

身体部位	正しい姿勢	避けるべき姿勢	効果
足・膝	膝を軽く曲げる	膝を伸ばしきる	振動吸収
腰・背中	自然な前傾姿勢	極端な前屈み	負担分散
肩・腕	リラックス状態	力み・緊張	振動伝達軽減
手・指	軽く握る	強く握りしめる	疲労軽減

ハーネス（肩掛けベルト）の使用は、機械の重量を肩や腰に分散させる効果的な方法です。特にフットボールハーネスタイプは、両肩と腰の3点で重量を支えるため、手腕への負担を大幅に軽減できます。ただし、緊急時の機械からの離脱を考慮し、クイックリリース機構付きのものを選びましょう。

作業開始前後の体操も振動障害予防に重要な役割を果たします。手、腕、肩、腰の屈伸運動を5-10分程度行うことで、血行を促進し筋肉の柔軟性を保つことができます。

🤸 推奨体操メニュー

1. 手首回転運動：各方向に10回ずつ
2. 肘の屈伸運動：ゆっくり20回
3. 肩回し運動：前後各10回
4. 首の回転運動：左右各5回
5. 腰の捻り運動：左右各10回

防寒・保温対策も振動対策の重要な要素です。寒冷刺激は血管を収縮させ、振動の影響を増大させます。作業中は軽く暖かい服装を心がけ、休憩時には温かい飲み物を摂取するなどして体温維持に努めましょう。

耳栓やイヤーマフの使用も忘れてはいけません。騒音は振動障害の発症を促進する因子の一つとされており、適切な聴覚保護具の着用が推奨されています。現在では、騒音を軽減しつつ必要な音（警告音など）は聞こえるタイプの製品も販売されています。

まとめ：草刈機振動問題の解決と予防の要点

最後に記事のポイントをまとめます。

1. 草刈機振動の最大原因はチップソーの劣化と歪みである
2. メインシャフトのグリス不足が振動発生の重要な要因となる
3. エンジン部品の不調は振動として明確に現れる
4. ギアケースと受刃金具の状態確認が振動予防に重要である
5. 遠心クラッチ部の故障が激しい振動の原因となりやすい
6. パイプやシャフトの微細な曲がりでも大きな振動が発生する
7. 適切なグリスの選択と正しい塗布方法が振動軽減の鍵である
8. 1日の振動ばく露時間は2時間以下に制限する必要がある
9. 一連続作業時間は30分以内とし5分以上の休憩を取る
10. 防振手袋の選択は振動透過率と対応周波数で判断する
11. 毎日・毎週・毎月の系統的な点検で問題を未然に防ぐ
12. クラッチ部品の予防的交換が長期的な振動対策となる
13. 正しい作業姿勢と全身を使った操作で振動を分散できる
14. ハーネス使用により手腕への振動伝達を大幅に軽減可能
15. 防寒対策と体操により振動障害のリスクを下げられる

調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト

• https://www.youtube.com/watch?v=KWsF4QAOEVQ&pp=0gcJCdgAo7VqN5tD
• https://m.youtube.com/watch?v=xs7My10pC3M
• https://www.youtube.com/watch?v=0LpTynRK6ss&pp=0gcJCdgAo7VqN5tD
• https://www.rinsaibou.or.jp/safety/prevention/prevention3.html
• https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E6%8C%AF%E5%8B%95+%E8%8D%89%E5%88%88%E3%82%8A/
• https://ononouki.com/2019/07/16/%E5%88%88%E6%89%95%E6%A9%9F%E3%81%AE%E6%8C%AF%E5%8B%95%E3%81%8C%E9%85%B7%E3%81%84%EF%BC%88%E3%83%81%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%81%8C%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%EF%BC%89/
• https://blog.goo.ne.jp/murabito-1/e/2d8c70d8d72024eaccd19985403f8001
• https://www.amazon.co.jp/%E8%8D%89%E5%88%88%E3%82%8A%E6%A9%9F-%E6%89%8B%E8%A2%8B-%E6%8C%AF%E5%8B%95%E9%98%B2%E6%AD%A2/s?k=%E8%8D%89%E5%88%88%E3%82%8A%E6%A9%9F+%E6%89%8B%E8%A2%8B+%E6%8C%AF%E5%8B%95%E9%98%B2%E6%AD%A2
• https://ameblo.jp/mouso-ka/entry-12862122449.html