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クボタトラクターの深さ調整が簡単にできる!実践的な設定方法と効率的な作業のコツ

クボタトラクターの深さ調整が簡単にできる!実践的な設定方法と効率的な作業のコツ
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クボタトラクターを使った農作業で最も重要な要素の一つが深さ調整です。適切な耕深設定ができなければ、どんなに高性能なトラクターでも満足のいく仕上がりは期待できません。特に田んぼや畑の耕運作業では、深さの設定ミスが後の作業効率や作物の成長に大きな影響を与えてしまいます。

この記事では、クボタトラクターの深さ調整について、初心者の方でも理解しやすいよう実践的な方法を詳しく解説します。耕深調節ダイヤルの使い方から自動機能の活用まで、効率的な作業を実現するためのポイントを網羅的にご紹介していきます。

この記事のポイント
✅ 耕深調節ダイヤルの正しい使い方と数値設定の考え方
✅ ホイールゲージと油圧レバーによる細かな深さ調整テクニック
✅ 自動耕深機能の効果的な活用方法
✅ 圃場条件に応じた最適な深さ設定の判断基準

クボタトラクターの深さ調整の基本と実践方法

  1. 具体的な耕深調節ダイヤルの使い方は数値ではなく実測で調整すること
  2. 一般的な耕運深さは13〜15cmが標準的な設定
  3. ホイールゲージ調整で深さを微調整する方法
  4. 油圧レバーによる深さ調整のポイント
  5. 自動耕深機能の活用でより正確な作業が可能
  6. 耕深確認の手順は2〜3m試走して実測すること

具体的な耕深調節ダイヤルの使い方は数値ではなく実測で調整すること

クボタトラクターの深さ調整で最も重要な考え方は、耕深調節ダイヤルの数値に頼りすぎないことです。多くの農業従事者が陥りがちな誤解として、「ダイヤルの目盛り通りに設定すれば正確な深さになる」という思い込みがあります。

しかし実際には、耕深調節ダイヤルの目盛りごとの深さは、ほ場の条件やトラクタの姿勢により異なるため、具体的な数値は決まっていません。土壌の硬さ、湿度、傾斜の有無、作業機の種類など、様々な要因が実際の耕深に影響を与えるためです。

📊 ダイヤル設定と実際の耕深の関係性

影響要因耕深への影響対応方法
土壌の硬度硬い土では浅くなりがちダイヤル値を深め側に調整
土壌の湿度湿った土では深くなりやすいダイヤル値を浅め側に調整
圃場の傾斜上り坂では浅く、下り坂では深くなる傾斜に応じて随時調整
トラクターの姿勢前下がりでは深く、後ろ下がりでは浅くなる水平を保つよう運転

正しいアプローチは、まず任意の目盛り位置で短距離の試し耕運を行い、実際の深さを測定してから本格作業に入ることです。この手順を踏むことで、その日のほ場条件に最適な設定を見つけることができます。

特に一般的な耕うん作業では、フラップカバーを装着した状態で耕深調節ダイヤルを「3〜7」に設定することが推奨されています。ただし、これもあくまで目安であり、実際の作業では必ず現場での調整が必要になります。

一般的な耕運深さは13〜15cmが標準的な設定

クボタトラクターでの耕運作業において、最も一般的で効果的とされる耕運深さは13〜15cmです。この深さは長年の農業実践と研究により、多くの作物栽培において理想的とされる数値として確立されています。

📋 作物別推奨耕運深さの目安

作物種類推奨深さ理由
水稲12〜15cm根の発達と水管理のバランス
大豆15〜18cm深い根系の発達を促進
小麦10〜13cm浅い根系に適した深さ
野菜類15〜20cm根菜類は特に深めが有効

13〜15cmという深さが標準的とされる理由は複数あります。まず、この深さであれば土壌の物理性を改善しつつ、トラクターへの負荷も適度に抑えられる点が挙げられます。深すぎると燃料消費量が増加し、機械への負担も大きくなります。一方で浅すぎると、雑草の根や前作の残渣が十分に処理されず、後の作業に支障をきたす可能性があります。

また、15cm前後の耕運深さは土壌の団粒構造の形成にも適しているとされています。これより浅いと土壌の物理性改善効果が限定的となり、深すぎると土壌構造を破壊してしまう恐れがあります。

実際の設定においては、トラクターの油圧システムや自動耕深機能を活用して、この標準深度を基準に微調整を行うことが重要です。特にクボタトラクターの自動耕深制御機能を使用する際は、油圧レバーを最下位置にして、ダイヤルで15cm前後の設定になるよう調整することで、一定の深さを維持しやすくなります。

ホイールゲージ調整で深さを微調整する方法

クボタトラクターの精密な深さ調整において、ホイールゲージは非常に重要な調整機構です。多くの農業従事者がダイヤル調整にばかり注目しがちですが、実際の現場ではホイールゲージの適切な調整が作業品質を大きく左右します。

ホイールゲージとは、ロータリーに装着された黒いタイヤ状の部品で、地面と作業機の距離を一定に保つ役割を果たしています。この調整原理は非常にシンプルで、「ホイールを上げると深くなり、ホイールを下げると浅くなる」という関係性があります。

🔧 ホイールゲージ調整の基本手順

手順作業内容注意点
1. 停車確認エンジンを停止し、安全確認必ずPTOも停止させる
2. 左右確認両側のホイールゲージの高さをチェック左右で高さを揃える
3. 高さ調整所定の位置にホイールを設定段階的に調整する
4. 固定確認ボルトやピンの締め付けを確認作業中の緩みを防ぐ

ホイールゲージの調整で特に重要なのは、左右2つのホイールを必ず同じ高さで調整することです。片側だけ高さが異なると、作業機が傾いて一定の深さを保てなくなってしまいます。また、調整は一度に大幅に変更するのではなく、2〜3cmずつ段階的に調整し、その都度試し耕運を行って効果を確認することが重要です。

凸凹のある圃場での作業では、ホイールゲージの効果が特に顕著に現れます。圃場の高低差に対してホイールが追従することで、一定の耕深を維持しやすくなるのです。ただし、ホイールゲージだけでは対応しきれない急激な地形変化もあるため、そうした場合は後述する油圧レバーとの組み合わせによる調整が必要になります。

油圧レバーによる深さ調整のポイント

クボタトラクターの深さ調整において、油圧レバーは最も即応性の高い調整手段です。ダイヤルやホイールゲージが基本設定に用いられるのに対し、油圧レバーは作業中のリアルタイム調整に最適な機能といえます。

油圧レバーの基本的な操作原理は、作業機を上げ下げすることで耕深をコントロールすることです。特に凸凹の多い圃場では、トラクターの姿勢変化に応じて瞬時に調整を行う必要があり、この場面で油圧レバーの威力が発揮されます。

⚙️ 油圧レバー調整のタイミングと方法

圃場状況レバー操作調整理由
低い場所(窪地)作業機を下げるトラクターが浮いた分を補正
高い場所(山部)作業機を上げるトラクターが沈んだ分を補正
硬い土壌作業機を下げる十分な耕深を確保
軟らかい土壌作業機を上げる過耕を防止

油圧レバーによる調整で重要なのは、トラクターの後輪タイヤの沈み具合を常に意識することです。後輪が沈んだ分だけ作業機も下がり、結果として耕深が深くなります。逆に後輪が浮いた分だけ作業機も上がり、耕深が浅くなるのです。

熟練した作業者は、圃場の状況を先読みして事前に油圧レバーを調整しています。窪地に向かう際は事前に作業機を下げ気味にし、山部に向かう際は上げ気味にすることで、常に一定の耕深を維持しているのです。

また、自動耕深機能と組み合わせて使用する場合は、油圧レバーを最下位置にセットしてからダイヤルで微調整を行います。この方法により、自動制御の効果を最大限に活用しながら、必要に応じて手動での微調整も可能になります。

自動耕深機能の活用でより正確な作業が可能

現代のクボタトラクターに搭載されている自動耕深機能は、深さ調整作業を格段に効率化する革新的な技術です。この機能を適切に活用することで、初心者でもベテラン並みの一定した耕深を実現することが可能になります。

自動耕深機能の仕組みは、センサーが地面の高低を検知し、油圧システムが自動的に作業機の高さを調整するというものです。これにより、オペレーターが常にレバー操作を行わなくても、設定した深さを維持し続けることができます。

🤖 自動耕深機能の設定手順

ステップ操作内容重要ポイント
1. 準備設定油圧レバーを最下位置にセット自動制御の基準位置を設定
2. ダイヤル調整希望の深さになるよう調整2〜3回の試行で最適値を見つける
3. 機能ON自動耕深スイッチを「入」にする表示ランプで動作確認
4. 微調整必要に応じてダイヤルで補正作業中でも随時調整可能

自動耕深機能の最大のメリットは、作業の一貫性向上と疲労軽減です。従来は常にレバー操作を気にかけながら運転する必要がありましたが、この機能により運転操作に集中できるようになり、結果として作業効率も向上します。

ただし、自動機能にも限界があることを理解しておく必要があります。急激な地形変化や極端に硬い土壌では、自動制御だけでは対応しきれない場合もあります。そうした状況では、一時的に手動モードに切り替えて対応することも重要です。

また、ロータリカバーを最下位置にセットすることも自動耕深機能を効果的に使うためのポイントです。これにより、センサーがより正確に地面の状況を検知できるようになり、制御精度が向上します。

耕深確認の手順は2〜3m試走して実測すること

クボタトラクターでの深さ調整において、最も確実で重要な工程が実測による確認作業です。どんなに精密な機械でも、理論値と実際の結果には必ず差が生じるため、2〜3mの試し耕運による実測確認は欠かせない作業となります。

実測確認の正しい手順は、まず設定した条件で2〜3m程度の短い距離を耕運します。この距離は、土壌条件が均一で、なおかつ十分なデータが取れる最小限の長さとして設定されています。距離が短すぎると正確な測定ができず、長すぎると無駄な燃料消費や時間ロスにつながってしまいます。

📏 耕深実測の正確な手順

手順作業内容測定ポイント
1. 試し耕運2〜3mの直線で耕運実施一定速度を維持
2. 停車作業機を上げて前進停止測定地点を明確化
3. 測定準備スケールや定規を準備複数点での測定を予定
4. 深さ測定耕運された溝の深さを測定最低3箇所以上で測定
5. 平均算出測定値の平均を計算極端な値は除外して算出

実測時に重要なのは、複数箇所での測定を行い、平均値を求めることです。土壌は完全に均一ではないため、1箇所だけの測定では正確な判断ができません。少なくとも3箇所、可能であれば5箇所程度で測定を行い、その平均値を基準に判断することが推奨されます。

測定の結果、目標深度との差が2cm以内であれば許容範囲とされることが一般的です。それを超える差がある場合は、ダイヤルやホイールゲージの再調整を行い、再度試し耕運と測定を繰り返します。

この実測確認作業は面倒に感じるかもしれませんが、一度正確な設定を見つけてしまえば、その日の作業全体の品質が安定するため、結果として時間と労力の節約につながります。特に大面積の作業では、最初の調整時間が後の作業効率を大きく左右するため、決して省略してはならない重要な工程です。

クボタトラクター深さ調整における注意点と効率化のコツ

  1. 圃場条件に応じた深さ設定が成功の鍵
  2. 速度と深さのバランスが作業品質を左右する
  3. 作業機の種類別深さ調整方法の違い
  4. 深すぎる設定がもたらすトラブルとその対策
  5. 浅すぎる設定で起こる問題と解決方法
  6. トラクター姿勢と深さの関係性を理解する重要性
  7. まとめ:クボタトラクター深さ調整

圃場条件に応じた深さ設定が成功の鍵

クボタトラクターの深さ調整において、圃場の条件を正確に把握し、それに応じた設定を行うことが最も重要です。同じトラクター、同じ作業機を使用していても、圃場の状況によって最適な深さ設定は大きく変わってしまいます。

土壌の物理的条件は深さ設定に直接的な影響を与えます。粘土質の重い土壌では、乾燥時には非常に硬くなり、十分な耕深を確保するためにはより深めの設定が必要になります。一方で、砂質土壌では軽く、深く耕しすぎると土壌構造を破壊してしまう恐れがあります。

🌾 土壌タイプ別最適深度設定

土壌タイプ推奨深度設定のポイント注意事項
粘土質土壌15〜18cmやや深めに設定湿度が高い時は浅めに調整
壌土12〜15cm標準的な設定最も安定した作業が可能
砂質土壌10〜13cmやや浅めに設定深すぎると団粒構造を破壊
有機質土壌8〜12cm浅めの設定有機物の分解を促進

湿度条件も深さ設定に重要な影響を与えます。土壌が湿っている状態では、同じ設定でも実際の耕深は深くなりがちです。これは湿った土壌の方が柔らかく、作業機が沈み込みやすいためです。逆に乾燥した土壌では硬くなり、設定よりも浅くなる傾向があります。

圃場の傾斜も見落とせない要因です。上り勾配では耕深が浅くなり、下り勾配では深くなるという傾向があります。傾斜地での作業では、この特性を理解した上で、平坦部での基準設定から傾斜に応じて微調整を行うことが必要です。

また、前作の残渣量や雑草の状況も考慮すべき要因です。稲わらが多く残っている田んぼや雑草が密生している畑では、十分に鋤き込むためにやや深めの設定が有効です。ただし、深くしすぎると残渣が土壌表面に戻ってきてしまう可能性もあるため、バランスを取った調整が重要になります。

速度と深さのバランスが作業品質を左右する

クボタトラクターでの耕運作業において、速度と深さの適切なバランスは作業品質に決定的な影響を与える要素です。多くの農業従事者が陥りがちな誤解として、「深く耕せば良い」「速く作業すれば効率的」といった単純な考え方がありますが、実際にはこの2つの要素は密接に関連し合っているのです。

一般的に、クボタトラクターでの耕運速度は1〜3km/hが推奨範囲とされています。この速度域において、エンジン回転数は約2500rpm、PTO変速レバーは1速に設定することで、最も効率的で品質の高い耕運が実現できます。

速度別深さ調整の指針

作業速度推奨深度土壌処理効果燃料効率
1〜1.5km/h15〜18cm非常に良好やや低い
1.5〜2.5km/h12〜15cm良好良好
2.5〜3km/h10〜13cm普通非常に良好
3km/h以上8〜12cmやや不良良好だが品質低下

速度を上げすぎると、土壌が十分に砕かれず、大きな土塊が残ってしまう問題が発生します。また、ロータリーの回転と進行速度のバランスが崩れ、均一な耕運ができなくなる恐れもあります。一方で速度が遅すぎると、同じ場所を何度も耕すことになり、土壌構造を破壊してしまう可能性があります。

深さを増すほど作業速度を下げる必要があるのは、土壌抵抗が増大し、エンジンへの負荷が高まるためです。無理に高速で深耕を行おうとすると、エンジンの回転数が下がり、PTOの回転も不安定になって、結果として作業品質が著しく低下してしまいます。

圃場の条件に応じた速度調整も重要なポイントです。硬い土壌や残渣の多い圃場では速度を下げ、軟らかく条件の良い圃場では適度に速度を上げることで、全体的な作業効率を向上させながら品質を維持することができます。

おそらく最も効率的なアプローチは、作業開始時に複数の速度・深度の組み合わせを試し、その圃場での最適なバランスポイントを見つけることでしょう。一度最適な組み合わせが見つかれば、その設定を基準として作業を進めることができます。

作業機の種類別深さ調整方法の違い

クボタトラクターに装着可能な作業機は多岐にわたり、それぞれの作業機によって深さ調整の方法や考え方が大きく異なる点を理解することが重要です。同じトラクターでも、ロータリー、プラウ、ハローなど異なる作業機を使用する際は、それぞれに特化した調整技術が必要になります。

ロータリー作業機は最も一般的で、耕起・砕土・整地を同時に行う特徴があります。ロータリーでの深さ調整は比較的単純で、前述の耕深調節ダイヤルとホイールゲージの組み合わせが基本となります。ロータリーは約12〜20cmの耕深が一般的で、土の反転は少ないものの、細かく砕いて均平な仕上がりを実現できます。

🔧 作業機別深さ調整の特徴

作業機種類調整方法適用深度主な用途
ロータリーダイヤル+ホイールゲージ12〜20cm一般的な耕運全般
プラウ油圧+カバーボード調整20〜30cm深耕・天地返し
ハローフロート圧+深度ゲージ5〜10cm砕土・整地
カルチベーターシャンク深度調整8〜15cm中耕・除草

プラウ作業機の場合、深さ調整はより複雑になります。プラウは土壌を深く反転させることが主目的のため、20〜30cmという深い設定が一般的です。調整は主に油圧システムとプラウ本体の角度調整によって行われ、土壌の横移動を考慮した設定が必要になります。

ハロー作業機は主に砕土と整地を目的とした浅い作業が中心となります。5〜10cm程度の浅い深度で、フロートの圧力調整と深度ゲージの設定が調整の要となります。ハローでは深さよりも地面への追従性が重要で、土壌表面の凸凹に対応できる柔軟な設定が求められます。

カルチベーターのような中耕作業機では、シャンクの深度調整が主要な調整ポイントとなります。8〜15cm程度の中間的な深度で、作物の根を傷つけないよう正確な深度管理が特に重要になります。

それぞれの作業機に共通して言えることは、その作業機の特性と目的を理解した上で、適切な深度設定を行うことの重要性です。単純に深ければ良い、浅ければ良いという問題ではなく、作業目的に応じた最適な深度を見つけることが成功の鍵となります。

深すぎる設定がもたらすトラブルとその対策

クボタトラクターの深さ調整において、深すぎる設定は様々な深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。「深く耕した方が良い結果が得られる」という誤った認識により、多くの農業従事者が陥りがちな問題でもあります。

深すぎる設定による最も直接的な影響は、エンジンへの過度な負荷です。土壌抵抗が急激に増大することで、エンジン回転数が低下し、燃料消費量の大幅な増加を招きます。また、トラクター本体や作業機の摩耗も加速し、長期的には修理費用の増大につながってしまいます。

⚠️ 深耕による主なトラブル一覧

トラブル内容発生原因対策方法予防策
エンジン回転数低下土壌抵抗の増大深度を浅く調整負荷計器での監視
燃料消費量増加エンジン負荷増大速度を下げて深度調整適正深度の事前確認
作業機の損傷過度な負荷即座に深度修正定期的な点検実施
土壌構造の破壊過耕による悪影響土壌改良材の投入適正深度での作業

土壌に対する悪影響も見逃せません。必要以上に深く耕すことで、土壌の自然な層構造が破壊され、水はけや通気性が悪化する可能性があります。特に粘土質土壌では、深耕により硬盤層が形成されやすくなり、後の排水不良や根の発育阻害につながる恐れがあります。

また、田んぼでの深すぎる耕運は水管理にも深刻な影響を与えます。高低差が2〜3cm以上生じると、田植え後の水管理が困難になり、低い場所では稚苗が水没し、高い場所では水不足が発生してしまいます。

深すぎる設定によるトラブルの対策として、まず作業中の監視を強化することが重要です。エンジン音の変化、回転数計の数値、作業機の振動など、トラクターからの警告サインを見逃さないよう注意深く観察する必要があります。

負荷が過大と判断された場合の対処法としては、即座に深度を浅くするか、作業速度を下げることが有効です。また、土壌条件が予想より厳しい場合は、作業を一時中断して設定を見直す勇気も必要です。

予防策としては、作業開始前の短距離での試し耕運を必ず実施し、その圃場での適正深度を確認することが最も効果的です。一度適正な設定が確立されれば、そのシーズン中は安定した作業を継続できるでしょう。

浅すぎる設定で起こる問題と解決方法

クボタトラクターの深さ調整において、深すぎる設定と同様に浅すぎる設定も様々な問題を引き起こす可能性があります。作業負荷を軽減しようとして浅めに設定することは珍しくありませんが、適正深度を下回ると作業効果が著しく低下してしまいます。

浅すぎる設定による最も顕著な問題は、雑草や前作残渣の処理不良です。十分な深さで耕運を行わないと、雑草の根系が完全に切断されず、再生してしまう恐れがあります。また、稲わらなどの残渣が土中に十分に鋤き込まれず、表面に残ってしまうことで、後の作業に支障をきたします。

🌱 浅耕による影響と対策

問題点発生メカニズム症状解決方法
雑草の再生根系の切断不完全短期間での雑草発生深度を2〜3cm深くする
残渣処理不良鋤き込み不足表面に残渣が残る複数回の耕運実施
土壌改良効果低下攪拌範囲の限定硬盤層の残存適正深度での再耕運
作物根域の制限軟らかい土層の不足根の発育不良段階的な深度調整

土壌改良の観点からも、浅すぎる耕運は問題があります。硬盤層や圧密層の破砕が不十分となり、作物の根が十分に伸長できる環境を整えることができません。特に野菜栽培では根の発育が収量に直結するため、適正な深度での耕運は欠かせません。

また、肥料の混合不良も浅耕の問題点として挙げられます。散布した肥料が土壌と十分に混合されないため、局所的な肥料濃度の偏りが生じ、作物の生育ムラにつながる可能性があります。

浅すぎる設定の解決方法として、まず現在の設定深度を正確に測定することから始めます。実際の耕深が目標値を大きく下回っている場合は、段階的に深度を上げていくことが重要です。一度に大幅な調整を行うと、今度は深すぎる問題が発生する恐れがあります。

ダイヤル調整の際は、現在の設定から1〜2段階ずつ深め側に調整し、その都度2〜3mの試し耕運を行って効果を確認します。また、ホイールゲージの調整も並行して行うことで、より精密な深度コントロールが可能になります。

特に重要なのは、作業目的に応じた適正深度の理解です。雑草処理が主目的であれば雑草の根の深さを考慮し、残渣処理が目的であれば残渣量に応じた深度設定を行う必要があります。一律の浅い設定ではなく、目的に応じた最適化が解決の鍵となります。

トラクター姿勢と深さの関係性を理解する重要性

クボタトラクターでの深さ調整において、トラクター本体の姿勢が実際の耕深に与える影響は非常に大きく、この関係性を正しく理解することは精密な作業を行う上で欠かせません。多くの農業従事者がダイヤル設定にのみ注目しがちですが、トラクターの前後左右の傾きが深度に直接影響することを認識する必要があります。

トラクターが前下がりの姿勢になると、作業機も連動して下向きになり、設定よりも深く耕してしまう現象が発生します。逆に後下がり(前上がり)の姿勢では、作業機が上向きになり、設定よりも浅い耕深となってしまいます。この現象は物理的に避けることができないため、姿勢変化を予測した事前調整が重要になります。

🔄 トラクター姿勢による耕深への影響

トラクター姿勢耕深への影響影響の程度対応方法
前下がり5°2〜3cm深くなる中程度ダイヤルを浅め側に調整
後下がり5°2〜3cm浅くなる中程度ダイヤルを深め側に調整
左下がり3°左側が深くなる軽度左側ホイールを下げる
右下がり3°右側が深くなる軽度右側ホイールを下げる

圃場の傾斜による姿勢変化は最も頻繁に遭遇する状況です。上り勾配では後輪が下がり前輪が上がるため、結果として耕深は浅くなります。下り勾配では前輪が下がり後輪が上がるため、耕深は深くなる傾向があります。これらの変化を理解した上で、傾斜に応じた事前調整を行うことが重要です。

タイヤの空気圧も姿勢に影響を与える重要な要因です。空気圧が不適切だとタイヤの沈み込み量が変わり、結果としてトラクターの姿勢が変化してしまいます。定期的な空気圧チェックと適正値の維持は、安定した深度管理のために欠かせません。

また、作業機の重量バランスもトラクター姿勢に影響します。重い作業機を装着した場合、後輪への荷重が増加し、前輪が浮き気味になって前上がりの姿勢となりやすくなります。この場合はフロントウェイトの追加や油圧調整により姿勢を補正する必要があります。

リアルタイムでの姿勢監視も重要なポイントです。運転席からでも分かる姿勢変化の兆候として、ハンドルの重さの変化、エンジン音の変化、作業機からの振動の変化などがあります。これらのサインを敏感に察知し、即座に油圧レバーやダイヤルで補正を行う技術を身につけることが、高品質な作業につながります。

まとめ:クボタトラクター深さ調整

最後に記事のポイントをまとめます。

  1. 耕深調節ダイヤルの数値は目安であり、実際の深さは圃場条件により変動するため実測確認が必須である
  2. 一般的な耕運深さは13〜15cmが標準的で、作物や土壌に応じて調整が必要である
  3. ホイールゲージは上げると深く、下げると浅くなる仕組みで、左右同じ高さで調整することが重要である
  4. 油圧レバーはリアルタイム調整に最適で、圃場の凸凹に応じて瞬時に深度を修正できる
  5. 自動耕深機能を使用する際は油圧レバーを最下位置にセットしてからダイヤルで調整する
  6. 実測確認は2〜3mの試し耕運後に複数箇所で深さを測定し、平均値で判断する
  7. 土壌タイプにより最適深度が異なり、粘土質では深め、砂質では浅めの設定が基本である
  8. 作業速度は1〜3km/hが推奨範囲で、深度が深いほど速度を下げる必要がある
  9. ロータリー、プラウ、ハローなど作業機の種類により調整方法と適用深度が大きく異なる
  10. 深すぎる設定はエンジン負荷増大と土壌構造破壊を招き、燃料消費量も増加させる
  11. 浅すぎる設定は雑草処理不良と残渣の鋤き込み不足を引き起こし、作業効果が低下する
  12. トラクターの前後左右の姿勢変化が耕深に直接影響するため、傾斜地では事前調整が必要である
  13. エンジン回転数2500rpm、PTO1速の組み合わせが最も効率的な作業条件である
  14. タイヤ空気圧の適正管理はトラクター姿勢の安定化と一定した深度維持に重要である
  15. 圃場の湿度条件により同じ設定でも実際の耕深が変わるため、天候に応じた調整が必要である

調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト

  1. https://faq-agriculture.kubota.co.jp/%E8%80%95%E6%B7%B1%E8%AA%BF%E7%AF%80%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AB%E3%81%AE%E7%9B%AE%E7%9B%9B%E3%82%8A%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%AE%E6%B7%B1%E3%81%95%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E3%80%82%EF%BC%88%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%EF%BC%89-67adc99ae1ecfd947cd52a93
  2. https://greenland-yoro.jp/tractor-rotary/
  3. https://www.agri-ya.jp/column/2022/11/17/explain-how-to-drive-a-tractor/
  4. https://noukiya.co.jp/blogs/column/tractor-tanbo-kotsu
  5. https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/germination/tilling_02.html
  6. https://note.com/ryutaro0306/n/n356dec355a5b
  7. https://www.kawakaku-nouki.jp/archives/machinery/62890
  8. https://agriculture.kubota.co.jp/agriinfo/news/post_44047.html
  9. https://www.fri-el-ethiopia.com/163808107.htm
  10. https://solveratooling.com/index.php/pcmypage/product_archives/shopdetail/210392593/shopdetail/336655093/text/terms/cd.html/pcmypage/shopdetail/28015693/cargo/detail/pcmypage/shopdetail/196707693/shopdetail/265528793/affiliate/shopdetail/40005793